KAWASAKI 1400GTR 2008 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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新品時 | オーバーホール前 | オーバーホール後 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2回目の車検(継続検査)を受けるため1400GTRの各部を点検していたところ、2010年1月に取り付けたドイツWilbers社製リアショックアブソーバー(以下リアショック)がオイル漏れを起こしていることがわかった。このリアショックは2009年暮れ、1400GTR Owner’s Clubでグループ購入イベントがあった際に入手したものである。同時期に納入された他のクラブメンバーの個体には、比較的早い時期にオイル漏れの症状が発生し無償修理の対象となっていたものがあったが、筆者の個体には当時その症状が見られなかったので油断していた。リアショック下部に堆積した汚れから判断すると、かなり以前からオイル漏れが発生していたと思われるが、導入から既に3年近くも経ってしまっているのでいまさらクレームも効くまい。このリアショックで走った距離はおよそ2.5万kmで、理想的なメンテナンスインターバルとされる1万kmをとっくに過ぎてしまっている。そこでWilbers社が指定する国内のサスペンションメンテナンス先である埼玉県のTechnix社に、同社が行っている”リアショックフルメンテナンス”をお願いすることにした。 あらかじめTechnix社にメールを送り作業の可否を確認した上で車体からWilbersリアショックを取り外し、宅配便で同社に送付した。オーバーホールの間も通勤でバイクを使うため、純正リアショックを屋根裏収納から引っ張り出して取り付けたが、バイクにまたがり車体を揺すってみるだけで、Wilbersに比べて車体の反応が鈍いことが体感された(ダンピングは最弱)。日曜日にTechnix社へ発送したリアショックは、なんと4日後の木曜日に返送されてきた。オーバーホールが完了したリアショックはきれいに洗浄され、当然ながらダンパーシャフトにオイルのにじみなどはない。代金は送料・代引き手数料込み22,470円であった。純正リアショックを取り外し、オーバーホールされたWilbersリアショックを取り付けてみたところ、やはりピッチングが軽いしリアタイヤの接地性もよい。しかしリアショックの脱着は少々面倒だったし、それなりに費用もかかってしまったので、再度オイル漏れが起きないことを祈るばかりである。 |
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手抜き車検仕様 | LEDデイライトカバー | LEDデイライトカバー | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
鼻息で曇るライト | 新検査標章 | おやすみノーマルマフラー | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2回目の継続検査をユーザー車検で受けた。今回は完全ノーマル戻しを端折り、指定部品と考えられる後付けのトップケース、スクリーン、ロングリアフェンダーは付けたまま受検した。マフラーは純正に戻しフォグランプとナンバープレートカバーは取り外した。先月取り付けたLEDデイライトは取り外しが面倒なので、アクリル板で発光面を覆うカバーを製作して取り付けておいた。気になったのは無線アンテナステーで、外突規制に引っ掛かる可能性があったが、後学の為とりあえず付けたまま受検することにした。問題を指摘されれば現場で取り外せばよい。ヘッドライトの光軸は検査の直前に前回と同じく早川自動車で調整してもらった。前回の車検後ロービームが高すぎるので光軸を自分で下げたが、その下げた分だけ上げてもらうことになった。調整代だが、前回は2灯式ヘッドライトで2,700円だったが、今回は何故か1灯式の値段(1,600円)しか請求されなかった。おそらく筆者からは何かのオーラが出ているのであろう。今回のユーザー車検にかかった総費用は21,230円である。自賠責保険代が2年前は13,400円だったので710円高くなっている。反対に重量税は2年前が4,400円だったので600円安くなっている。
検査を受けた時、東京運輸支局の二輪用検査ライン(2番ライン)は入口が工事中で、四輪新規検査用の1番ラインから進入することになっていた。1番ライン上で灯火類・警笛・車台/エンジン番号・排ガス検査を受ける。検査官はトップケースに取り付けたハイマウントストップランプの点灯も見ていたが特にクレームはつかなかった。トップケース、スクリーン、ロングリアフェンダーについても問題を指摘されることはなく、気になっていた無線アンテナステーについても(こちらから確認したわけではないが)OKだった。これらの検査の後、右の2番ラインに横移動して前ブレーキ、速度計・後ろブレーキの検査を受ける。それらの検査も問題なくパスし、最後にヘッドライトの検査を受けるが、今回は両目とも一発で合格した。最後に小屋の中にいるお兄さんに総合判定を受け、ものの5分で検査は終了した。書類を受付に提出すると他にお客さんがいなかったせいか、約15秒で新しい車検証と検査標章が交付された。朝一の第一ラウンドに受検すれば、ほぼ朝飯前に車検は終了するといっていい。 |
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Kendall 10W-40 | Kendall 20W-50 | オイルフィルター | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
実施日:2012/10/28 今年5月から5ヶ月、約4,000kmを走行したエンジンオイルを交換した。3,000kmを越えたあたりからエンジン回転フィーリングの滑らかさが減少し、3,500kmを超えたあたりからシフトドラムの回転に渋さが感じられるようになってきた。長持ちエンジンオイルを謳うKendallの2回目の交換だったので、6,000km程度は引っ張れるのではないかと期待していたのだが、結局他のエンジンオイルと大差ない約4,000kmで交換することになった。しかし真夏を含む5ヶ月の間、比較的安定した性能を見せていたこと、さらに1回の交換あたり\3,000以下のオイル代を考慮すれば、コストパフォーマンスはよいといえる。新しいエンジンオイルは、手持ちのKendall 10W-40が残り3本(3 quarts)だったので、別に調達しておいたKendallの20W-50を1.5本(1.5 quarts)ブレンドして入れておいた。 |
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LEDデイライト本体 | LED点滅パターン | コントロールパネル | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1.5Wボルト型LED | LED点滅コントローラー | 室内で耐久テスト中 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
