KAWASAKI 1400GTR 2008 | |||||||||||||||||||||||||||||
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洗浄用具 | プレソルベント | 染めQ ホワイト | |||||||||||||||||||||||||||
マスキング | 塗装開始 | 塗装終了 | |||||||||||||||||||||||||||
マスキング除去 | タンクカバー装着 | タンクカバー装着 | |||||||||||||||||||||||||||
実施日: 2020/11/29 2012年1月にオールペイントを行った際にガソリンタンクを白色にしたので、それに合わせて白いタンクカバーを取り付けた。この仏バグスター社製の1400GTR用タンクカバーは、既製品では白がラインナップされていないので、ユーロイーコム社をとおして特注したものである。色が白だけにこれまで8年程使ううちに黒ずんだ汚れが目立ってきていた。手入れとしては年に一度はマイペットで拭き掃除をしてきたものの、最近では汚れが落ちなくなってきた。そこで汚れをカバーするために、タンクカバーを塗装してみようと思い立った。以前からPVCの塗装には染めQという塗料が良さそうだと思っていたので、そのDIY製品として販売されているエアゾール(スプレー缶)を入手して塗装を行ってみることにした。 塗装の出来栄えは、塗料を吹く作業自体にもそれなりの経験と技術が必要ではあるものの、実際には塗料を吹く作業の前にどれくらい下地を整えられるかに大きく依存する。筆者は今回塗装を行う前日にバイクからタンクカバーを外して自宅の風呂場に持ち込み、靴を洗うタワシを使ってマイペットと漂白剤で塗装する面を洗浄した。洗浄後は一晩外干し(湿度30%)して完全に水分を乾かし、かつマスキングの前後にプレソルベントで塗装面を脱脂した。塗装時には染めQのスプレー缶をヒートガンで温め、スプレー缶を上下に振って缶内の塗料を撹拌しながら塗装した。塗装時のガレージの気温は12℃程度と塗装を行うには低かったが、染めQは説明書どおり速乾性でタレもなく、素人でもかなり塗りやすい塗料であると思われた。 薄く5回程塗り重ねたところスプレー缶内の塗料がなくなったが、その時点でタンクカバー表面の汚れは塗料でカバーされて見えなくなっていた。塗装後1時間程経過した後にマスキングテープを剥がしバイクに取り付けてみたところ、新品当時の雰囲気を取り戻すことができた。白の上に白を塗ったので、PVCの切り口やマスキングしたパーツが被っている部分の塗り残しが目立たないのも難易度的には低かったのかもしれない。染めQの価格は比較的高価ではあるが、DIY塗装経験のある筆者の感覚ではPVCへの塗装の仕上がりはかなりよいと言える。染めQが誇るナノテクノロジーのしくみはイマイチよくわからないが、結果的にタンクカバーが新品のようになったので思い切って塗装を行って正解だった。 |
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fcl 55Wバラスト | 劣化したH1バーナー | まさかの15,810カンデラ | |||||||||||||||||||||||||||
HYLUXTEK 50Wバラスト | ストックのH1バーナー | 28,040カンデラ | |||||||||||||||||||||||||||
HYLUXTEK 電圧・電流値 | 光度測定方法 | ロービーム カットライン調整 | |||||||||||||||||||||||||||
