KAWASAKI 1400GTR 2008 | ||
|
||
HIDキット一式 | バラスト設置位置 | HIDコントロールリレーボックス |
HIDバーナー | 点灯状態 | 運転席からの視界 |
1400GTRのヘッドライトは、60/55WのH4ハロゲンバルブが2個付いている割には暗い。消費電力35WのHIDを1個付けたブラックバードの方がむしろ明るかったくらいで、ロービーム時に110Wの電力を消費しながら暗いとは情けない。筆者は公道では事故に遭うリスクを減らすため、昼間でも必ず灯火を点ける。被視認性を高める目的で灯火を点けるのだが、ヘッドライトが暗ければ、その効果が減少するのは明らかである。そこでハロゲンバルブをHIDに交換して、ヘッドライトを明るくすることにした。某オークションで入手したのは、中国製と思しきあやしげなHIDコンバージョンキットである。バラストとイグナイターは一体式で、HIDバーナーは35W、色温度6000KのH4のHi/Lo切り替え式、HIDのOn/OffとHi/Lo切り替えをコントロールするリレーボックスも同梱されている。このような豪華な構成で、価格はなんと送料込み21Kとやはりあやしい。同等品の一般的な価格としては、CRUIZE製などの比較的廉価な汎用キットで50K程度、高級ブランドアブソリュート製の車種別キットとなると130Kはくだらない。送料込み21Kというのは、悪評高いサンテカ製といい勝負かむしろ安いくらいで、きちんと動けばコストパフォーマンスは高いが、これを購入する者はギャンブラーと呼ばれてもおかしくない。 取り付けはもちろんDIYである。1400GTRは比較的新しい車種なので、ネット上にHIDの取り付けレポートが乏しく、一番厄介なバラストの設置場所に関する情報が少ない。海外サイトではバラストを左右のインナーカバー(ハンドルグリップ直下の黒いプラスチック部分)の裏側(下面)に両面テープで貼り付けた例があったが、重いバラストをプラスチックに固定するのは、筆者としてはあまり気が進まない。そこで車体前半部のフェアリングというフェアリングををすべて取り外し、バラストを様々な場所にあてがってみたところ、最終的にメーターパネル裏に適当なスペースが見つかったので、そこにタイラップで固定することにした。HID点灯用の主電源は左側ミドルフェアリング内側のHi側ヘッドライトリレーから取り、近くに設置したリレーボックスに入力した。この電源は車両側15Aのフューズを経由したものであるが、HIDの点灯初期には一時的にこの容量を超えてしまう可能性があるかもしれないので、このフューズを20Aのものに交換した。このフューズが容量オーバーで切れるような場合には、バッテリーから直接電源を引くことになるだろう。 ヘッドライトユニットからハロゲンバルブを取り外し、代わりにHIDバーナーを取り付ける。アッパーフェアリングは外してあるので作業はやり易い。HIDバーナーの後部にはHi/Loを切り替えるためのソレノイドが付いているが、この部分が通常のH4バルブよりかなり大きく、この部分をクリアするため、HIDバーナーに後ろから被せるゴム製ダストカバーに少々切り込みを入れる必要があった。HIDバーナーを取り付けたアッパーフェアリングを車体に取り付け、ハンドルを左右に切って、ソレノイド部分がフロントフォークに干渉しないことを確認した。元々のH4ハロゲンバルブにつなぐ電源コネクタの左右どちらか一方をリレーボックスの入力とする。これはHIDのOn/OffとHi/Lo切り替えのトリガーとなる。もう一方の電源コネクタは使用しないのでショートしないようビニールテープを巻いておいた。バラストからの高電圧出力ラインと、リレーボックスからのソレノイド制御ラインを左右のHIDバーナーに接続する。これで配線は完了なので、外したフェアリングを元に戻す前に点灯試験を行う。 おそるおそるエンジンを掛けると、HIDは筆者の心配をよそにあっけなく点灯した。安定点灯後の明るさは、標準のハロゲンバルブとは比較にならないくらい明るいが、光の色が非常に青く対象物が少し見にくいように感じた。