HONDA CBR1100XX 2001 | ||
|
||
バッテリーメンテナー | 車両側コネクター | |
めっきり気温が低くなったこの頃、一週間もバイクに乗らないでいると、次のエンジン始動時のセルの回り方が弱々しくなり、ヘタすればエンジンがかかる前にセルが止まりそうになる。このバイクのバッテリーは、2001年6月末の(新車)納車以来一度も交換していないので、約3年半も使用しており、バッテリー内部のサルフェーション化も随分進んでいることだろう。一応はバッテリー延命のため、月に一回程度はシールドバッテリー用の充電器で補充電を行ってはきたが、2種類の無線コントロール方式盗難アラームを搭載しているためか、バイクに乗らない期間のバッテリーの消耗が比較的激しいように思われる。 快適なバイクライフを維持するためには、バッテリーを2年毎に交換することが推奨されてはいるが、これはバッテリー製造会社の陰謀のニオイがするし、なにより二酸化鉛とか希硫酸といったオソロシげな物質が入っている重い容器を2年毎にスクラップにするとなると、環境にやさしくないのは明白である。ブラックバードのバッテリーは実売10K以下で手に入るので、特に高額な部品ではないが、環境にやさしくあるためには、今あるバッテリーをできるだけ長期間にわたって使用するにこしたことはない。それに一旦エンジンがかかってしまえば、エンジンオイルが暖められて軟らかくなるので、その日一日はエンジン始動時にセルが止まりそうになることはない。要するに今のバッテリーを使えるまで使ってしまおうということである。 幸い拙者のバイクは一戸建て住宅のガレージを基地としており、そこではAC100V電源が取れる。ということはブラックバードが基地で翼を休めているときに、かしこいバッテリー充電器が自動的にバッテリーをメンテナンスしてくれれば、寒い朝のエンジン始動時に弱々しいセルの音を聞いて祈るような気持ちにならなくて済む。この様なニーズを満たすバッテリー充電器をインターネットで調査したところ、2種類の製品が見つかった。ひとつは「バッテリードク」もうひとつは「バッテリーメンテナー」である。どちらもフロート充電方式を採用しており、バッテリーに負担をかけないで常に満充電状態を保ってくれる製品である。フロート充電とは、バッテリーの電圧を監視して、一定の電圧であれば充電をバイパスする方式で、一般的なトリクル充電の微弱な電流を流し続けて充電する方式よりバッテリーにやさしいという。 今回は比較的入手しやすそうなバッテリーメンテナー(新品)をヤフオクにて送料込み約9Kで入手した。使用方法はバイクを駐車位置に停めた後、車両側に取り付けたコネクター(ヒューズ経由でバッテリー直結)とバッテリーメンテナーのコネクターをつなぐだけである。あとはバッテリーメンテナーがバッテリーの状態を調べて自動的に充電を行ってくれる。バッテリーメンテナーのウリはメンテナンスモードというもので、これは30分に1回の割合でバッテリー電圧のチェックを行い、必要に応じて200mAの電流で充電を行うというものである。これによりバッテリーは常に満充電に近い状態が保たれる。このメンテナンスモードはコネクターを外すまで続けられるので、駐車中にアラーム等の消費電力でバッテリーの電圧が一時的に下がっても、すぐにまた満充電になる。つまり、エンジン再始動時にはいつもバッテリーは元気な状態にあるというわけである。バッテリーメンテナーにスイッチの類はなく、実際の使用上の手間はコネクターの抜き差しだけなので、使い勝手は非常に良い。寒い朝でも元気なセルの音でエンジン一発始動となり、まったくもって快適である。 よい買い物をした。 |
||
|
||
スタマタキス チャイルドシート | 自作タンデムステップ | 自作タンデムステップ(内部) |
ベルト・インターコム | ヘルメット・プロテクター | 自作ボディープロテクター |
2005年4月1日より高速道路での二人乗りが解禁(首都高の一部は規制が継続される)されることになった。最近のバイク雑誌は、その二人乗り解禁をにらんでか、タンデムラン(二人乗り)の特集記事が組まれていることが多い。それらの記事を読んでいるうちに、リョウちゃんをバイクに乗せてみたくなった。子供の頃にバイクに乗ることは非日常の最たるものらしく、その記憶は大人になっても残ることが多いという。拙者も小学校に上がる前、知り合いのオジサン(たしか母の職場の上司か同僚)のスクーターに乗せてもらったことを覚えている。レトロなスクーターの車種は忘れたが、そのオジサンのヒザの前(スクーターの足を置く平らな部分)に立って、ハンドルにしがみつきながら、実に爽快な気分になったことを覚えている。来年からリョウちゃんは幼稚園(年少)に通う事になるので、時々拙者がバイクで送迎をしてみるのも悪くないと思い、今から少しずつバイクに慣らすことにした。ただし、小学校高学年ぐらいの子供ならまだしも、3歳の幼児をできるだけ安全にバイクに乗せるには、少し知恵を絞る必要がある。「年端もゆかぬ子供をバイクに乗せるのはやめとけ」という声が聞こえそうだが、乗せることを前提にして考え得る限りの安全性を追求してみる事にした。 自分の腕力で十分に体を支えることのできない幼児をタンデムさせるには、簡単にはバイクから落ちないような工夫が必要である。これに関しては、バイクのシート上で体(腰)を保持するためのバイク用のチャイルドシート(ドイツ スタマタキス社製)を導入した。このチャイルドシートは、その底部の形状から、ブラックバードのシートに取り付けたときに少々前のめりになるのが難点ではあるが、これがあるのとないのでは、体の保持性に大きな違いが出るので、導入して正解であった。これなしには3歳児とタンデムできないと思う。 腕の短い幼児を運転者につかまらせるために、デイトナ製のタンデムベルトも導入した。このベルトは後ろの同乗者が手で握ることのできるグリップが付いており、その能書きには女性や腕の短い子供でも確実なホールドができると書いてあるが、幼児は想定外のようで、調整幅を最大にしてもそのグリップには手が届かない。ただしベルトの後ろを持つことはできる。 最近は昼寝をしなくなってきたとはいえ、昼食時以降に心地よい振動を与えると即座に眠ってしまう幼児を覚醒させておくための手段として、TANAX製のコードレス ツーリングコム2(インターコム)を導入し、運転中は途切れることなく話しかけ続けることにした。このインターコムは同時通話が可能であるので、リョウちゃんの返事が途切れがちになること(=眠たい or ウザイ)が判る。