筆者は高速道路を走行中に渋滞に出会った場合、躊躇せずクルマの列の間をすり抜けて前へ進むことにしているが、このような走行を行っているとクルマに自車の進路を塞がれることがある。すり抜けるバイクの進路をクルマが塞ぐ理由には大きく分けて二つあり、ひとつは意図的に進路を妨害するもの、もうひとつは車線変更等のために進路を変えるものである。前者は国産ミニバンによく見られ、後者はDセグメントの輸入車によくみられる。意図的に進路を塞ぐクルマは、バイクが後ろから接近すると徐々に横のクルマとの間隔を狭くするのでわかりやすい。そもそもこのような輩はこちらにに気付いているし、単に嫌がらせをしたいだけなので、冷静に左右の車列の動きを見極めて前に出れば危険はない。危険なのは後方確認なしにウインカーを出さないで突然車線変更を行う、2012年F1ベルギーGPにおけるロメ・グロジャン風ドライバーである。 クルマの列の間をすり抜けるとき、前方のクルマに自車の存在を気付かせる方法として考えられるのは、ホーンを除けば(ホーンをこの手段として使うのは違法である)排気音と灯火であろう。排気音は大きいほど前方のクルマに気付いてもらいやすいが、あまりに大きいと近接する車両の音が聞こえないのでほどほどにしておくべきである。筆者が装備しているレオビンチ社製スリップオンマフラーは、そういう意味ではバランスがとれている。灯火に関しては、筆者の1400GTRはヘッドライトのハロゲンバルブをHID(35W/4300K)に交換し、さらにPIAA社製1100Xドライビンランプ(ハロゲンバルブ85W相当x 2)を取り付けてある。それらすべてを点灯すると昼間でもかなりの被視認性があるが、高速道路のすり抜けではこの灯火をもってしてもこちらの存在に気付かないクルマがあるのが現実である。(そもそもクルマの間をすり抜けるからというツッコミは措くとして) そこでさらに前方を照らす灯火の照度を上げるため、LEDデイライトを追加装備することにした。LEDデイライトを取り付ける場所をミラーステー下面と決め、その位置に装備できそうなLEDデイライトを探してみたが、市販されているLEDデイライトは横幅が広いものが多く、ミラーステー下面の横幅サイズ(約100mm)内に収まりそうなものがない。そこでLEDやケースなどの部品を集めてLEDデイライトを自作することにした。使用するLEDは消費電力が1.5Wという謳い文句(実測100mA*12V=1.2W程度)のボルト型LEDをebayで調達し、LEDを収めるハウジングはTAKACHI製プラスチックケース(横幅90mm)を使うことにした。さらにLED点滅コントローラーを組み込んで点滅動作が可能なLEDデイライトにしてみることにした。無論公道を走行中に点滅動作を行うと違法であることは、1993年8月以降一度もパクられていない筆者には判っている。 LEDデイライト本体は片側3個のLEDを使うこととし、プラスチックケースにドリルで穴を開けてボルト型LEDを裏からナットで固定する。ナットを締めた後、ホットボンドでナットの緩み止めを施しておいた。このLEDは12Vを印加するだけで点灯するので、別途抵抗器やCRDを必要とせず工作は簡単である。LEDから出る3本の電線はケース内部でまとめて1本にし、ケースに穴を開けて外に出しておく。LEDデイライト本体はミラーステー下面に両面粘着テープで固定する。ミラーステー下面は緩く湾曲していて完全な平面でないが、両面粘着テープの貼付位置を工夫することでしっかりと固定することができた。ケースから出ている電線はミラーステー下面に穴を開けてミラーステー内部に出し、それをカウル内部に引き込んで外からは全く見えないようにした。 LED点滅コントローラーには押しボタンが1個ついており、この押しボタンを押すことで10種類の点滅パターン(常時点灯含む)を切り替えることができる。2個のLEDインジケーターは現在の点滅パターンを示す。このLED点滅コントローラーは屋外で使うことを考慮されていないので、バイクのハンドルなどに取り付けると雨で故障する恐れがある。そこで防水を考慮したコントロールパネルを製作してハンドルに取り付け、そこから車体内部に置いたLED点滅コントローラーまで配線を延ばし、LED点滅コントローラーの押しボタンを遠隔操作することにした。このコントロールパネルには、遠隔操作用のプッシュスイッチ以外に、点滅パターンを示すLEDインジケーターとLED点滅コントローラーへ供給する電源(12V)を断続するトグルスイッチ1個を取り付けた。 【LEDデイライト本体】
【コントロールパネル】
【LED点滅コントローラー】
このLEDデイライトの前方照度アップへの貢献度はそれなりにあるものの、正面から見た明るさ感は当然のことながらヘッドライトやドライビングランプには劣る。LEDの発光色は正面から見ると少し紫がかっていて、ヘッドライトやドライビングランプの色温度(4300K〜4500K程度)とはかなり異なる。これはともすればイルミネーションてんこ盛りのバカスク的印象を持たれる可能性があるが、アタマのオカシイのが近づいてきたという警戒感を持たれることは、こちらの存在を普通以上に認識させているという意味で好都合である。ともかくも、次回高速道路上で渋滞をすり抜ける機会があったとき、このLEDデイライトがDセグメント輸入車の動きにどのような影響を与えるのかを観察してみることにしたい。 <2012年10月22日追記> |
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カップリングダンパー | Oリング | カップリング外れました | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
古いカップリングダンパー | 新旧並べてみました | 新しいカップリングダンパー | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
実施日:2012/10/06