実施日: 2020/11/22 継続検査は無事に合格したものの、fcl社製55Wバラストを組み込んだバイキセノンプロジェクターヘッドライトが以前より暗くなっているような気がしていた。そこで車体からアッパーカウルを取り外して照度計でヘッドライトの明るさを測定してみたところ、取り付け当初は36,760カンデラあったものが実に15,810カンデラにまで低下していた。これは取り付け当初の明るさの約43%しかないという信じがたい結果である。ヘッドライト光度をハイビームで検査するバイクの場合、15,000カンデラ以上でないと継続検査には合格しないので、もしかすると運良くギリギリで合格できたのかもしれない。知らぬがホトケ、見ぬはゴクラクとはこのことである。あまり壊れることのないHIDバラスト(以下バラスト)に問題がないと仮定すれば、光度が低下した原因はHIDバーナー(以下バーナー)の劣化であろう。一般的にバーナーは1,000~1,500時間の点灯で光量が初期の70%程度まで低下すると寿命だと判断するというが、筆者は以前中華製のH4バーナーが700時間程度の点灯時間でヒビが入って正常に点灯しなくなった経験がある。約2年前にこのバーナーを組み込んで以降の推定点灯時間は既に約500時間なので、中華製の低品質バーナーとしては既に寿命に達している可能性がある。 プロジェクターユニットからバーナーを取り外して観察してみると、ガラス管に亀裂は認められなかったもののバーナーの発光部分付近が白く変色していた。バーナー劣化の原因がその品質によるものか、あるいは55Wの高出力バラストによる影響かはわからないが、当初の半分以下の明るさしか出ないほど劣化したバーナーを続けて使用することは避けた方が賢明である。そこでバーナーをストックしてあったものに交換することにした。ストックしてあったバーナーは2017年3月にバイキセノンプロジェクターヘッドライト(35Wバラスト)を組み込んだ時からバラストを55Wのものに交換するまでの約1年半(約3,600km)使ったものだが、発光部分付近が白く変色しているような感じはない。やはりバラストの出力が35Wだとバーナーの負担が小さいのかもしれない。アッパーカウルを取り外したついでにバラストもイグナイター一体式のものに交換することにした。これはこれまで取り付けていたfcl 55Wバラストがイグナイター別体式なので、そのイグナイターが狭いアッパーカウルの中で場所を取るからである。 今回取り寄せたイグナイター一体式バラストは定評あるHYLUXTEK社(中華です)製A0050で50Wの出力があるとされている。ストックしてあったバーナーは約2年前にfcl 55Wバラストを使った測定で29,610カンデラの光度があったが、今回HYLUXTEK 50Wバラストを使った測定では28,040カンデラの結果となった。バラストの公称出力が少し低い(55W→50W)のと2年間のヘッドライト内部の汚れ具合を考えると満足すべき結果といえる。バラストに供給する電圧を14.4Vに調整しHIDの点灯が安定した状態で電流計の値は4Aジャストを示したので入力側では57.6Wの消費電力となった。このバラストの変換効率は謳い文句では89%とあるが、少し割り引いて85%としても出力側の電力は計算上49.0Wとなるので、ほぼ公称どおりの出力といえる。バーナー交換のついでにロービームのカットラインが左右のヘッドライトで少しずれていたのを調整しておいた。今回取り付けたバーナーは35Wバラストとセットになっていたものなので、50Wバラストで使うと劣化が早い可能性がある。H1バーナーは2本セットで3Kから5K円程なので、消耗品と割り切って継続検査毎に交換するか、または継続検査専用に光度の出やすい色温度4300Kのものを1セットストックしておくことにしようと思う。 |
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好天の東京運輸支局 | 検査待ち | 検査待ち | |||||||||||||||||||||||||||
継続検査申請書 | 自動車重量税納付書 | 自動車検査票1 | |||||||||||||||||||||||||||
実施日: 2020/11/19