筆者は4300Kを超える色温度のHIDを装備するのは初めてだが、巷で言われているように、4300K程度が一番対象物が見易いというのはウソではないようだ。Lo側の配光と光軸はハロゲンバルブとあまり変わりがないようである。壁に光を当ててみると、上側のカットラインがハロゲンと比べて少々曖昧になったような気もする。次にHiビームへの切り替えを行ってみた。ソレノイドの作動時に「ガッ」と大きな音がして振動も感じるが、切り替えそのものは問題なくできた。このHIDバーナーのHi/Lo切り替えは、HIDバーナー自体をソレノイドで前後に動かし、発光点を移動することで行うしくみである。そのため、Hi/Lo切り替え時に照らす場所が上下に動くのが見えて面白い。Hi側の光軸はかなり高いようで、おそらく水平より若干高いような感じがする。このあたりは廉価なあやしい中国製HIDの面目躍如といったところか。運用上はLo側でも十分な光量があるので、Hi側はパッシング専用と割り切ってしまえば、高めの光軸はむしろ都合が良いと考えることにした。 前に回ってみると、Lo側で光軸がハロゲンバルブとほとんど同じで、またHIDバーナーの先端がきちんと遮光されていることもあり、眩しさはなく対向車に対しても全く問題がないようである。ただし、6000KのHIDバーナーの色温度と、シティライト(ポジションランプ)の色温度があまりにも違いすぎることには愕然とした。これは、早速NAPSでPIAA製のLEDポジションランプを入手し、元のバルブと交換しした。前に回ってみて初めて、HIDバーナーの色温度が左右で微妙に異なることに気付いた。特に点灯直後にその差が顕著で、安定点灯するにしたがってその差は小さくなり、やがてパッと見ではまずわからない程度までにはなるが、とりあえずダメ元で購入先にHIDバーナーを交換してもらえるかどうかメールで問い合わせてみた。届いた回答は、「色温度の違いは個人の感じ方によるので基本的に交換には応じられないが、色温度の違うHIDバーナーが混入している可能性も否定できないので、HIDバーナーを元払いで送ってくれれば調査して必要に応じ対応する」というものであった。現象的には右と左が色温度の違うHIDバーナーであるというほどハッキリしたものではなく、またHIDバーナーを取り外すためにフェアリング一式を脱着し、取り付ける際にまた同じことをするのも面倒なので、今回HIDバーナーを送って調査してもらうのはやめにした。このあたりは廉価なHIDにもれなく付いてくるリスクとして受け入れるのが吉であろう。販売元としても、上代21K程度の商品では、このような調査を1回行うだけでモトが取れなくなるであろう。それにこのHIDは廉価ではあるが1年間の保証もついているので、もしも点かなくなってしまったような場合には対応してもらうことができる。 これを書いている時点で、取り付けから約1ヶ月が経過したが、今のところ何の不具合も発生していない。不点灯や点灯後のちらつきなどもなく、故障が多いらしいソレノイドも健在で、1日10回程度のパッシングをこなしている。バラストから出る電磁波や電源電圧のドロップ等で、電子的なパーツに影響を与える例が報告されているが、今のところそれらしい不具合には遭遇していない。夜間走行時には十分な前方視界を提供してくれているし、昼間の被視認性も大幅に向上したはずである。送料込み21KのあやしいHIDがどこまで使えるのか、安物買いのナントカになるのか、コストパフォーマンスは結局高いのか低いのか、なかなか興味深い実験が始まった。 <2009年12月追記> 使用開始からちょうど2年の2009年12月、右側ヘッドライトに入れていたバーナーが点かなくなった。バーナーのガラス部分にひびが入っており、どうやら寿命を迎えたようである。昨今のHIDキットの低価格化を考えれば、筆者的にはこの21KのHIDはもう一年くらいは使えてもよかったかなという気がする。しかし考えてもみると、壊れたのはバーナーだけでバラストやリレーは健在であり、それらは新しく購入したバーナーで問題なく使えていることを考慮すれば、このあやしい中国製HIDキットのコストパフォーマンスは十分許容範囲であろう。 |