リアホイールハブに内蔵されているカップリングダンパー(以下ダンパー)を交換することにした。サービスマニュアルによれば、このダンパーは定期交換部品には指定されておらず、検査して劣化していれば交換することになっている。今回特に検査を行ったわけではないが、10年を目安にこのバイクに乗り続けるとすれば、ちょうど納車から5年の折り返し点なので、トラブル予防と駆動系のリフレッシュを兼ねて交換しておくことにした。 ダンパーを交換するにはホイールカップリング(以下カップリング)を取り外す必要がある。まず車体からリアホイールを取り外し、ブレーキディスクが接地しないよう二本の四角い木の棒を並べた上にリアホイールを寝かせて置く。次にカップリングを固定している針金状のリテーナーを外しカップリングをリアホイールから引き抜く。サービスマニュアルには、カップリングを引き抜く際に「必要ならベアリングプーラーを使う」と書いてあるが、都合よくそのような道具があるとは限らない。筆者の場合、オフセットのついたメガネレンチの先をカップリングの丸い穴に差し込みこじって取り外した。こじる際にはメガネレンチとホイールハブの間に木片をあてがった。 ちなみに英語版サービスマニュアルにはカップリングの取り外し方の説明として「Remove the wheel coupling with a bearing puller if necessary(必要ならベアリングプーラーを使ってホイールカップリングを取り外す)」と記載されているが、日本語版サービスマニュアルのその部分は「必要があればホイールカップリングとベアリングを取り外す」と「どのベアリンクや、ボケ!」とツッコミを入れたくなるほど意味不明な記述となっている。これは1400GTRのサービスマニュアルは英語版が先に作られ、後でそれを日本語訳したとき派手に誤訳したことを示唆している。国内のバイク市場の規模が小さいのはわかるが、日本語版サービスマニュアルも値段のついている商品である以上、メーカーさんはもうちょっとシャンとしてほしい。 ホイールハブからダンパーを取り外し目視で検査したところ、ゴムでできたダンパー表面の劣化と少々の摩耗が見られたが、それが駆動系の遊びに直接つながるものかどうか筆者には判断できなかった。リアホイールハブとカップリングのダンパーが触れていた部分には、ダンパーが押し付けられてできたと思われるゴムの薄い層が形成されていた。それらをスクレーパーで除去し清掃してシリコングリスを塗布しておいた。新しいダンパーとOリングにもシリコングリスを塗布し、リアホイールハブに組み付ける。その後カップリングを取り付けるが、当初カップリングが完全に奥まで入らずリテーナーがセットできなかった。そこで一度カップリングを取り外し、ダンパーをプラスチックハンマーで叩いて奥に押し込み、再度カップリングを取り付けリテーナーをセットした。 ダンバー交換後の試乗では、駆動系の遊びが少なくなったような印象はなく、特に5万キロで交換する必要はなかったように思われる。 |
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中古リアブレーキキャリパー | シール交換中 | 新品シールのフルード和え | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
交換パーツ | 左側パッド定位置確認 | リアブレーキ復旧完了 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
実施日:2012/10/06
ブレーキパッド脱落時に一部が破損してしまったリアブレーキキャリパー(以下キャリパー)を交換した。キャリパーを破損してすぐに、米国ebayに2009年モデル用の中古キャリパーが出品されているのを見つけた。価格は29米ドル、米国ジョージア州アトランタからの送料が47.95米ドル、合計76.95米ドルで、そのときのPaypalのレートで日本円送料込み6,240円である。ちなみに新品(43080-0040-DJ キャリパサブアツシ)を国内で調達すると18,018円(税込)である。この中古品の程度は不明だが、画像を見る限り外的なダメージもなさそうだったので、シールを新しいものに交換して使うことを前提に購入することにした。落札後10日ほどで送られてきたキャリパーホルダー付きキャリパーの程度はとてもよく、付属していたブレーキパッドやパッドピンの摩耗状態、シールを新しいものに交換する際に外した古いシールの状態などから判断すると、このキャリパーの総走行距離は1万キロ以下と推定された。付いてきたキャリパーホルダーはABS非装着車用のABSセンサー取り付け部に穴が開いていないもので、筆者のABS装着車には再利用できなかった。 キャリパー交換直後の試乗では、ブレーキベダルのストロークが若干に増えたように感じたが、これはフルード流路に微小な泡としてエアが残っているからだろう。時間が経てばストロークは短くなると思われる。ブレーキの効きそのものは十分にABSを効かせられるので何の問題もない。フルードの漏れ等も今のところ認められず、リアブレーキの機能は完全に復旧したと考えてよい。このように運よく短期間でブレーキ機能を元に戻すことができたのは、筆者が選ばれた男であるからに違いない。 |
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リアブレーキディスク左側面 | リアブレーキキャリパー破損部分 | リアブレーキキャリパー破損部分 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
実施日:2012/09/17 好天に恵まれた9月のある土曜日、キャンプツーリングで長野県内を走行中、路面の大きなギャップを拾った際に異音と衝撃を感じ、路面上を何かが転がっていくのがバックミラーの中に見えた。イヤな予感がしてバイクを路肩に停めようとしたところ、リアブレーキペダルがスカスカに抜けてしまっていることに気付いた。仕方なくフロントブレーキだけでバイクを路肩に停止させ、リアブレーキペダルやリアブレーキキャリパー(以下キャリパー)をパッと見たところ特に変わった様子はない。そこでバイクをそのままにして何かが転がった付近まで徒歩で戻ってみると、なんとそこにはリアブレーキパッド(以下パッド)が落ちていた。ギャップを通過した際にパッドが脱落するなどという話は聞いたことがない。しかしパッドが脱落すればリアブレーキペダルがスカスカに抜けるというのは辻褄が合う。とりあえずパッドとパッドから外れて曲がってしまった金属プレートを回収してバイクに戻った。そしてキャリパーを詳細に調べてみたところ、確かに左側のパッドがない。しかしパッドはパッドピンが抜けたか折れたかしないと脱落しないはずである。そこでパッドピンを調べてみるが、パッドピンは何事もなかったように定位置に収まっている。 混乱した頭を落ち着かせるため深呼吸を数回した後、あらためてリアブレーキ周りを詳細に点検したところ、ブレーキディスク左側面を見るに及んで、筆者が致命的なヘマをこいてしまったことを悟った。それはちょうど一週間前、パッドをキャリパーから外し、残量を確認した後それを組み付ける際に、左側のパッドをキャリパーの奥に入れすぎたままパッドピンを差し込んでしまったようである。つまりパッドピンが左側パッドのピン穴に通っておらずパッドが固定されていなかったのである。従ってそのパッドは固定されていない状態でブレーキディスク左側面の定位置より内側(中心寄り)を押していたことになる。その証拠にブレーキディスク左側面にはブレーキディスクのスポーク部分がパッドに削られた跡が残っていた。パッドはギャップを拾った拍子にキャリパーから勢いよく飛び出したのであろう。筆者の父親は生前、「作業は暗い所でするな、暗い所ですると間違いが起きる」とよく言っていたが、その言いつけを忘れて暗い所で作業を行い、作業後の確認すら怠った結果が、こともあろうに自宅から200kmも離れたツーリング中にこのていたらくである。