ただ微弱電波式のためか、ザーという雑音が比較的多く、またヘルメットに内蔵するスピーカーの音が少々小さいのが難点ではある。 いかに大型3歳児のリョウちゃんとはいえ、大人用に作られているノーマルタンデムステップに足が届くはずもない。これはリョウちゃんの脚の長さに合わせたタンデムステップをワンオフで製作することにした。M12のボルト・ナット・長ナット・袋ナット・水道ホース等で取り外し式のタンデムステップを製作し、それをアルミアングル材をカットしたものに取り付け、車体側タンデムステップホルダーを固定しているボルトに共締めした。このタンデムステップを取り付けるために、シートカウルを少々カットしなければならなかったが、あまり目立つ部分でもないのでよしとした。 身に付ける防具も幼児に合わせたものが必要である。まず大切な頭部を守るヘルメットだが、リョウちゃんのはちまわりは王子様風ロングヘアーにしていることもあり実測54cmもある。これに合わせてバイク用品店でXSサイズ(53〜54cm)を試着しようとしたところ、とてもきつくてかぶれなかった。というわけで、もう1サイズ上のSHOEI X-9の大人用Sサイズ(55〜56cm)を購入した。このヘルメットはJIS規格およびSNELL規格を取得している上にMFJ公認も取得しており、レースに出るかどうかは別にして、父のヘルメットより数段上等である。 次にボディープロテクターであるが、胸部パッドは無限電光製のSサイズのものが、幼児には丁度よい大きさだったので購入し、脊椎パッドについては、大人用の大きなものしか市販されていないようだったので、ダイソー(100円ショップ)で購入したプラスチックまな板をカットして自作した。それらの胸部パッドと脊椎パッドを、ウルトラマン柄の布地で縫製(父謹製!)したベストに、マジックテープ取り付けてボディープロテクターとした。グローブおよびヒジパッドについては、既にモトクロス競技用のものを(自転車に乗るとき用に)持っていたので、それを使用する事にした。ヒザパッドはローラースケート用(大人用)のものを使用する。 初めてのタンデムランは、自宅から30分程度のところにある駒沢公園に行くことにした。とある日曜日の午前10時ごろ自宅を出発し、インターコムでしゃべり続けて30分、いい加減しゃべり疲れてきた頃に駒沢公園に無事着くことができた。チリリン広場(幼児用自転車練習場)で自転車に乗せ、冷たいジュースを飲ませてから帰途についた。行きにしゃべり続けたので帰りにはネタ切れになり、会話も途切れがちになった頃、どうも様子がおかしい。リョウちゃんの返事が減ってきた。「寝ーるーなー!起ーきーろー!」と大声で叫ぶと、そのときには「寝てないよー」と返事をするのだが、数秒後には呼びかけに反応しなくなってしまう。相当眠たいらしい。信号待ちごとに手を後ろにまわしてリョウちゃんのモモの辺りをビシバシ叩き、「寝ーるーなー!起ーきーろー!」と叫びながら何とか帰宅したが、自宅に着いた途端、リョウちゃんはチャイルドシートからずり落ちた。 色々と装備に散財したが、幼児とのタンデムランは、ごくごく近場にしておくべきだと判ったことが、今回の大きな収穫だったと思う。 <2005/02/11追記>スタマタキス製チャイルドシートは、ブラックバードに装着したときに少々前傾するのが難点であると書いたが、それを解消するために、ホームセンターで売っているポリエチレン発泡フォームを加工して、チャイルドシートの下に敷くスペーサーを製作した。上の写真でチャイルドシートの下に見える青いもの(本当はもう少し目立たない色のポリエチレン発泡フォームを使いたかったのだが、リョウちゃんのお気に入りが青色だったので・・・)がスペーサーで、後部に行くに従って薄く成形することで、チャイルドシートの前傾を解消した。スペーサーの上下面は、チャイルドシート底部とタンデムシート上部の形状に合わせて成形したので、チャイルドシートがしっかり固定されるようになった。このスペーサーを使用すると、走行中徐々にリョウちゃんがライダーに近づく現象が解消され、後ろに乗っているリョウちゃんも楽なようである。 |
||
|
||
パワーコマンダー 3 USB | O2センサー排除キット | USB/パワーサプライケーブル |
1997年に登場したブラックバードの燃料供給装置はキャブレター方式であったが、99年式よりラムエアを導入するとともにインジェクション方式に改められた。燃料の供給をプログラムにより自在にコントロールできるインジェクション方式は、排ガスや燃費の制約が厳しい四輪車で古くから普及し、現在ではほぼすべての新型車に装備されている。しかし二輪車では現在(2004年)でも600cc以上のスーパースポーツや大排気量ツアラー以外はキャブレター方式が主流である。バイクにインジェクションが普及しない理由としては、スペースの制約、コストや重量の増加、それにドライバビリティーの悪化が主なものであろう。99年当時、インジェクションを装備していたオートバイは数少なく、ブラックバードはインジェクションバイクのはしりの一台であった。しかし、この99年に採用されたインジェクションシステムのドライバビリティーは、現在の感覚で見るとあまり洗練されたものではなかったようだ。特にエンジンが低回転のときにアクセルを開くと鋭く回転が上がる、いわゆる「ドンつき」が顕著であり、バイク専門誌のブラックバードの記事には、お約束のようにこのことが書かれていた。 バイクの二次(脱出)旋回はアクセルを開き後輪に駆動力を与えるのがセオリーであるが、そこで激しい「ドンつき」が発生すれば、後輪に荷重をかけるのを通り越してリアタイヤのグリップを失わせスリップダウンの原因となってしまう。基本的にこのブラックバードのインジェクションシステムは99年式以降変わっておらず、拙者の01年式でも「ドンつき」は依然として顕著に出る。全神経を集中して、相当デリケートにアクセルを操作すれば、この「ドンつき」を回避できないことはないのだが、少しでも集中力が落ちてくると、立ち上がりでホイールスピンをかましてしまうリスクが増える。実際、最近の講習会では、この「ドンつき」の回避に神経を使いすぎて疲れることがわかってきた。 そこでパーツの登場である。バイク用サブコンのスタンダード、インジェクションチューンの定番、米国ダイノジェット社のパワーコマンダーを導入した。大枚はたいて装着したのは、ブラックバードED仕様の01年式以降に対応するPower Commander 3 USBというタイプである。