||
|
||
点滅式リアマーカー | 点滅式リアマーカー(動画) | ハイマウントハザード(動画) |
バイクは道路上で常に四輪車からの脅威にさらされている。つい最近も朝の通勤時に、横道からじりじり出てきたドイツ製高級車にメンチ(これって大阪弁?)一発くれてやったら、その後しつこくアオってきた。その品の無い走りから、どうせムリかズルして手に入れた(または借り物の)クルマだと思われ、別に腹も立たなかったが、脅威であることに変わりはない。ただ、この手のヤツらは乗っているクルマをキズものにするほどの度胸はない。つまり、この脅威が事故に発展することは少ない。この手のイキリ(これも大阪弁?)は、ヘルメットに貼ってある警視庁交通部特製警察紋章入りステッカーを見ると大概おとなしくなる。 このような脅威より、実はもっと恐ろしいのが漫然運転者、すなわち道路上のKY君達である。この警察紋章が通用しない者達は、自分の周りの空気(K)が読めない(Y)ので、常に自己中心的にクルマを走らせる。始末におえないのは、それを本人たちが全く認識していないことで、道路上のすべての危険は、自分以外の交通により発生すると思っている。また一旦事故を起こせば、それがどのような状況であろうとも自分に非はないと主張する。バイクに乗る知人のうち2名が、このようなKY君に信号待ちで追突された経験を持っていて、双方の事例ともバイクは大破全損し、そのうち1名は事故の後遺症の腰痛に苦しんでいる。 KY君達は任意保険に加入していないことが多い。追突された場合など、自分に非のない0:100の事故に自分の任意保険は使えない。任意保険に加入していないKY君からカネをとるには、自分の任意保険に弁護士費用特約を付帯しているかどうかがカギになる。ところが、裁判の確定判決が出てもカネを払わないのがKY君達のKY君達たる所以である。そこで確定判決をもって強制執行を行うことになる。しかし実際ここまでやると、おそらく別の脅威にさらされることになるだろう。つまり、この手の輩は自分の非を認める能力が欠落しているだけならよいが、元来が自己中心的性格であるがゆえ、逆恨みにより自分や自分の家族に危害が及ぶ可能性がある。 つまり始めからKY君達の餌食にならないように、考えうる手段をあらかじめ講じておくことは決して無駄ではないということになる。例えば、KY君達の追突攻撃から身を守るには、こちらから能動的にその者達の動きに注意を払い、その脅威から遠ざかれるよう準備し行動する。具体的には、信号待ちで前車に続いて停車するときには、前車の右か左のどちらか、前車とその隣の車両との隙間の大きい方にバイクをオフセットし、いつでもそのエスケープゾーンに逃げられるようにしておく。そして後続の車両が完全停止するまでは、クラッチを握ってギアを1速に入れ、バックミラーを見ながら待つ。これだけで、かなりの確率でKY君達の餌食になることを避けることができる。 さらに、KY君達のその散漫な注意力と幼稚園児並みの洞察力をもってしても、自然とブレーキに足をのせるように仕向けるハードウェアを装備することが考えられる。KY君達は、なにも意図的に事故を起こそうとしているわけではないが、周りの空気を読む能力が欠如しているがゆえに、円滑な道路交通を掻き乱し、自ら事故を起こすばかりでなく事故を誘発するのである。そこで、その散漫な注意力をもってしても、自分の前方にバイクがいることを強制的に認知させるべく、点滅式リアマーカーランプを装備した。これは、以前ブラックバードに装備していたものと同様に、点滅コントローラーにより数秒に1回後方に青色の光をフラッシュする。また今回はブレーキランプに連動して点灯するようにもした。この手のマーカーランプは、後続車にこのバイクのライダーがあたかもヤンキー(イントネーションに注意)であるかのような印象を与える効果もあり、走行中車間距離を詰めがちなKY君に対しても有効な場合がある。 点滅式リアマーカーランプと同時にハイマウントハザードも装備した。