これだから素人整備は恐ろしい。 しかしこのような致命的ヘマをこいたにも関わらず、他人や自分がケガをすることがなかったのは幸運と言えるだろう。なによりこのパッドの脱落が高速道路を150km以上走行した後の交通量の比較的少ない田舎の一般道で起きたことが幸運であった。これがもし高速道路上で起きていれば、パッドを回収することはほぼ不可能であるし、脱落したパッドが後続車両のフロントガラスを直撃したりすればかなりの被害が出ただろう。あるいはパッドがどこかに引っ掛かってリアホイールの回転を止めたりすれば、危機的状況に陥っていたことは想像に難くない。さらなる幸運は、回収したパッドをその場で車載工具によりキャリパーに取り付けることができ、リアブレーキの機能が回復したことである。キャリパーはパッドを保持するハウジングが一部破損していたが、パッドの取り付けは可能であった。フルード漏れもなく、復旧後すぐにリアブレーキを力一杯かけてみたところ、きちんとABSを作動させることができた。リアブレーキの機能が回復したことにより、ツーリングを続行して何事もなくキャンプに参加することができたのは、日頃積んでおいた善行がものをいったに違いない。 キャリパーの一部破損により、パッドの残量が少なくなるとパッドのバックプレートが破損部分にかかり、その保持に問題が発生する可能性がある。そこで古いパッドのライニング厚はまだ少し残っているが、パッドを新品に交換しておくことにした。キャリパーはヤクオクかebayで気長に探すことにしよう。 |
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DIABLO HIDキット | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
今年3月にHIDバラスト(以下バラスト)を交換してから、左側HIDバーナー(以下バーナー)が時々点火しないようになった。左右のバーナーを入れ換えても左側が点火しないし、左側バラストのアースを取り直してみても変化はないので、問題の原因はバーナーではなく、交換したバラスト(イグナイター)の品質不良だと思われる。だが点火しないときには、一旦ヘッドライトスイッチをOFFにして再度ONにすればほとんどの場合点火する。一旦点火してしまえばエンジンを切るまでは点灯し続けるので、とりあえずそのまま様子をみることにした。以前同様の症状があったとき、しばらく使っているうちに自然治癒したことがあるからである。ところがバラストを交換して半年経った時点でも状況に変化はなく、車検時期も近づいてきたので、思い切ってHIDキット一式を新しいものに交換することにした。検査場でヘッドライトスイッチを操作することはできない。 インターネットを調べ楽天で一番よく売れているという、送料込み6,300円のHIDキットを入手することにした。バラストは小型でイグナイター別体式、バーナーはH4スライド切り替え式で色温度は4300Kを選択した。近頃の中華製HIDキットにはもっと安い物もあるが、今回は点火の安定性を願って少しだけ奮発してみた。ポチった後2日目に送られてきたHIDキットは、安定化電源での点火/点灯・ハイ/ロー切り替え試験を問題なくクリアした。車両に取り付けてみたところ、点火に問題はなく点灯後のチラツキもない。しかし点灯が安定した後でも左右バーナーの色温度がかなり違う。これは左右のバーナーを入れ換えても同じなので、バーナー固有の色温度なのであろう。これについてはバーナーの経年劣化で左右の色温度が偶然近くなることを期待することにした。中華製HIDには気になる性能がもれなく付いてくるが、それが妥協できればコストパフォーマンスは悪くない。 <2013年1月23日追記> |
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2007年の納車時から約5年近く、リザーバータンクへの補充のみで使い続けたエンジン冷却液(LLC)を全量交換した。LLCの交換はエンジンオイルの交換のように、古いものを抜いて新しいものを入れればよいというわけではない。古いLLCを抜いた後で流路を水で洗浄し、新しいLLCを入れた後は流路のエア抜きを行う必要がある。作業の流れとしては、まず右フロントミドルカウリングを外してラジエータキャップを外し、左アンダーカウル内にあるドレンボルトを取り外して古いLLCを抜く。ホースからラジエーターキャップ開口部に水を供給しながらエンジンを回して流路を洗浄する。エンジンを止め流路の水が全部抜けたらドレンボルトを取り付け、新しいLLCをラジエーターキャップ開口部から注入する。LLCが満たされたらラジエータキャップをせずにエンジンを回す。しばらくしてサーモスタットが作動するとラジエーターキャップ開口部に流路内のエアーが泡となって上がってくる。数回軽く空ぶかしをしてエンジンを切り、サイドスタンドでバイクを左に傾けてラジエーターキャップ開口部の縁までLLCを満たし、ラジエーターキャップを装着する。左フロントミドルカウリング内にあるリザーバータンク内の古いLLCも新しいものに入れ換える。LLCを交換した後は、プラセボ効果かエンジン騒音が幾分小さくなったような気がした。 |
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即用式 FTZ14-BS | 古いバッテリーの電圧 | 新しいバッテリーの電圧 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
今年も盛夏を迎え朝晩の通勤時にラジエーターファンが回りっ放しになることが多くなった。ある日、ラジエーターファンが作動しているとき(エンジンはアイドリング)ホンダアクセス製グリップヒーターのヒータースイッチLED(LOW側)が点滅していることに気付いた。これまで夏場にこのような状況なったことは一度もなく、一瞬グリップヒーターの故障かと思ったが、このクソ暑い中グリップヒーターを使うはずもなく、そのスイッチを入れた覚えはない。そこでグリップヒーターの取扱説明書を調べてみたところ、スイッチOFFの状態でLOW側LEDが点滅するのは、バッテリー電圧が低下したたことを示しており、バッテリーの充電または交換が必要であるという。筆者の1400GTRはほぼ毎晩補充電を行っているのだが、その上でこのような状況になるということは、4年7ヶ月使用したバッテリーの劣化が進行していることが考えられる。 気温が高いせいかエンジン始動性に特に問題があるわけではないが、通勤途中やツーリング先でバッテリーの突然死に見舞われると厄介なので、バッテリーを新しいものに交換することにした。今年1月にヤフオクで調達しておいたバッテリーは、純正指定の古河電池製FTZ14-BS、使用する前に電解液を注入する即用式である。説明書どおりに電解液を注入し、念のためバッテリー充電器で初期充電を行う。充電終了後30分経った時点での端子電圧は13.16Vであった。車体に装着されている古いバッテリーを取り出して新しいものを取り付ける。古いバッテリーの端子電圧は取り出した時点で12.94Vであった。電圧の差は僅か0.22Vで古いバッテリーは一見問題ないようにも思える。しかし古いバッテリーは蓄えられる電気の容量が低下していて、電気を少しでも使うと急激に電圧が下がってしまうのだろう。 |