O2センサー排除キットも同時に装着した。ブラックバードED仕様の01年式以降のモデルでは、排ガス対策のため、O2センサーからの信号を含むある一定の条件(アクセル開度、速度等)が揃うとノーマルCPUが燃調を薄くするらしい。O2センサー排除キットは、O2センサーの代わりにCPUにダミーの信号を送り、CPUが燃調を薄くするするのを防ぐと同時にFI警告灯の点灯をも防ぐ。実際拙者はそこまでシビアな燃調チューンをするわけではないのだが、ダイノジェット社のサイトからダウンロード可能な燃調マップには、O2センサー排除キットが装着されていることを前提としているものが多いので、後難を避ける意味で付けた。燃調マップは、装着しているアールズギアマフラー用のものがダイノジェット社のサイトになかった(当然か)ので、とりあえずノーマルマフラー+O2センサー排除キット用(M113-501)をパワーコマンダーに書き込んでみた。ダイノジェット社のサイトからブラックバード用にダウンロードできるマップは20種類程度あるが、大方のマップは低速域を濃くし、中速から高速域を薄くする傾向にある。低速域を濃くすることでドライバビリティーを向上させようとしているらしい。ブラックバードの「ドンつき」の悩みは万国共通のようである。 このマップを書き込んだ仕様に試乗してみると、確かに「ドンつき」の程度が緩和されている。まったく「ドンつき」がなくなったわけではないれども、このフィーリングを誇張して表現するとすれば、パワーコマンダー導入前はアクセル開度が0%から9%まではエンジン回転が変化せず、10%になったとたんにポンとエンジン回転が上がっていたものが、パワーコマンダー導入後はアクセル開度0%から10%の間でもアクセル開度に応じてエンジン回転が滑らかに変化する感じと言えばよいか。講習会でのスラローム走行がスムーズになる期待を抱かせる感じである。単にストックのマップを入れただけでも随分とフィーリングが変化することに少し驚いたと同時に、他のマップも試してみる価値がありそうだと感じた。 この投資が多摩テック3秒短縮に貢献することを祈るばかりである。 |
||
|
||
バッグ取付板 | アタッチメントバッグ | パイプクランプ |
二輪車ETCモニターでは、ETCカードをカードリーダにかざすだけでスピーディーに料金所を通過できた。二輪車ETCモニターは2004年春で終了したが、一度スピーディーに料金所を通過することを経験すると、従来のようにいちいちポケットから現金を出して料金を清算することが億劫になる。何か妙案はないかと思っていたところ、四輪車用のETCカードで通行料金を清算できることが判った。つまり二輪車に乗って料金所で料金を支払うとき、四輪車用のETCカードを係員に差し出せば支払いが可能なのである。これを使えば現金の収受がなくつり銭も発生しないので、昔よく利用したハイウェイカードのような使い勝手が得られる。残念なことに割引率の高い高額のハイカは廃止されてしまったので、その廃止以降はハイカは利用していなかった。 幸運なことに拙者は四輪車用ETCカードを保有している。後はいかにスピーディーにETCカードを取り出して係員に手渡し、返されるETCカードと半券を収納するかを考えればよい。ジャケットのポケットにカードを入れておくというのが手軽ではあるが、昔ハイカをそのようにしたところ、冬場のぶ厚いグローブで無理やりポケットに押し込んだせいか、ハイカを折り曲げてしまい読み取り不能にしてしまった苦い経験がある。二輪車ETCモニターのときには、カードホルダーに入れたETCカードをハンドルブレースにぶら下げておいたが、これが思いのほか使い勝手が良好であった。つまり、ハンドルの近くにカードを置いておけば、料金所で安定した姿勢(これが大切)で素早くカードにアクセスできる。 というワケで、ゴールドウィン製のアタッチメントバッグC(GSM7209)を2.2Kで入手した。この小さなバッグにETCカードを入れておき、ハンドルの近くに固定すれば素早いアクセスが可能になる。このバッグの標準の固定方法は、バッグをトップブリッジ上のハンドルクランプの上に置き、バッグの背に付いているゴムバンドをハンドルに廻す。しかしこの固定方法ではどうにもすわりが悪く、バッグがグラグラして高価なETCカードを入れておくには心許ない。そこで、バッグをしっかり固定できるようなバッグ取付板をハンドルブレースに付け、それにバッグを取り付けることにした。塩ビ板を金ノコで適当な大きさに切り、バッグの背の凹凸に合わせ両面テープで貼り合わせてバッグ取付板を製作した。バッグの背には固定用のスリットがあるので、それをバッグの固定に利用するようにした。このバッグ取付板をハンドルブレース(パイプ径12mm)に取り付けるためのパイプクランプを探してみたのだが、汎用品では適当なものがなく、仕方がないので、例の如くアルミ合金板からパイプクランプを製作した。 出来上がったバッグ取付板にバッグを取り付けてみたところ、バッグがしっかり固定されグラグラするようなことはなくなった。取付板の角度もクランプをゆるめる事で自由に変更できる。バッグを取り付けた状態で乗車位置からメーター類が見えなくなることもなく、さすがにキーホールは見えなくなるが、これはさしたる問題ではない。料金所でのバッグへのアクセスもし易そうで、ETCカードが使えない有料道路(例えば箱根ターンパイク)では、バッグに入れた現金にも素早くアクセスできそうだ。しかし、同時にドロボウもバッグにアクセスし易そうなので、バッグにETCカードや現金を入れたままにしておかないように気をつける必要はある。 <2004/09/08追記>今日多摩テックに行くために、中央道の三鷹本線料金所を通ったが、普通の四輪車と変わらない時間で料金の支払いを完了できた。これならヘタな四輪車(料金所に止まってからカバンを開け財布を探すような長生きする人など)よりよっぽど早い。この工作はうまくいった。カミさんは、「これを売リ出したら儲かるのでは?」などと言っている。いっちょゴールドウィンと組んで売り出してみるか・・・ |
||
|
||
ハンドルバー | ロングアクセルケーブル | カットされたスクリーン |