これは渋滞末尾などで追突を避けるためにハザードランプを点滅させた際に、リアのトップケースに付いているブレーキランプを点滅させ、KY君達の幼稚園児並みの洞察力をもってして、自分の前方に何らかの異変が発生していることに気づかせることを期待する装置である。この装置を作動させると、後続車の運転手が「おや?」としている顔や、こちらを指差しながら助手席の者と何かを話している様子を時々バックミラーの中に見ることができる。ハイマウントハザードに対するものなのかどうかは実際にはわからないが、単にハザードを点滅させているより以上の注意を後続車に喚起する効果はあるように思われる。 (保安基準では一般の車両で方向指示器以外の自動点滅式の灯火は認められていません。改造は自己責任で。) |
||
|
||
GIVI E370トップケース | 自作リアキャリア棚板 | リアキャリア棚板(製作途中) |
バイクで通勤するには、トップケースが必需品である。バイクで通勤するとわかるが、朝道路で出会うバイク通勤と思しき車両には、トップケースが装着されている率が高い。シート下に広大なトランクがあるはずのビッグスクーターでさえ、かなりの高率でトップケースを装備しているように思う。シート下に荷物が積めない1400GTRで通勤するには、標準装備のサイドパニアケースに荷物を積むか、純正オプションまたはサードパーティー製のトップケースを取り付けて、そこに荷物を積む必要がある。荷物をケースに入れず、ライダーがディパックを背負うという手もあるが、筆者はそれをすると異様に肩が凝るので、緊急時以外はしたくない。それにもし万が一コケたときに、受け身を取る邪魔になるに決まっている。 財布や免許証の入ったバッグ、弁当箱、U字ロックやディスクロックなど、細々(こまごま)した荷物を積むのにはトップケースが最良である。トップケースの位置は比較的上にあるので、フタの開閉や鍵の操作にいちいちかがみ込む必要がない。これは腰痛持ちにとっては大切なことである。また、フタが上に開くので荷物の出し入れに気を使わなくて済むし、走行中トップケースの中で小物が動いても、フタを開けたときにそれらが転がり出ることはない。サイドパニアケースはでこうはいかず、横に開くフタを開閉する際には、転がり出る小物に気を配らなければならない。トップケースはカッコ悪いという意見もあるが、カッコ良い・悪いなどというのは絶対的な基準ではなく、各個人の審美的感覚、それに経験やトラウマに大きく依存する。つまりそのバイクに乗っているライダー自身が、カッコ悪いと思ってさえいなければそれでよいのである。 筆者は前車ブラックバードにもトップケースを取り付けており、その便利さが身に沁みていたので、1400GTRには一も二もなくトップケースを取り付けるつもりであった。ブラックバードに取り付けていたのは、イタリアGIVI社製のE16という26リットルの容量のものである。このE16はトップケースの中ではかなり容量の小さいものであるが、長年通勤や買い物に使ってきて容量の不足を感じたことは数えるほどしかなかった。小さい分車体にかかるストレスも小さいはずで、ベースプレートやキャリアにクラックが発生するなどの問題は一度も起きなかった。しかし、このトップケースはどちらかといえば125ccまでの小型スクーターに取り付けられている場合が多く、しかも所有していたのは廉価な無塗装版だったので、ブラックバードに取り付けるとかなり貧相に見えたのも事実である。 そこで今回のトップケースはもう少々容量が大きく、しかもあらかじめ塗装してあるものを奢ることにした。カワサキから純正オプションとして用意されているトップケースは、39リットルと容量的には十分である。しかし価格は37,800円もして、しかも塗装済みトップケースカバーは別売である。それが28,350円という設定なので、二つあわせると66,150円にもなる。確かに純正色の純正品であれば、デザイン的にも収まりは良いだろうが、いかんせんこの値段では、筆者には端(はな)から検討対象となり得なかった。GIVI社製のものには、同容量のトップケースとしてE370があり、塗装済みのもので定価23,100円、実売では2万円前後である。