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ピストンコンプ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
最近クラッチを深く握るとギシギシというタッチが伝わってくるようになった。今年1月にマスターシリンダー・スレーブシリンダー共にメンテナンスを行ったばかりだが、半年足らずでタッチが悪化してしまった。そこでマスターシリンダーを分解清掃してシリコングリスを与えてみたが、不思議なことにタッチは良くなるどころかむしろ悪くなってしまった。このままでは乗れないので再度マスターシリンダー分解し、内部部品一式(ピストンコンプ)をストックしてあった新品に交換したところ、元のスムーズな動作を取り戻すことができた。旧いピストンを目視で確認してみたところ、それほどくたびれた感じはしなかったが、ミクロの単位では摩耗や劣化が進んでいたのであろう。シリンダーの壁面を目視で確認したところ、ピストンと擦れる部分の色が変化していた。とりあえずしばらくはクラッチのメンテナンスから解放されるだろうけれども、おそらくシリンダー側の摩耗も進んでいるに違いなく、今後短期間でタッチに変化があらわれたときには、クラッチマスターシリンダーASSY(43015-0085)の交換が必要になる可能性がある。
<2012年8月追記> <2013年5月追記> |
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昨年6月にメンテナンスを行ったK&N社製高効率エアーフィルターエレメントのメンテナンス(洗浄・乾燥・オイル塗布)を行った。前のメンテナンスから一年を経過したエアーフィルターエレメントは、目視では余り汚れていないように見える。しかし乾式の純正エアーフィルターは、普通一年も使うと真っ黒に汚れることを考えると、K&Nでは汚れがフィルターに塗布したオイルに溶けてしまい、あまり汚れていないように見えるのかもしれない。 |
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実施日:2012/05/27 1月にKendallを入れて4ヶ月余りで約3,700kmを走行したが、このエンジンオイル(以下オイル)の劣化フィーリングは比較的穏やかであることがわかった。他のオイル同様、走行距離に比例してギアの入りは少しずつ悪くなってくるが、インターバルが3,000kmを超えても筆者的には十分に許容範囲であった。エンジンの回転フィーリングもそれほどガサツにはなっておらず、手元に早く使い切りたいストックのオイルがなければ、4,000kmは乗れたのではないかと思う。 |
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フォークオイル | フロントフォーク | トッププラグ取り外し | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
パイロットタップでネジ穴拡張 | リコイル挿入 | タング折取り前(上側) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
日本語版サービスマニュアル表紙 | 日本語版サービスマニュアル裏表紙 | フロントフォーク分解解説 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
45,397km時にフロントサスペンションのメンテナンスを行った。実はフロントサスペンションのシール類一式を交換するオーバーホールを行おうとしたのだが、後述の問題が発生しフォークオイルの交換のみを行うことになった。使用したフォークオイルはカワサキ(カヤバ)KHL15-10、油面高さは標準の101mmとした。排出した古いフォークオイルに汚れやスラッジは認められなかった。フォークオイルはWilbersスプリング交換時(約25,000km時)に一度新しくしてあったが、一旦スライドメタルにアタリがつけば、2万キロ程度のオンロード走行でオイルは汚れないということだろう。ただしフォークオイル交換前に感じていた、フロントサスペンションの動きの渋さ(ブレーキで入ったサスが停止しても戻らず発進時のクラッチミートで出てくる感じ)が解消されたので、フォークオイルがある程度劣化していた可能性はある。またこの作業と同時に、過大な締め付けトルク(注:締めたのは筆者ではない)により破損しかかっていたフロントフォークロアブラケットのネジ穴にヘリサート加工を行っておいた。 フロントサスペンションのオーバーホールを行おうとしたときに発生した問題とは、入手した専用工具(フォークシリンダホルダ)が、筆者の2008年モデルには適合しなかったことである。フォークシリンダホルダは、フォーク内部のフォークシリンダセット(以下ダンパー)を取り外す際に使うものである。筆者の調査によれば、1400GTRのダンパーは2009年モデルの生産途中で部品変更されていて、2008年モデルおよび2009年モデルの変更前まではダンパーロッドが太い。筆者が入手したフォークシリンダホルダ57001-1537はダンパーロッドが細いものに変更された後用のものらしく、変更前の太いダンパーロッドはこの専用工具の筒に入らないので使用できない。変更前のダンパーには別のフォークシリンダホルダ57001-1287を使用する必要があるらしい。 筆者が間違った専用工具を入手した原因は、日本語版サービスマニュアルの記載に誤りがあったことによる。筆者の手元にある1400GTR用日本語版サービスマニュアルには、ダンパーの取り外しにはフォークシリンダホルダ57001-1537を使うと記載されている。筆者はこれを見て専用工具を入手したのである。この日本語版サービスマニュアル裏表紙の「収録機種」には2008年モデル以外の記述は見当たらないので、このサービスマニュアルの対象モデルイヤーは2008年モデルと解釈するのが妥当である。従って2008年モデルに使用できない専用工具のパーツナンバーがこのサービスマニュアルに記載されているのは誤りということができる。筆者は2008年モデル用の英語版サービスマニュアルも持っているが、そこには正しく57001-1287と記載されていることが後でわかった。 筆者の記憶によれば、1400GTR用のサービスマニュアルは英語版が先に出版され、その後かなり経ってから日本語版が出版された。筆者の勝手な想像では、おそらく日本語版のサービスマニュアルが編集されているときには既にダンパーが(ロッドの細い)新しい部品に変更されていたので、それ用の専用工具のパーツナンバーを気を効かせたつもりで記載したのであろう。経験の少ない者によく見られる、全体を見ずに小手先で局所的な変更を入れ、整合性を壊してしまう典型的なパターンである。筆者は定年後に1400GTR専用のメンテナンスショップを開くつもりなので、ダンパー変更後の専用工具を持っていてもよい。しかしながら、専用工具のパーツナンバー情報はサービスマニュアルに頼るしかないことを考えれば、カワサキはこの問題をきちんと理解し今後のサービスマニュアル製作に活かしてほしいと思う今日この頃である。 |