今年5月にハンドルクランプを交換して、ハンドルグリップ位置を高く手前に移動したばかりなのだが、どうもここ数ヶ月で急速に老化が進んだようで、少し前傾の乗車ポジションでも腰に負担を感じるようになってきた。「アメリカンでも買ったらどう?」という声も聞こえる気はするが、アメリカンでパイロンスラロームはやりずらそうなので、再度ハンドル交換を行いブラックバードでの楽な乗車姿勢を追及してみることにした。 今回入手したのは安価なスチール製クロームメッキのハンドルバーである。ハリケーン製のヨーロピアンⅡ型というもので、約3Kで販売されていた。以前のヨシムラアルミハンドルバーが約8Kであることを思うと半額以下である。早速取り付けようとしたところ、なんとアクセルケーブルの長さが足りなかった。最初にバーハンドル化したときに、既に5cm長いものに交換してあり大丈夫だと思っていたので、これには盲点を突かれた気がした。届かないものは仕方がないので、これもハリケーン製の10cm長いものを入手したが、これは約4Kもしてハンドルバーより高価であった。クラッチとブレーキホースは問題なく届いた。ハンドルスイッチのハーネスもギリギリで届いた。ハンドルバー両端には、ハリケーン製30φ砲弾型ウェイトバランサー(クロームメッキ)を入手し装着した。約4Kであった。ウェイトバランサーは、以前のヨシムラアルミハンドルバーにつけていたものを再利用しようと思っていたのだが、今回はスチール製のハンドルバーにしたので内径が異なり流用できなかった。ハリケーン社から感謝状が届くかも。ハンドルグリップ位置がかなり高くなったので、ハンドルを左右一杯に切ったとき、左右スイッチボックスがスクリーンにマトモに干渉した。これはスクリーンの干渉する部分を大きくカットした。このMRA製のスクリーンはカットにつぐカットで、手前左右部分はほとんど失われてしまった。 乗ってみてひと言、楽である。ハンドルグリップ位置はさらに高く手前になり、もうこれは完全にネイキッドのポジションを通り越して、白バイのポジションに近くなってしまった。カウルを白っぽい色に塗装し、白いヘルメットに青い服を着て速度違反的なバイクや車の後ろを付いて走れば、あわててブレーキランプが点くのが見られそうなポジションと言ったらいいか。今回はハンドルバーの両端をカットしなかったので、以前より幅が広がり(660mm→700mm)、すり抜けはしにくくなったが、取り回しが楽になりバイクの押さえが効くようになった。ハンドルグリップ位置が高く幅広であると、乗車姿勢にナゼかエラそうな(?)雰囲気が漂う気がするのは私だけだろうか。しばらくこの仕様で講習会巡りに励みたい。 |
||
|
||
インナーバッフル | インナーバッフル装着前・装着後 | |
講習会上級者のマシンは大体がノーマルマフラーである。上級者はマフラーなどにカネをかけるより、ハイグリップタイヤとブレーキバッドにカネをかける傾向にある。時にはリプレースマフラーに交換している上級者のマシンを見かけることもあるが、その場合にはJMCA対応マフラー(ヨシムラなど)か、そうでない音の大きめマフラーの場合には、ほとんど例外なくマフラーにバッフルを装着して音量を絞っている。中級者以下では、爆音とまではいかなくとも、それに近い音を撒き散らしながら走るマシン(さすがに知能指数ゼロの○チガイ自己中爆音スパトラTW
or マジェ逝ってヨシはいないが)を時々見かける。かく言う拙者のマシンもアールズギア製ソニックツインマフラーを装着しており、このマフラーはリプレースマフラーの中ではおとなしい方ではあるが、しかしJMCA対応マフラーよりは確実に音量が大きい。最近よく講習会に参加するようになり、自分のマシンの音の大きさが少々浮いているのではないかと思うようになってきて、肩身が狭く感じるときがある。 そこで、バッフルを装着してみることにした。バッフルにはエンドバッフルとインナーバッフルというものがあるらしい。エンドバッフルはマフラーのサイレンサー最後部(サイレンサー出口)に装着し、付けているのが一目でわかる。パイプに穴を開けて排気音の干渉により消音効果を出しているものはそうでもないらしいが、 N-PROJECT製のようなシンプルな形状のエンドバッフルは、排気音が「ペトペト」という感じ(単気筒や2気筒の小排気量車では顕著)に変化するらしい。対して、インナーバッフルはエキパイ最後部(サイレンサー入口)に装着するもので、外からはまったく見えない。外から見えないのは良いのだが、このタイプのバッフルは穴の径によっては高回転域で排気の抜けが極端に悪くなるらしい。また、排気の抜けを考えて穴の径を大きくすると、消音効果は今ひとつであるらしい。 N-PROJECT製エンドバッフルは1個1.5Kとお手頃である。2本出しマフラーを装着している関係上バッフルは2個必要となり、お手頃な価格でバッフルが入手できることは重要である。インナーバッフルについては、オートマジック製のものが有名であることがわかった。しかし1個12K以上もして大変お高く、2個で約25Kとなってしまう。カッコを最優先して2本出しのリプレースマフラーを選択した手前、どちらかといえば外から見えないインナーバッフルにしたかったのだが、費用対効果の点で25Kの出費は少々キツイ。N-PROJECT製エンドバッフルのような、シンプルなアルミ削り出しのインナーバッフルが安く販売されていると魅力的である。そこで文明の利器インターネットを駆使して調べてみたところ、まさにそのようなアルミ削り出しのインナーバッフルを1個2.1K(しかも送料込み!)で製作販売してくれる方をYahoo!オークションで見つけることができた。 オーダーインナーバッフルの寸法は外径60.0mm/内径57.5mm/穴径33.0mmとし、それを2個製作してもらった。簡単なメールのやり取りの後、落札後3日目で製品が届いた。製品は大変丁寧な作りで、エキパイに入れてススで真っ黒(写真は装着約1ヶ月後のものなので汚れています)にしてしまうのがもったいない気がした。早速サイレンサーをはずしエキパイに装着してみたところ、ガタもなくぴったり収まった。イモネジを軽く締めてバッフルを固定し、サイレンサーを元どおり取り付けて10分程で左右共装着を完了した。早速近所を試乗してみたが、確かに心持ち音量が絞られていることが確認できた。音質に大きな変化はないようである。多少低音が少なくなった感じはする。エンジンの回り方やトルクの出方は、4000回転程度まででは顕著な変化は感じられなかった。それより上は回していないのでわからない。というか、普段あまり回すことがないので、変化があるかどうかがわからないだろう。音量的にはもう少し静かになってくれてもよかったので、もう少々穴径を絞って(28mm〜30mm程度)オーダーすればよかったかもしれない。しかし、かかった費用は振込み代を入れても4K弱なので、コストパフォーマンスは最高レベルである。 これで少しは肩身の狭さも緩和されるだろう。 |