この程度がプラスチック製のハコに支払うことのできる標準的な金額であろう。シルバーの塗装色も設定されていて、車体色のニュートロンシルバーとはかなり色合いが違うが、よほど気に入らなければ、後で塗装に出せばよい。今回はこのE370を取り付けることにした。 GIVI社製のほとんどのトップケースには、オプションとして後付けストップランプが用意されていて、E370も例外ではない。1400GTRの車体側のストップランプは、リアキャリアの直下に設置されているが、リアキャリアにトップケースを取り付けると、トップケース自体がかなりリアキャリアの後端からはみ出すので、後上方からはこのストップランプが視認しにくくなる。 このため運転席が高い位置にある大型トラックやダンプカーからストップランプが見えない可能性がある。いくら大柄な1400GTRとて、これらの大型車両に追突されてはひとたまりもないので、トップケースにオプションのストップランプも取り付けることにした。E370にオプションのストップランプは、バルブ(電球)タイプで、LEDタイプではない。 1400GTRの納車前に、情報収集のため海外の1400GTRユーザーグループの書き込み(A, B)を眺めていたところ、1400GTR標準のリアキャリアの樹脂製棚板は、トップケースを取り付けて耐え得るほどの強度がないことがわかった。棚板が走行中に破損し、取り付けていたトップケースがハイウェイ上を転がったとか、ブレーキをかけるとライダーに突進してきたなどのトラブルに遭ったユーザーが実際にいるのである。対応策としてアルミ板で強度のある棚板を自作したユーザーもいるし、また既にサードパーティー製の棚板が何種類も発売されていることもわかった。筆者もそれらの情報を参考に、アルミ合金版でリアキャリアの棚板を自作することにした。デザインは標準の棚板の形を元に、上に載せるトップケースのベースプレートの裏面全体が棚板と接するように、長さを後方へ延長した形とした。ネットで入手した6mm厚、約30cm四方のアルミ合金版を金ノコとやすりを駆使してデザインどおりに整形し、最後に黒のつや消し缶スプレーで塗装して仕上げた。 自作した棚板を車体に取り付け、トップケースを取り付けてみたところ、シルバーの色合いが違うのが少々気になる以外は、カタチ的にはそれなりにまとまりのあるものとなった。トップケースの品質感に問題はなく、車体側の品質感との違和感もない。ケースのフタのロック・アンロックの方式も以前のE16と比べ使い易い。自作した棚板の強度も申し分なく、トップケースに少々重い荷物を入れても何の問題も起きないだろう。トップケースにオプションのストップランプは、バルブタイプなので明るさも十分で、きちんとハイマウントストップランプとして機能している。使ってみるとトップケースはやはり便利で、それがあるのとないのとでは、コミューターや買い物の足としてのバイクの使い勝手に雲泥の差が出る。 <2008/02/05追記> リアキャリアの樹脂製棚板は、やはりリコールの対象となった。ブライトのホームページによると、これを書いている時点で1400GTRには2件のリコールが出されており、そのうちの1件がこのリアキャリア樹脂製棚板に関するものである。ところが、筆者の車両は対象車台番号の範囲外であった。つまり筆者の車両の棚板は既に対策品であるらしい。かといって、せっかく製作したアルミ合金製棚板をやめて樹脂製棚板に戻すつもりもない。ちなみにもう1件のリコールは、パニアケース(サドルバック)のフックの強度不足に関するものであり、これは筆者の車両も対象になっていた。実際ディーラーからは、今日このパニアケースのリコールに関する連絡があった。やはりしっかりしたディーラーで購入してよかった。 |
||
|
||
バグスター タンクカバー | 正しい装着方法 | 小物入れへのアクセス |