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お漏らしシート | 濡れたシート表皮ウラ | 破れたポリエチレンシート | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
縫い目防水加工 | 表皮張り開始 | 表皮張り終了 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
一昨年の春に導入したモーターサイクルドクターSUDAのKAITEKIシートは、最近になって、雨天走行を行うと内部のウレタンに水がしみ込むようになってきた。シート内部にしみ込んだ水は、少しずつ左大腿部付近のシート表皮の縫い目からしみ出してくる。天気の良い日にバイクに乗ると、しみ出てきた水がジーンズを濡らしてしまう。これは不快この上ないし、濡れたジーンズを人に見られると、お漏らしと勘違いされる可能性もある。そこでインターネット上に散在する、バイクのシートを張り替えたDIY記事を参考に、一度シートを分解して各パーツを乾燥させ、内部に水がしみこまないような対策を施した上で元どおりに組み立ててみることにした。 まずシート表皮をシートベースに留めてあるステープルをマイナスドライバーで抜きシート表皮を剥がす。剥がしたシート表皮の裏側を見てみると、やはり左大腿部を中心に水で濡れていた。このシート表皮は4枚のパーツを縫い合わせて製作してあるが、縫い目には特に防水加工のようなものは施されていなかった。シート表皮のオモテから光を当てウラからその縫い目を見てみると、光が縫い目から漏れて見える。つまり水はこの縫い目から内部に浸入できるということである。ウレタンフォームに水がしみ込むのを防いでいるのは、シート表皮とウレタンフォームの間に挟まれた、薄いポリエチレンフィルム一枚であることが理解できた。そのポリエチレンフィルムは、左大腿部からライダー側座面にかけて傷んで破れてしまっており、防水性能が完全に失われていた。これがお漏らしシートの原因である。 ウレタンフォームは左大腿部から前部にかけて指でつまむと水が滴るような状態になっていたので、粗方の水をタオルに吸収させ、数日間陰干しして乾燥させた。傷んだポリエチレンフィルムは廃棄し、代わりに大きめのポリ袋をハサミで開きその代用とした。シート表皮は乾かした後、裏側から縫い目を防水加工した。この加工には、キャンプで使うテントやタープの補修用として販売されているシームシーラーとアイロン溶着型のシーリングテープを使った。ポリエチレンフィルムにプラスしてシート表皮縫い目の防水加工を行っておくことで、長期間ウレタンフォームを水分から隔離することを目指す。 シート表皮を再利用する関係で、左右のバランスをとるのに何度かやり直しを行ったものの、シート表皮を張る作業は意外に難易度が高くなかった。この作業の為に購入した、廉価版のエアータッカーも必要にして十分なパワーを備えており、力不足でステープルが浮いてしまうようなこともなかった。完成したシートは気になるようなシワもなく、ライダー尻下の表皮が少々浮くぐらいの、分解する前の張り具合と同程度に調整できた。これからしばらくすると梅雨の時期に入るが、このオーバーホールがオモラシ問題を首尾よく解決してくれることを期待したい。 |
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今年に入りHIDがハイビームに切り替わならなくなる状況に時々遭遇するようになった。状況としては、パッシングスイッチやディマースイッチを操作しても、両目ともロービームのままというものである。この不具合が発生したとき、インパネ内のハイビームインジケーターは、あたかもハイビームに切り替わったように点灯する。またバーナーそのものは点灯したままなので、車両側H4コネクターのハイビーム側端子に電圧は出ていると考えられる。つまりこのことは不具合の原因が車両側にではなく、H4コネクター以降の後付けHID配線系統内にあることを示している。ハイビームに切り替わらない直接の原因は、HIDバーナーの発光点を動かすソレノイドが動作しないことであるが、左右両方のソレノイドが同時に故障することは考えにくいので、ソレノイドを駆動する電圧(+12V)がソレノイドに届いていないか、またはアースがとれていないので動作しないのであろう。つまりハーネスがどこかで断線している可能性が高い。断線位置としては、ハーネスも左右同時に断線することは考えにくいので、ハーネスが2本に分岐する前の部分である可能性が高いことになる。 マーフィーの法則により、時々発生する(常に発生しない)不具合が、その原因を調査している最中に再現することは稀である。筆者もハーネスの断線位置を特定するために、フェアリングを取り外してエンジンをかけHIDを点灯させてパッシングスイッチを操作してみたが、キチンとハイビームに切り替わり不具合は再現しない。だからといって何もせずにフェアリングを元に戻してしまうと、試験一発目に不具合が再現することは明らかである。IT業界によくあるパターンで、客先システムの不具合で呼びつけられ調べてみるが再現せず、自社に帰った途端、同じ客から怒りの電話がかかってくるようなものである。不具合を根本的になくすには、HIDリレーを含むハーネス一式を取り替えるのが手っ取り早い。なぜかちょうど手元にHIDキットのストックがあったので、HIDバーナー以外のパーツ(HIDリレー・バラスト・イグナイター・ハーネス)をそれに交換してみたところ、不具合は解消された。今回不具合が発生したHIDキットは2007年12月から使っていたもので、4年余りでその寿命を迎えたことになる。ハイビームを多用する筆者の使い方を考えると、中華製としてはよくがんばった方であろう。 |