||
|
||
ドリブンスプロケ(45T) | ||
自分では結構イケテル走りをしているつもりでも、ビデオカメラは正直である。5月に参加した多摩テックで、自分の走りを撮影し帰ってよく見てみたところ、ハッキリ言ってダサダサであった。中でもショックだったのは、オフセットパイロンスラロームのパイロン間の直線で、ほとんど加速らしい加速をしていないことが判明したことである。自分ではしっかりアクセルを開いているつもりだったのだが、実際にはそれは一瞬で、次のパイロンの随分手前でアクセルを戻してしまっている。多摩テックのコースで1分10秒を切る人の走りを観察すると、もっと奥まで(次のパイロンの近くまで)加速を続け、そしてすばやくブレーキをかけ、ブレーキを少し残したまま旋回に入っているように見える。 こうなれば頼るのはパーツしかない。年寄りは体を使うより先にカネを使うのが正解である。というワケで、スプロケ交換によりローギアード化(減速比を大きく)して、アクセルオープンが一瞬でもドバッと前へ出る仕様にすることにした。ノーマルのスプロケはドライブが17T、ドリブンが44T(ED仕様の場合)であり、減速比は2.59である。今回装着したのはドライブが16T(-1)、ドリブンが45T(+1)で減速比は2.81となり、率にして8.66%のローギアード化となる。今回のドライブとドリブンスプロケの組み合わせは、ドライブチェーンの長さ(リンク数=110)変更が不要なことがミソである。通常スプロケを交換するときにはドライブチェーンをセットで交換するらしいが、2万キロ弱を走ったドライブチェーンはまだまったくといっていいほど伸びておらず交換する必要を感じなかった。 実際に乗ってみると、これが大変具合がいい。エンジンが軽く吹けあがるように感じ、加速がいい。また極低速では、いままでより低い速度まで半クラッチなしで走れるようになり、千鳥課題などもやり易くなりそうである。反面、エンジン回転が高い分音がウルサくなり、6速トップギア走行時に7速に入れようとしてしまうことが多くなった。また、流れに乗って走っていてもスピードメータはウシロメタイ速度を表示するようになった。これを書いている時点では、まだ多摩テックに参加できていないので、約12Kを投資したスプロケ交換の効果が出ているかどうかは不明である。 <2004/09/08追記>12Kの効果は出なかった。今日約4ヶ月ぶりに多摩テックのスポライに参加したが、タイムアタックは1分16秒9と今までの最低を記録してしまった。今までの最高記録は、スプロケ交換前(連動ブレーキ解除前)の2004年1月に出した1分14秒4なので、それから2秒5も遅くなっている。改造前と比べると、格段に走り易くはなっているのだが、やはりパーツにカネをかけるよりも腕を磨けという天の声か・・・ |
||
|
||
リアブレーキ バイパス金具 | ||
D-CBS解除その2で、フロントブレーキキャリパの上側と下側のブレーキホース取付口をバイパスする真鍮製金具をロウ付けで製作したが、同様の金具をリアブレーキキャリパ用にも製作することで、現在リアブレーキマスタシリンダとリアブレーキキャリパ間をつないでいる2本のブレーキホースを1本にすることができることに気が付いた。ブレーキホースの総延長が短くなることで、ホースの膨張による油圧損失の軽減が期待できる。 ということで、早速バイパス金具を製作して装着してみたところ、確かにブレーキペダルを踏んでブレーキが効き始める位置でのタッチが硬くなった。効きそのものはあまり変わっていないようには思うが、リアホイールをロックさせることがさらに簡単にできるようになったような感じがする。ブレーキホース1本分の軽量化もできたかに思えるが、真鍮製金具を装着したので差し引きゼロであった。 真鍮製金具の耐久性については不明である。できるだけ丁寧にロウ付けを行ったが、しょせんはシロウトの仕事である。二輪講習会のちまちました走りではリアブレーキを酷使することになり、ブレーキキャリパの温度が非常に高くなる。銀ロウが溶け出す摂氏745度まで高温になることははないと思うが(こんなに高温になるとブレーキフルードが蒸発するか?)、温度変化の繰り返しで真鍮パイプやロウ付け部分にクラックが発生することは考えられる。しばらくは様子を見ながら走る事にしようと思う。 |
||
|
||
ブレーキ&クラッチマスタシリンダ | フロントブレーキキャリパ | ブレーキホース分岐バイパス金具 |
前回のD-CBS解除作業では、ノーマルのフロントブレーキマスタシリンダをそのまま使用することにした。ブレーキのタッチが変化するのを避けるため、ブレーキホースの配管はノーマルと同じとし、左右フロントブレーキキャリパのアッパとロアピストンを動作させた。リアブレーキマスタシリンダで駆動されていたフロントブレーキキャリパのセンタピストンは未使用とした。実際、センタピストンを動作させなくともフロントブレーキ力の不足を感じることはなく、講習会等の全制動課題でも何ら問題を感じなかった。しかしよく考えてみると、この形式のブレーキキャリパに装着されるブレーキパッドは、3つのピストンでバックプレートを押されることを前提として設計されているに違いなく、現時点では制動力に問題が無いとはいえ、長期の使用によりブレーキキャリパやブレーキパッドに何らかの問題が発生するかも知れない。さらには、動かないセンタピストンのシール類は固着してしまうかも知れず、あれこれ考えているうちにセンタピストンを動作させた方がよいのではないかと思うようになった。 しかし、センタピストンを動作させるとなると、いくつかクリアしなければならないハードルがある。まずはフロントブレーキマスタシリンダである。ピストン口径12.70mmのノーマルフロントブレーキマスタシリンダを使用して、左右フロントブレーキキャリパのセンタピストンも動作させるとなると、十中八九ピストンの口径不足(=油圧レシオ上昇)でブレーキのタッチがスポンジーなものになってしまうだろう。これは、現在左右フロントブレーキキャリパのアッパとロアピストン(計4個)を動作させてちょうど良い油圧レシオ(計算上約15.6)で、さらに左右1個ずつのセンタピストンを動作させようとするのであるから当然である。