前車ブラックバードにも装着していたバグスターのタンクカバーを導入した。このタンクカバーは表面が皮革風のビニール素材で汚れがつきにくく、裏面はやわらかいスポンジ素材でガソリンタンクの細かなキズ付き防止に有効である。ブラックバードでは長い間ガソリンタンクの塗装面を新品同様に保つことができた。また、このタンクカバーはインジェクション仕様のバイクによくある、ガソリンタンクが熱くなることによる太モモ内側のやけど防止にも効果がある。ただし、裏面のスポンジ素材は水を吸うので、洗車の際には取り外す必要があるし、大雨走行後には取り外して乾かす必要もある。筆者はこれらの手間より効用の方が大きいと判断して、今回再び導入することにした。 1400GTR用のタンクカバーはメタリックブラックとブラック、それに今回導入したスチールグレイの3色がラインナップされている。このスチールグレイは車体色のニュートロンシルバーとはかなり色合いが異なる。これは、現品を見ずに通販で購入したので、装着してみるまでわからななかった。後で考えるとブラックという選択肢もあったかもしれない。他車種用のものと同様に、タンクカバーには専用のタンクバッグを装着するためのブラケットがついている。このタンクカバーには「GTR」のロゴが同系色で刺繍してあり、これがいい感じに高級感を出している。 ガソリンタンクへは全部で5本のベルトを使って固定する。ブラックバード用はかなりタイトにガソリンタンクにフィットしていたので期待していたのだが、1400GTR用のフィッティングはハッキリ言ってイマイチであった。このタンクカバーはガソリンタンク前方の小物入れが使えるように、前の部分が左右に開くような構造になっている。これは親切で良いのだが、その小物入れの厚みの分、小物入れの手前(フューエルリッド部分)がガソリンタンクから浮いてしまっている。ガソリンタンク脇(ニーグリップ部分)の寸法もかなり短い感じで、ガソリンタンクとフェアリングの境目まで届かない。ガソリンタンクを包み込むというより、上に乗せるタンクカバーという印象である。 それでも少し見慣れてしまえば、アバタもえくぼとはよく言ったもので、違和感もなくなってくるから不思議である。むしろツアラーである1400GTRによく似合うような気もしてきて、コストパフォーマンス感が自然に高まる今日この頃である。実にうまくできている。 <2008年7月22日追記> どうやらタンクカバーの装着方法が違っていたようである。タンクカバーはガソリンタンク上の小物入れを外して装着し、その後に小物入れをタンクカバーをはさみ込んで固定するのが正しかったように思われる。そのように装着するとタンクカバーのフィット感が増す上に、小物入れの開閉ボタンにもアクセスしやすくなり小物入れが実用になる。洗車等でタンクカバーを着脱する際に手間は掛かるが、この装着方法でいこうと思う。 |
||
|
||
ディーラーにて納車 | 新旧交代式 | ETCアンテナとインジケータ |
スズキ、ヤマハ、ホンダと乗り継いできて、次は漢(おとこ)カワサキに乗ることにした。ガレージに収まったのは、カワサキの最新型ツアラー、1400GTRである。ブラックバードの次は本格的なツアラーにしようと決めていた。ブラックバードは、雑誌などではツアラーとして出来の良いバイクと批評されているが、やはり元々の素性が300km/hフラッグシップ系であるだけに、40半ばのオヤジがツアラーとして使うには疲れる点がいくつかある。例えばオリジナルのライディングポジションは、ハンドルが低くかつ遠く、かなりな前傾を強いられる上にステップも比較的後方にあり、この姿勢で1時間を超えて乗っていられるものではない。スクリーンの防風性もツアラーとしては中途半端で、高速道路の流れに乗って走っているときでも、軽く伏せなければヘルメットが乱流に揺すられ続ける。300km/h近い速度が出るバイクとして、ブラックバードは確かにオールマイティーではあるが、ツアラーとして使うには、やはりツアラーとして快適に旅するために作られたバイクにはかなわない。 今回1400GTRに決めるにあたり比較検討したバイクは、ホンダST1300パンヨーロピアン、ヤマハFJR1300、BMW R1200RT/K1200S/K1200GT、それに少し毛色は違うがTriumph Tigerである。