品川区東大井の東京運輸支局で6回目(13年)の継続検査を受けた。事前準備としてマフラーを純正品に交換し、LEDドライビングランプを取り外し、LEDデイライトにカバーを被せた。ヘッドライトスイッチを機能しないようにし、バイキセノンプロジェクターヘッドライトのCOBイカリングもカプラーを外して点灯しないようにしておいた。他には今年9月から11月にかけてハイマウントストップランプの不点灯修理、リアブレーキ・クラッチフルードの交換、センターカウル内部パッドの交換、エアーフィルターエレメントの清掃、エンジンオイルの交換を行っておいた。車両付属のメンテナンスノートに従って点検していたら、フロントブレーキを操作するとブレーキランプの点灯開始時と終了時にブレーキランプがちらつくことがわかった。原因はブレーキランプスイッチの接点の汚れや異物であるに違いない。そこでブレーキランプスイッチを外して下面の通気口からプレソルベントを吹いて接点を清掃し、その後接点復活材を吹いたところチラツキは解消された。タイヤは昨年(2019年)12月に交換した後3,000km程しか走っていないので摩耗状態に問題はなく、目視点検後にエアーの補充を行っておいた。また同時期に行ったエンジンヘッドカバーガスケットの交換で完治したエンジンオイル漏れは再発していなかった。 継続検査当日は朝7時半に家を出て、まず東京運輸支局前の早川自動車(テスター屋)でヘッドライトの光軸を調整してもらう。右ヘッドライトは規定範囲の四角の枠を超えて上を向いていたので下向きに調整され、左ヘッドライトは規定範囲内に収まっていたが少々下向きだったので上向きに調整された。左右のヘッドライト共、少し左向きだったものの規定範囲内に収まっていたので調整はされなかった。もしかすると車体が少し左を向いていたのかもしれない。早川自動車のメカニックから"ライトの玉換えてます?"と質問があったので換えていると答えると、少し光が散っているがおそらく問題ないと思うと言われた。光軸調整後、事務所でヘッドライト光軸調整代を支払い自動車損害賠償責任保険(以下自賠責)の加入を行う。ヘッドライト光軸調整代と自賠責は2年前と比べてそれぞれ+\260(値上げ)と-\1,840(値下げ)で特に自賠責がかなり安くなっていた。 次に東京運輸支局に移動してナンバーセンター(建物C)の窓口で二輪継続検査の旨を告げ、持参した書類一式(自動車検査証[以下車検証]・継続検査申請書・自賠責証明書・納税証明書)を渡し代金を支払って自動車重量税納付書・自動車検査票1に印紙・証紙を貼ってもらう。今回は事前に継続検査申請書(専用3号様式)をダウンロードして印刷(インクジェットプリンター不可)し必要事項を記入しておいた。次にA庁舎2階に移動して自動車重量税納付書・自動車検査票1に必要事項をボールペンで記入し、書類一式(車検証・継続検査申請書・自動車重量税納付書・自動車検査票1・自賠責証明書・納税証明書・メンテナンスノート)を窓口に提出して継続検査の申請を行う。ところが予約した継続検査日が2日前であることを指摘された。ビールを飲みながら国土交通省のHPで継続検査日の予約を行ったので、おそらく別の月のカレンダーを見ていたのだろう。耄碌はしたくないものだ。これは窓口で別途予約申請書に記入することで当日に検査を受けることができた。 継続検査の申請は受理され検査コースに向かう。前回(2年前)の継続検査は二輪コースが工事中だったが、今回は二輪コースが使えたので四輪の後ろに行列しなくて済んだ。二輪コースは先客が数台いただけでガラガラだった。検査コースに入る手前で検査員にバインダーに挟んだ書類一式を渡すとヘッドライト上下切り替え、方向指示器、ホーン、ブレーキランプ、ハンドルロックの検査が行われ、車台番号とエンジン番号が確認された。検査員がハンドルまわりを見て「色々と付いてますね」と言ったが、「あっ、はい」と言って笑っていたらそれ以上の追及はなかった。その検査員から排ガス検査の際にはDボタン(平成11年排出ガス規制車)を押すように指示された。コースに入るとまずは排ガス検査である。プローブをマフラーに差し込みDボタンを押すがなぜかボタンが点灯しない。その旨を検査員に言うと、プローブをマフラーから抜き自動車検査票1を印字機に入れて印字することでシステムをリセットしてから再度検査を行うよう指示された。 指示どおりにプローブをマフラーから抜き、自動車検査票1を印字機に入れて印字を行い、プローブをマフラーに差し込んでDボタンを押すが、やはりボタンが点灯しない。そこで再度検査員を呼んでボタンが点灯しない旨を告げると、検査員からプローブをマフラーから抜いて待つよう指示された。