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クラウザーK5トップケース | ロックメカニズムコンプリート | K4/K5ラック | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2009年11月に導入したクラウザーK5トップケース(以下K5)を2年余り使ってきたが、筆者の使い方では容量的に過不足がなく使い勝手がとても良い。K5内に常備しているパンク修理キット・足踏み式エアポンプ・レインウェア・レイングローブ等は内部スペースの1/4程度を占めるだけなので、通勤時にバッグと弁当箱を積んでも、さらに大きめのノートパソコンや休暇後の会社へのお土産(もみじ饅頭24個入りx 2箱)を積むことができる。雨が降っても内部に水は浸入しないので、荷物は濡れないしスマートホン充電設備も使用できる。さらに後付感たっぷりのハイマウントストップランプは、後方からの被視認性を高めてくれているはずである。金属製のK4/K5ラック(ケース固定パーツ)はシンプルかつ堅牢なつくりで、走行中にこのパーツが破損してK5が落下する心配はほぼないといえる。要するに筆者はK5が気に入っている。 しかし残念なことに、最近になってこのK5が故障した。フタをロックするパーツが破損してしまったのである。フタがロックできなければ、走行中の振動でフタがパカパカ開いて中の荷物を道路上にまき散らしてしまうだろう。このままでは使えない。修理か買い替えが必要である。そこでインターネットで同様の事例について調べてみたところ、これはK5にしばしば発生する不具合であることががわかった。K5のフタを閉める際、内部の荷物がどこかに挟まってフタが完全に閉まらない状態になることがあるが、その状態で無理にロックをかけようとするとイケナイらしい。このフタをロックするパーツは、ケースをラックに固定する部分と一体で「ロックメカニズムコンプリート」と呼ばれており、少なくともドイツ本国では補修部品として流通しているらしいこともわかった。 そこでクラウザー日本総代理店である株式会社モトコに「ロックメカニズムコンプリート」の販売可否についてメールで問い合わせてみた。すぐに返事が来て、在庫があるという。やはり多発する故障なのであろうか。その金額は\3,900(送料\609)だという。昨今のユーロ安も手伝ってか、かなりリーズナブルな値付けである。実は筆者はこの故障を機に、1400GTRオーナーズクラブで流行しているヘプコ&ベッカーに乗り換えるか、またはGIVIに回帰するかなどと考えてはいたのだが、わずか\4,509で復旧できるのに、わざわざ大枚はたいて他のケースに乗り換えることもあるまい。早速メールの折り返しで「ロックメカニズムコンプリート」一個を注文したところ、翌々日にはモノが手元に届いた。株式会社モトコからモノを買ったのは今回で2回目だが、いつもメールの対応が迅速・丁寧だし、商品の発送もタイムリーなので、とても誠実な商売をしていると思う。 届いた「ロックメカニズムコンプリート」はネジで取り付けるだけと作業は簡単である。質実剛健を旨とする(?)ドイツ製品は、パーツの取り付け方法に小賢しいトリックがなくわかりやすくてよい。故障が治ったK5は再び1400GTRのラック上に戻り、これからもその性能をいかんなく発揮してくれるだろう。K5が使えなかった一週間は1400GTR標準のサイドパニアケースに荷物を入れて通勤したが、すり抜けを自主規制しなければならない上に荷物の出し入れに時間がかかり、door-to-doorベースの通勤時間が少なくとも5分程度は長くなってしまったに違いない。トップケースのありがたみが身に染みた一週間であった。ライダーにはトッパー(トップケースを愛する者)かそうでないかの二種類しかないが、筆者はライダーである限りトッパーであり続けたいと思う。”Topper”には”優れた者”の意味があることを、あなたはご存じだっただろうか。 |
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実施日:2012/02/25 約1年前にオーバーホールしたリアブレーキだが、先週久しぶりにバイク講習会でリアブレーキを酷使したせいか、急にベダルタッチがキシギシいうようになった。そこでブレーキペダルビボットのグリスアップとブレーキフルードの交換を行った。メンテナンス後の試乗では、ペダルストロークが微妙に増え、またリアブレーキの効きがかなり良くなったような印象を持った。 |
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エンブレム位置出し | ステッカー位置出し | 放置盗難バイク風 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
オールペイント右側 | オールペイント左側 | トップケース | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
我が2008年モデルの1400GTRも納車後5年目に突入した。納車直後からウィークデーは雨でも1日約22kmの通勤をこなしてきただけに、総走行距離(42,589km)の割には外観はヤレている。少し前から純正塗装色のニュートロンシルバーに飽きてきたと感じていたこともあり、正月休みを利用して外装をオールペイントすることにした。バイクのオールペイントは、塗る面積の割には料金が高く、フルカウルのビッグバイクであれば20万円程が相場である。前車ブラックバードでは、エアーコンプレッサーやスプレーガンなどの道具とウレタン塗料を仕入れてDIYし、その半額程度でオールペイントすることができた。しかしその作業にかかった時間と手間は想像をはるかに超えていて、残された人生の時間を有意義に使いたい筆者としてはもう行いたくない。最近ではパーツを自分で取り外して宅配便で送れば、塗装して送り返してくれる比較的料金の安い塗装屋がある。そこでそのような塗装屋を利用して、できるだけ安くオールペイントしてみることにした。 塗装色については、カリフォルニア・ハイウェイ・パトロール(CHP)をはじめ、米国各州警察に続々導入中であるというポリス仕様風にしてみることにした。主にバイクの前部をホワイトに、後部をブラックにペイントすることにする。燃料タンクの色はCHPを含めブラックが多いが、2008年モデルは横から見るとフロントミドルカウリング下縁と燃料タンク下縁が直線上に並ぶので、そのつながり感を出すためあえてホワイトに塗ることにした。それぞれのパーツはホワイトかブラックどちらか一色で塗り、手間となる塗り分けは行なわず、かつ塗料はソリッドを選択すれば、それなりに安く塗ってもらえるだろう。バイクの塗装を行っている塗装屋をインターネットで探し、神奈川県伊勢原市の「カーライフ」というバイク専門の塗装屋を見つけた。バイクなのに"カーライフ"というのも変だが、素朴なHPにはきちんと料金が記載されていたのでメールで問い合わせてみた。すぐに返事が来て、かなり安価にオールペイントができることがわかり、この塗装屋にクルマでパーツを持ち込むことにした。 塗装前の準備としては、パーツを取り外す前に、現在貼ってあるエンブレムやステッカーの位置を記録する必要がある。その方法としては、目印になるような構造物とエンブレムやステッカーの位置関係をマスキングテープを利用して可視化し、それをデジカメで撮っておく。燃料タンクに入っているガソリンは手動ポンプを使って携行缶に移すが、燃料タンクの底の方に残ったガソリンを抜き取ることができなかったので、燃料タンクを車体から外した後で燃料ポンプを外して抜き取った。エンブレムやステッカーを剥がし、塗装に出すすべてのパーツを車体から取り外す。パーツが車体から外れてもパーツ自体についているヘッドライトユニット、ウィンカー、クッションシート、板ナット、ウェルナットなど、塗装の邪魔になるものをできるだけ取り外す必要がある。パーツを外す際にはかなりの数の取り付けボルトやナットが出てくるが、これらをすべてをひとつにまとめてしまうと、組付けの際にどのボルトやナットを使うかがわからなくなるおそれがある。そこでそれらを外したパーツごとにグループ化し、100均のチャック付ポリ袋に入れて保管しておいた。 今回塗装するパーツは下の12種類18点である(拝借画像):