それぞれに魅力のあるバイクなので大いに迷ったが、最終的に1400GTRに決めた理由は、コストパフォーマンスが極大であったからである。すなわち、これらのバイク中では設計が一番新しく、排気量が最大、しかもシャフトドライブに電動スクリーン、それにABSとパニアケースが標準で付いて159万円というのは、筆者にとってバーゲンセール以外の何物でもなかった。R1200RTが最後まで土俵に残ったが、200万円を軽く超える価格と、BMWに行き着くのは先の楽しみとしてとっておくことにして、今回は1400GTRに軍配をあげた。 納車は暮れも押し詰まった12月下旬、小雨の降る土曜日に行われた。跨ってみた印象は、ブラックバードよりシートが少し高い感じで、足つきは171cmの筆者で両足の指の付け根が接地する程度である。このバイクの場合、足を下ろした位置にステップがあり辛いなどといわれることがあるが、筆者の場合はシートの一番前に座るせいか、何の問題もなかった。当面シートのアンコ抜きやローダウンを行う必要はないだろう。シートは肉厚のたっぷりとしたもので、適度に硬く座り心地はとてもよい。ライポジはごく軽い前傾であり、ハンドルの幅や高さも含めて、アップハンにしたブラックバードにも相通じる、筆者にとってはかなりしっくりくるものである。ステップ位置も前過ぎず後過ぎず良い感じで、シートが高い分ヒザの曲がり具合に窮屈さはなく、長距離ライディングに適したライポジである。ただ、ヒザの前がカウルで覆われているので、停車時にブラックバードと同じ感覚で足を出すと、ヒザがカウルに当たって足が出ず、あわてることがあった。足回りは非常に軽い印象で、車両が重いことも相まって、乗り心地はヘタな四輪車よりも良い。左右へのバンクはとても軽快で、ブラックバードよりむしろ軽いほどである。低速コーナリングで印象的なのは、バンク角とハンドルの切れ角、それとバイクの進んでいく方向がとてもナチュラルな感じでマッチしていることである。ブラックバードの低速コーナリングは、ハンドルがあまり切れずバンク角も浅いのにグイグイ曲がっていく、やや人工的な味付けだったように思う。 車両はいわゆるマレーシア仕様でカタログ馬力スペックは150PS、ABSは標準装備である。ちなみにヨーロッパ向け仕様はフルパワーの156PS、ABSは標準装備で排気マニフォールドにO2センサーが付き、Euro-III排ガス規制をクリアしている。馬力制限のあるフランス仕様は106PSとなる。カナダ・北米向けは車名がConcours 14となり、馬力スペックは未公表、ABS有りと無しの2仕様がある。すべての仕様でハニカムタイプの触媒が排気マニフォールド(集合部分直後)に内蔵されている。バイクも排ガス規制を避けて通れない時代になった。燃料供給は当然ながらFIで、ECUに制御されるサブスロットルを持つ。実際に乗ってみても、いわゆるドンつきとは無縁の非常になめらかなスロットルレスポンスである。エンジンにはバイク初の可変バルブタイミング機構が組み込まれている。これは吸気側カムシャフトのバルブタイミングを油圧で連続的に変化させ、低速時のトルク向上とクリーンな排気、高速時の高いパワーを両立させるという。ただしこれは乗ってみても体感できるようなものではない。 エンジン内部にはシリンダーの前後に2個のバランサーが内蔵されている。カワサキはこれを大々的に宣伝していないが、実際にはとても出来の良いバランサーで、まだナラシ中の為4000rpmまでしかエンジンを回していないが、一切の振動をライダーに伝えてこず、とてもシルキーでなめらかなエンジン回転フィーリングを味わうことができる。クラッチには流行のバックトルクリミッターが内蔵されている。筆者はまだこれのお世話になっていない。トランスミッションは6速である。筆者にとっては1速が少々ハイギアードな印象であり、ブラックバードに比べると(車重の違いもあるが)発進時の半クラの時間が微妙に長い。どのみち発進したらすぐに2速に入れるのだし、1速はもう少しローギアードな方が、クラッチ板の寿命が延びるような気はする。 フロントサスペンションはプリロードとリバウンドが調整できる倒立フォークである。