ノーマルフロントブレーキマスタシリンダを使用してセンタピストンも動作させたときの油圧レシオを計算すると約21.9となり、センタピストンを動作させないとき(現仕様)に比べて40%ほど油圧レシオが上昇する。つまり、今までのブレーキレバーの握り代を1とすると1.4まで握りこまないと同じだけキャリパピストンがせり出さないということになる。現在のブレーキタッチを概ね維持したままセンタピストンも動作させるには、油圧レシオが現在の値(15.6)に近くなるような、ピストン口径のより大きいフロントブレーキマスタシリンダを新たに導入すればよい(高価なラジアルマスタを導入するつもりはさらさらないので、レバーレシオはこの際考えない事にする)。この考えに沿って適当なフロントブレーキマスタシリンダを探したところ、クラッチ側に導入したブレンボ汎用クラッチマスタと対になる(同デザイン)ブレンボ汎用ブレーキマスタがピストン口径15.88mm(5/8インチ)で、これを使ってセンタピストンも動作させたときの油圧レシオは約14.0になることがわかった。現在の油圧レシオである15.6より10%ほど油圧レシオは低いが、まあ許容範囲だろうし、むしろ少し固めのタッチになることを期待して購入に踏み切った。値段は約1.7Kでブレンボラジアルブレーキマスタに比べると半額以下である。また、既にクラッチ側に導入してあったアントライオン製のビレットレバーも購入した。ちなみにこのブレーキとクラッチマスタシリンダのレバーは共通なので、左右別々に予備レバーを持ち歩く必要がないのは良い。 次のハードルはブレーキホースの配管である。D-CBSシステムでは、左右フロントブレーキキャリパのセンタピストンは、リアブレーキマスタシリンダにより駆動されていて、ブレーキホースの配管はリアから延びてきて、フロントブレーキキャリパの下側のブレーキホース取付口に接続されている。フロントブレーキキャリパ上側のブレーキホース取付口はアッパとロアピストン用であり、フロントブレーキマスタシリンダからのブレーキホースが接続されている。つまりブラックバードのブレーキキャリパは内部に2系統の油圧経路を持っている。今回はひとつのフロントブレーキマスタシリンダで左右フロントブレーキキャリパのすべてのピストン(アッパ・センタ・ロア)を動作させるのであるから、ブレーキキャリパ内部の2系統の油圧経路を何処かで接続しなければならない。TSRのD-CBS解除キットでは、フロントブレーキマスタシリンダとキャリパの中間点あたりで(高価な)分岐金具を使って油圧経路を接続している。パッセージのD-CBS解除キットでは、ごく短いブレーキホースでフロントブレーキキャリパの上側と下側のブレーキホース取付口をバイパスすることで油圧経路を接続している。分岐金具が多用されているTSR案は見てくれは良いのだが、アールズやグッドリッチ製の分岐金具には法外な値段が付いているので、同様のものをパーツを買ってきて自作するとなると、相当の出費を覚悟する必要がある。さらに、フロントブレーキマスタシリンダとキャリパの中間点あたりで分岐金具を使用している関係上、使われているブレーキホースの総延長が長く、いくらステンレスメッシュホースとはいえ、ホースの膨張による油圧損失が結構ありそうな感じがする。その点、パッセージ案は見てくれはあまり良くないが、使われているブレーキホースの総延長が短い分、油圧損失は比較的少なそうである。しかし、フロントブレーキマスタシリンダから直接2本のブレーキホースが出ているあたりはまだ改良の余地がある。 というワケで、今回はパッセージ案を基本として少しでも油圧損失を減らすというテーマでフロントブレーキラインを考えることにした。フロントブレーキマスタシリンダからは1本だけホースを出し、それをフロントフェンダの上部で分岐させ(h形)、左右のフロントブレーキキャリパに振り分ける。この方式の利点はブレーキホースの総延長が最短になることである。分岐金具は買うと高いので、15mmのアルミ合金版を切り出して、M10・P1.25のタップを立てて自作した。振り分けたブレーキホースを各フロントブレーキキャリパ上側のブレーキホース取付口に接続する。ブレーキホースは、既に装着していたプロトアールズのスウェッジラインを加工して再利用した。スウェッジラインを2分し、切断部分にアールズのバンジョーアダプターフィッティングを装着した。つまり1本のスウェッジラインブレーキホースから、片側はもともとのスウェッジラインの金具(カシメ)で、もう片側はバンジョーアダプターフィッティングの付いたブレーキホース2本ができあがるわけである。ブレーキキャリパ内部の2系統の油圧経路を接続するためフロントブレーキキャリパの上側と下側のブレーキホース取付口をバイパスするが、そのために直径15mmの真鍮丸棒を輪切りにしてボール盤で10mmの穴を開け、それら2個を外形3mmの真鍮パイプで接続(ロウ付け)した金具を自作した。バイパスホースの代わりに金具を使ったので、ここでの油圧損失はゼロである。 上の改造を行った結果、改造前と比べて楽にブレーキを強く効かせることができるようになった。レバーのタッチは硬くなったのだが、硬くなったところからブレーキが強く効き始めるようになり、全制動を行ったとき、特に初期に強く減速ができるようになったと感じる。油圧損失減少作戦が効いているのか。ただ、コントローラブルになったか言われれば、特にコントロールしやすくなったとは感じない。パニックブレーキをかけたときに、握りゴケしやすくなったような気はする。このブレーキのフィーリングに慣れる前にパニックブレーキをかける場面には遭遇したくないと思う。ブレンボ製4ポッドキャリパを入れればフィーリングは格段に良くなるというのはわかっているのだが、せっかくここまでガンバッてみたので、しばらくはこの仕様を楽しむことにしようと思う。 |
||
|
||
トルクロッドとサポート | フロントブレーキキャリパ | リアブレーキキャリパ |
2004年6月に参加した武蔵野署ワンディ・バイクスクールで、ブラックバードと同じD-CBS(前後連動ブレーキ)が装備されているHONDA