12月中旬、塗装するパーツ18点をクルマに積み塗装屋にに持ち込んだ。3週間後の1月初旬、塗装されたパーツを引き取りに行き、自宅ガレージに持ち帰り仔細に眺めてみた。目立たない部分に少々ブツやタレが見られるものの、塗装肌は全体的にツヤも十分で価格を考えれば納得できるものであった。早速塗装されたパーツの組み付け作業を行ったところ、幸運にもボルトやナットが余ることはなかった。純正パーツとして入手しておいたエンブレムやステッカー、クッションシートは記録していた位置情報を元に貼り付けた。組み付け時にウェルナットはすべて新しいものに取り換え、ヘタっていたカウル内部の仕切り用スポンジの一部も交換しておいた。別にeBayで調達しておいたCHPステッカーを貼り、仏バグスター社に特注したホワイトのタンクカバーも取り付けた。最後に携行缶から燃料タンクにガソリンを戻し、少し長めにセルモーターを回すと3週間ぶりに元気よくエンジンがかかった。 今回のオールペイントにかかった費用は、塗装代\108,000、パーツ運搬代(高速道路・ガソリン)約\5,000、パーツ代(エンブレム・ステッカー等)約\18,000、タンクカバー約\23,600である。タンクカバーを除いた費用の合計は約131,000円となり、当初目指した安いオールペイントがそれなりに達成できたのではないかと思う。乗り出してわかったのは、白いバイクは少しの汚れでも大変目立つので、常にキレイにしていないと、ペイントする前より薄汚く見えてしまうことである。白いバイクに乗ることを職業とされている皆さんも、日々手入れと訓練に余念がないのであろう。また、東京都港区六本木付近でよく見かける、明らかに東洋人でないライダーからの熱い視線を感じるのは、おそらく気のせいではないに違いない。このようなカラーリングのバイクには、背筋を伸ばしてカッコよく乗りたいものである。 |
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Kendall エンジンオイル | 1クォートボトル | 4クォート使用 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
実施日:2012/01/09 次期投入用エンジンオイルについて調べていたところ、Kendallというブランドが”長持ちエンジンオイル”を謳っていることを知った。シビアコンディションのクルマ(四輪)でも10,000kmまたは1年交換不要だという。熱的に厳しい空冷バイクにも使用可能とある。昔はエンジンオイルの交換作業が楽しかったものだが、五十路が目前となり、床に這いつくばる作業を行えば必ずどこかの筋を痛める最近では、その作業頻度が減らせるのであればとても助かる。このエンジンオイルに配合されている液体チタンはZDDPの耐摩耗性を補い、また摩擦低減効果も得られるという。そのような高性能なエンジンオイルであれば高価であることが予想されたが、調べてみたところ正規輸入物でも1クォートボトル(0.946入り)1本あたり\1,900と、それほど高いというわけではなかった。 さらにこの米国製のエンジンオイルが現地において幾らぐらいで販売されているのかを調べてみたところ、なんと1クォートボトル1ダース(12本)が$50程度(米国内送料込み)で販売されていることがわかった。1ドル80円の為替レートでも1クォートボトルあたり300円強(マジか?)という安さで、さすがはモータリゼーション先進国アメリカの面目躍如といったところである。そこで米国Amazonサイトで1ダース$46.99で販売されていたものを注文してみた。日本向けの送料が$44.82でエンジンオイル代と同程度もかかるが、それを含めても総額$91.81(当時の為替レート1ドル79.14円で\7,266)、1クォートボトル1本あたり\606と十分に安い。本当にこの値段で1クォートボトル1ダースのエンジンオイルが送られてくるのか半信半疑だったが、注文してから約2週間後に宅配便のオジサンが重い箱を届けてくれた。 秋口から3,500kmほど使い込んだ古いエンジンオイルを抜き、オイルフィルターを交換してKendallを投入してみた。このオイルは指に付けると納豆のように糸を引く。あまりにも安いので腐っているものをつかまされたのか心配になったが、変なニオイはしなかった。ボトル4本を投入しエンジンオイル確認窓から量を確認すると、ちょうどゲージの上限であった。1クォートボトル4本は3.8に満たないはずだが、ゲージの上限に来るということは、以前バイク屋での定期点検毎に請求書に記載されていた、交換量4.1というのは何だったのだろうか。エンジンを始動してみたところ、エンジンからの機械音が幾分静かになったことが感じられた。走り出すと低速トルクの向上が感じられギアの入りもいい。これらの印象はエンジンオイルがどの銘柄であっても、それが新しいうちには普通に体感できるものである。長持ちエンジンオイルを謳うKendallがこの状態をどの程度の期間持続させてくれるのかとても楽しみである。もしも一交換あたり送料込み\2,422のエンジンオイルが、半年程度も良いフィーリングを保つようなことになれば、筆者はもう日本国内で流通しているエンジンオイルを買うことはないだろう。 |
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昨年冬(2月)にクラッチの油圧系統をオーバーホールしたところ、クラッチレバーの操作タッチが軽くスムーズになった。しかし夏を過ぎたころから少しずつレバー操作に重さを感じるようになってきた。まだ段付き感は出ていないが、それが出るまで使い続けると、内部のゴム製ピストンシールを痛めることになる。今使っているパーツの劣化をできるだけ抑えて長持ちさせれば、長い目で見て経済的である。そこで正月休みの間にクラッチの油圧系統をオーバーホールしておくことにした。 まずクラッチフルードを抜き去り、マスターシリンダーの分解清掃を行う。今回マスターシリンダー内部にたまっていたアルミ粉は、予想していたよりも少なかった。ピストンなどの可動部分にアタリがついてきたということであろうか。スレーブシリンダーも取り外して分解清掃を行った。今回のメンテナンスでは、ゴム製のダストカバーやピストンシールにキズや劣化は認められなかったので、それらパーツの交換は行わずシリコングリスをたっぷり塗布して再利用した。筆者の経験によれば、ゴム製のパーツは全面にシリコングリスを塗布しておけば、劣化がかなり抑えられる。レバーのピボットにはモリブデングリスを塗布し、最後に新しいクラッチフルードを注いてエア抜きをしたところ、クラッチレバーの操作タッチが明らかに軽くなった。 このバイクで毎日都内を通勤する筆者の場合、クラッチレバー操作の良いフィーリングを維持するには、このようなメンテナンスを少なくとも年一回行った方がよいと思われる。 |
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