ブラックバードの正立と比べ格好はよいのだが、ちょっとしたギャップで接地感が抜けるのは気になる。リアサスペンションもプリロードとリバウンドが調整できる。形式はカワサキがテトラレバーと呼ぶもので、四輪のダブルウィッシュボーンのように車体側4点のピボットから4本のアームが出ており、各アームは後輪ハブキャリアをピボットを介して支持する。このサスペンションは、シャフトドライブのバイクにありがちな加減速時の上下動を抑制し、チェーンドライブと同様のフィーリングが得られるという。筆者はこのシャフトドライブのクセを知らないので比較はできないのだが、加減速時にリアサスペンションからの違和感はなく、チェーンドライブだったブラックバードとの違いを感じることはない。タイヤは前120/70ZR17と後190/50ZR17で、銘柄はブラックバードに最後に履かせていたブリジストンBT-021(但し専用チューニング)である。ホイール内には空気圧センサーが内蔵されており、走行時のタイヤ空気圧がインパネに表示される。空気圧が約220kPa以下に低下すると警告メッセージが表示される。この空気圧センサーだが、納車時より後輪側が故障していた。これは1000km点検時にセンサーを交換してもらうよう手配した。 電動スクリーンは無段階で上下位置を調節できる。最低位置では60km/h程度で走行時、胸の上部辺りまで走行風を受ける。最高位置で走行風はヘルメットの上半分程度となる。スクリーンを最高位置にすると、高速走行時に後から押される感じを受ける。ノーマルのスクリーンでは最高位置でもヘルメットの上まで無風というわけにはいかないが、筆者にとっては現状で十分な防風性であり、またスクリーンをとおして見る前方視界に一抹の不安を感じるので、純正オプションやサードパーティー製のロングスクリーンに交換することは当面ないだろう。ヤマハFJR1300のように、エンジンを止めるとスクリーンが自動的に最低位置まで下りる機能があると便利である。筆者は毎日バイクカバーをかけるので、これは欲しい機能のひとつであるが、残念ながら1400GTRには付いていない。標準装備のパニアケースには、ヘルメット+αの荷物が入る。パニアケースの取り付け・取り外しはワンタッチででとても簡単である。ただし取り付け位置がかなり高く、乗降時10回に9回は靴でケリを入れてしまう。パニアケースを取り外したときのスタイルも良く考えられていてカッコイイ。取り外したパニアケースの置き場所には困るが。 1400GTRにはエンジンキーがない。その代わりにライダーはFOBキーと呼ばれるデバイスをポケットに入れておけば、ハンドルロックを解除しエンジンを始動することができる。FOBキーは一種のトランスポンダーで、車両側KIPASS(Kawasaki Intelligent Proximity Activation Start System)ECUと無線で通信し電子的な認証を行う。四輪のキーレス車と同じようなしくみである。筆者は通常トップケースにヘルメットを収納しており、バイクを動かす際にはどちらにしてもトップケースの開閉に鍵を使うので、このシステムが特に便利だというわけではない。ただし、通常のキーシリンダー位置には鍵穴がない(見えない)ので、ヤンチャ小僧のマイナスドライバー攻撃を回避できることは明白である。 筆者が1400GTRを購入した都内の某有名バイクディーラーは、購入契約を行ったときにちょうど開業10周年の記念キャンペーンを開催しており、車両価格から5万円を値引きした上に、ETC本体と取り付け工賃サービス、盗難保険(1年間)と300kmレッカー(3年間)をプレゼントという条件を示してくれた。また、他のショップと比較して、登録料や納車(セットアップ)料等、ショップが独自で設定できる費用も納得できるものであり、前車ブラックバード(2001年式)の下取り価格にも満足した。オマケに納車時にはバイクカバーのプレゼントもあって、今回とてもよい買い物をしたように思う。 気に入ったバイクでこれからも永く安全にバイクライフを楽しんでいきたいと思う。ようこそ1400GTR、どうぞよろしく。 |
||