VFR(RC46)に乗るA特別指導員に、彼のVFRのブレーキについて話を聞いたところ、やはり連動を解除されていることがわかった。実は講習会へ頻繁に参加するようになり、それまでは全く気にならなかった前後連動ブレーキの存在が気になるようになってきたのだ。まず、その恩恵を感じるのは、うたい文句どおり急制動(全制動)での安定感である。ブラックバードは重量級(乾燥重量224kg:01年式ED仕様)バイクであるが、このD-CBSのお陰で、車体を垂直に保ちブレーキレバーを強く握りフットブレーキを強く踏むだけで、誰でも簡単に安定した急制動を行うことができる。まさに重量級バイクにはふさわしいシステムであると感じる。しかし、この重量級バイクでちまちました講習会の課題コースを早く走ろうとすると(これがそもそもの間違いなのだが)、前後連動ブレーキが邪魔をし始める。特に問題があると感じるのは、フットブレーキペダルを踏むと前輪にもブレーキがかかるので、コーナリング中にフットブレーキを踏むと、フロントフォークが縮んで意図せぬ姿勢変化(フラつき)を起こしてしまうことである。そこそこのペース(中級の真ん中までぐらいか)で走っている分には何とかなるのだが、それ以上のペースで走ろうとすると、8の字やコーススラローム等の定常円旋回っぽいところでフラつくことが多くなってくる。早く走ろうとすると、コーナリング中にアクセルを開き気味にして、フットブレーキで速度(と姿勢)を調節するのだが、アクセルを開き気味な分、フットブレーキも強く踏む必要があるので、前輪にも強くブレーキがかかり、しかもフットブレーキを踏んでいるのは足なので、力加減の微妙なコントロールが難しく、少し力を弱めたり強めたりしただけで前輪の制動力が大きく変化しまい、その結果フラついてしまう。 カミさんはちまちましたところを走るようなバイクに買い換えればいいのにと言うのだが、カミさんをそうそう簡単に取り替えられないのと同じで、愛着のあるものをそうそう簡単に買い換えられるものではない。という訳で、すべてのブラックバードオーナーが通る道(違うか)である前後連動ブレーキ解除を行う事にした。ブレーキは安全上大変重要な装置なので、自己責任において勝手に改造を行うにあたっては、その仕組みを完全に理解してからの方が長生きできる。ここで私が理解したところのブラックバードの前後連動ブレーキのしくみを解説しておくと、ブラックバードのブレーキキャリパはすべてピンスライド片押し3ポッド(ピストン)であり、ハンドブレーキレバーを引くと、その油圧は左右フロントブレーキキャリパのアッパとロアのピストン(片側2個ずつで計4個)を押し前輪にブレーキがかかる。同時に左フロントブレーキキャリパブラケットは、ブレーキディスクを掴んだブレーキキャリパに引っ張られてそのピボットを中心に回転運動を起こし、ブラケットに締結してあるセカンダリマスタシリンダのプッシュロッドを押す。そこで発生した油圧はPCVを介してリアブレーキキャリパのフロントとリアのピストン(2個)を押し後輪にブレーキがかかる。以上がハンドブレーキレバーを引いたときの動作である。フットブレーキペダルを踏むと、その油圧はリアブレーキキャリパのセンタピストン(1個)を押し後輪にブレーキがかかる。同じ油圧は前輪にも送られ、ディレイバルブを介して左右フロントブレーキキャリパのセンタピストン(片側1個ずつで計2個)を押し前輪にブレーキがかかる。さらに左フロントブレーキキャリパブラケットはセカンダリマスタシリンダのプッシュロッドを押し、その油圧はリアブレーキキャリパのフロントとリアのピストン(2個)を押して後輪に(さらに)ブレーキがかかる。以上がフットブレーキペダルを踏んだときの動作である。 前後連動ブレーキを解除するためには、セカンダリマスタシリンダで発生する油圧をリアブレーキキャリパに伝わらなくし、かつフットブレーキペダルで発生する油圧をフロントブレーキキャリパに伝わらなくする。その上でフロント・リア共に十分な制動力を発揮できるように工夫すればよい。 ポピュラーな前後連動ブレーキの解除方法としては、ブレンボの対向4ポッドキャリパ2個(左右)とそれに対応するキャリパサポート(TSRやアクティブ等)、それに口径5/8インチ(約15.9mm)以上のブレーキマスタシリンダを用意し、フロントブレーキ廻り一式をごっそり交換してしまう。リアは純正ブレーキマスタシリンダ(口径11/16インチ、約17.5mm)で純正リアキャリパの3個のピストンを押す方法、つまりブレーキホースだけでなんとかするやり方が主流のようである。しかしこれを全部行うと部品代だけで相当な金額がかかる。リアブレーキについてはこの方法を採用するとしても、フロントブレーキ廻りはもう少し何とかならないかと調査してみた。リアブレーキと同じように、できるだけ純正品を活かした方法をと考えていたところ、パッセージ製のD-CBSキャンセルキットがそれを実現しており、そのアイデアを拝借することにした。このキットはセカンダリマスタシリンダを置き換えるトルクロッドとステンレスメッシュブレーキホースから構成されているシンプルな製品である。このトルクロッドがキモで、セカンダリマスタシリンダを置き換えると同時に左フロントブレーキキャリパブラケットを固定する。キャリパブラケットはセカンダリマスタシリンダを押したときの位置で(トルクロッドによって)固定されることにより、純正左フロントブレーキキャリパが使用可能になる。このアイデアを拝借するにあたってパッセージにトルクロッドだけ販売してくれるかどうか尋ねることも考えたが、「トルクロッド単体では売らないよ」と言われると悔しいので、その機能を持つパーツを自作する事にした。雑誌をめくってパッセージのトルクロッドの写真を仔細に観察すると、それはセカンダリマスタシリンダのプッシュロッドとピローボールを合体させてあるように見える。つまり純正部品のプッシュロッドを単体で入手し、汎用のピローボールとうまく組み合わせればよい。しかしパッセージのトルクロッドで前からひとつ気になっていたことは、トルクロッドの一端をフロントフォークのブラケットに1箇所だけで固定することである。セカンダリマスタシリンダを固定していたブラケットはフロントフォークに2つあるので、2つ共を使用してブレーキのトルクを受けたほうが強度的により安心なのは言うまでもない。ということで、パッセージのトルクロッド丸ごとコピー案を却下し、15mm厚のアルミ板からトルクロッドサポートを切り出すことにした。そのトルクロッドサポートをフロントフォークのブラケット2箇所で固定し、それへトルクロッドを固定する。トルクロッドは純正部品のプッシュロッドを2個組み合わせて製作する事にした。ナップス世田谷店でプッシュロッドAssyを2個注文し、東急ハンズでアルミ板を調達して出来上がったのが写真のトルクロッドサポートとトルクロッドである。トルクロッドサポートの製作に半日以上を費やしたが、アルミ表面の仕上げはさておき、結構サマになったと自画自賛である。トルクロッドの方も純正プッシュロッドの長さ調整機構をそのまま利用できるので、キャリパブラケットの微妙な位置調整も思いのままである。フロントブレーキホースの配管についてはオリジナルのままとした。つまりハンドブレーキレバーで動作するのは左右フロントブレーキキャリパのアッパとロアのピストンで、リアブレーキペダルの油圧で押されていたセンタピストンを未使用とした。使用しないセンタピストンについてはブレーキパッド背面と干渉しないように奥まで押し戻した上でフルード通路にブレーキフルードを満たし、ブレーキホース接続口はバンジョーボルトの代わりにM10(ピッチ1.25mm)のボルトを短くカットしたものでフタをした。リアブレーキに関しては50cm長のステンレスメッシュホース2本を調達し、前述のとおり純正リアブレーキマスタシリンダとリアブレーキキャリパを直に接続した。 ひと回り近所を試乗してみたところ、前後連動ブレーキ解除前と比べて、ブレーキの効きについては普通に信号で停止する分には違いがわからなかった。姿勢変化については、ハンドブレーキだけをかけたときに、以前よりノーズダイブが大きく出るようになったと感じた。姿勢変化を積極的に向き変えに使えるほどのライテクはないが、少なくともその環境は手に入れたというところか。連動ブレーキ解除前には相当強くフットブレーキペダルを踏まなければできなかったリアホイールのロックが、比較的簡単にできるようになった。これは柏さんのスクールで役に立ちそうだ。これを書いている時点では、D-CBS解除後まだ講習会に参加できていないので、最大の懸案であった定常円旋回でのフラつきがなくなるかどうかは確認できていない。今後の展開としては、もし急制動などでブレーキの効きがあまいと感じるようなら、口径5/8インチ程度のブレーキマスタシリンダと短いブレーキホースを調達して、左右フロントブレーキキャリパのセンタピストンを作動させてみよう。それでもよくなければブレンボのブレーキキャリパにしてみよう。なんだ、結局ブレンボにするのかって? |
||
|
||
ブレンボクラッチマスタ(13φ) | アントライオンビレットレバー | |
2002年3月に導入したブレンボ ラジアル クラッチマスタだが、ここにきてクラッチフルードが漏れるようになってきた。インナーカウル上面にオイル様のものが付着するようになったので何か変だとは思っていたものの、あるときクラッチマスタポンプのゴムブーツからしたたるクラッチフルードを見てしまった。まさか大枚はたいて買ったブレンボ殿がこんなにも早く逝ってしまわれるとは・・・ 嘆いていても仕方がない。モデルチェンジ前のブレンボ ラジアル クラッチマスタは残念ながらオーバーホールできないので、潔く交換するしかない。しかし再び同じ製品を大枚はたいて買うのも芸がない。保管してある純正クラッチマスタに戻すことも考えたが、ノーマルのクラッチは重過ぎで、腱鞘炎が再発する恐れがある。で、調べてみたところ、ラジアルでない普通のクラッチマスタでもピストン口径が小さければ、パスカルの原理(法則だったっけ?)によってクラッチの操作力は軽くなる可能性があることがわかった。ブラックバード純正クラッチマスタはピストン口径が14mmなので(これは後で間違いであることがわかった)、それより口径が小さいものがあれば、コストパフォーマンス良くクラッチの操作力を低減することができるかもしれない。で、ジャの道はヘビ、あるんですな、これが。ブレンボが汎用品(ドカティ用の補修パーツ?)としてリリースしているクラッチマスタはピストン口径が13mm。しかも値段は15K程度ときている。早速購入して装着してみることにした。 この地味なブレンボ汎用クラッチマスタの操作力は、逝ってしまったラジアル クラッチマスタよりは重いが、しかし左手が記憶している純正クラッチマスタの操作力よりは確実に軽い!やったね、頭脳の勝利!しかし、後でよくよく調べてみると、なんと99年式以降のブラックバード純正クラッチマスタのピストン口径は12.7mmであることが判明した(97・98年式は14mm)。ということは、クラッチマスタのピストン口径は、ブレンボ汎用クラッチマスタよりも、むしろ純正品の方が小さい。パスカルの原理(定理だったっけ?)で考えると、純正品クラッチマスタの操作力のほうが軽いはずなのである。しかし、左手が記憶している純正クラッチマスタの操作力より、このブレンボ汎用クラッチマスタの方が確実に軽い。レバー比の違いというものがあるらしいので、単にピストンの口径だけで重い軽いは決められないらしいのだが、難しいことは措いておいても結果オーライで良しとしよう。 クラッチレバーはブレーキ側と合わせるために、アントライオン製のビレットレバーにした。このレバーはコケても折れにくいので、講習会や遠出したときの保険の意味もある。 |
||
|
||
アントライオンハンドルクランプ | ||
2002年9月に行ったバーハンドル化だが、その後1年半余りが経過し、最初のうちはたいへん楽チンだと感じていたポジションが、寄る年波と共にだんだんキツクなってきた。軽い前傾姿勢なのだが、グリップエンド位置がもうハンドル1〜2本分手前にきてくれると、より腰にやさしくなる。という訳で、ハンドルクランプをアントライオン製の16mmアップ/14mmバックのものに交換してみた。ハンドルバーの交換も考えたが、スクリーンと干渉しないバーの選定、スイッチボックスの穴開けやハンドルバーを好みの長さにカットするなどの作業を考えると、てっとり早く効果が得られるハンドルクランプの交換を選択した。 このハンドルクランプに交換することによってさらにハンドル位置が上がり、ルックスは完璧なオジサンバイクになった。そこまでするならネイキッドに買い換えろよという説もあるが、ブラックバードでどこまでできるのかを追求していきたいのでしばらくは買い換えるつもりはない。たかが16mmアップ/14mmバックであるが、ポジションは随分と楽になった。そもそもブラックバードは大柄な欧米人の体格に合わせて設計されているので、これでやっと普通の日本人の体格に合うモノになったような感じだ。心配していたスクリーンとハンドルバー(ブレーキレバー・クラッチレバー)との干渉も、以前にスクリーンをカットしてあったため問題なかった。ホース・ワイヤー類も既に長いものに交換してあり、今回交換の必要はなかった。 二輪車ETCモニタは終了したので、昨年9月に装着したハンドルブレースを、このハンドルクランプを取り付ける際に取り去った。 |
||