検査員が自動車検査票1を印字機に入れて印字し、画面を見ながらしばらく待った後Dボタンを押したところボタンが点灯した。そしてプローブをマフラーに差し込むよう指示され排ガス検査が始まった。何のことはない、画面に出る指示に従ってボタンを押してからプローブを差し込めばよかったのである。このバイクで5回目のユーザー車検を受ける筆者をして、画面を見る余裕を失わせる検査コースには何かの魔物が住んでいるに違いない。排ガス検査は合格した。 次は床に埋め込まれたテスターに車輪を乗せて行うブレーキとスピードメーターの検査である。前輪でスピードを検出するバイクはまず前輪をテスターに乗せてスピードメーターと前輪ブレーキ検査を行い、次に前へ移動して後輪をテスターに乗せて後輪ブレーキの検査を行う。後輪でスピードを検出するバイクはまず前輪をテスターに乗せて前輪ブレーキ検査を行い、次に前へ移動して後輪をテスターに乗せてスピードメーターと後輪ブレーキの検査を行う。検査員がこのバイクのスピードは前後輪どちらで検出するかと質問したので後輪と答えると、検査員は操作盤上でスピード後輪検出・2灯式を選択してくれた。その後上の順番でブレーキとスピードメーターの検査を行い合格した。 次は少し前へ移動してヘッドライト検査を行う。まず検査員が左ヘッドライトを布で隠して右ヘッドライトの検査を行う。右ヘッドライトの検査は一回で合格したので検査員が布をずらして右ヘッドライトを覆い左ヘッドライトの検査に入った。ところが左ヘッドライトの覆いを取るタイミングが遅れたのか、ヘッドライトテスターが後続するバイクのヘッドライトを間違って左ヘッドライトとして認識したようで「もう一度」と出て再検査となった。二回目の検査で左ヘッドライトも合格した。これらの検査に合格すると検査員が自動車検査票1を印字機に入れて合格を印字してくれた。その後小屋にいる検査員に書類一式を出して総合判定を受けて検査は終了した。 バイクを駐車場に停めA庁舎2階に戻って書類一式を出し、新しい車検証と検査標章(ナンバーに貼るステッカー)をもらって東京運輸支局を後にした。寄り道せずに自宅に帰り、継続検査のために事前に作業したものを元に戻した。ただしマフラーは社外品に戻さず、純正品のまま乗ることにした。自宅ガレージのバイクの駐輪位置を変更したのでもはや短いマフラーでなくともよくなったのと、低回転域でのトルクが純正マフラーの方がより強力なのがその理由である。新しい車検証、自賠責証明書、アマチュア無線局免許をA4一枚に両面コピーして車載工具箱に収め、新しい検査標章をナンバープレートに貼って継続検査イベントは無事終了した。このバイクも新車から14年目に突入することになったが、もうここまできたら売却しようにも値段はつかないし、文字どおり乗り潰すつもりで付き合っていくしかないのかもしれない。 |
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オイル・フィルター・処理箱 | オイル排出中 | ||||||||||||||||||||||||||||
マイクロセラ | オイル投入 | 乳鉢で撹拌 | |||||||||||||||||||||||||||
実施日: 2020/11/3 継続検査前の整備作業としてエンジオイル(以下オイル)を交換した。交換インターバルは11ヶ月/2,720kmである。約1年ぶりのオイル交換となるが、気温の高い夏場にあまり走らなかったせいか、あるいは前回のオイル交換時にマイクロセラを投入したからか、交換前のフィーリング(エンジン音・ギアチェンジ)にオイルが劣化した感じはほとんどなかった。交換した新しいオイルは前回と同じ格安のAZ MEG-014 SAE 10W-50 SM/MA2である。今回もマイクロセラを乳鉢で撹拌して投入しておいた。 |
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洗浄オイル塗布済フィルター | エキパイ内蔵キャタライザー | ||||||||||||||||||||||||||||
実施日: 2020/11/3 継続検査前の整備作業としてK&Nエアフィルターエレメント(以下エアフィルター)のメンテナンスを行った。メンテンナスインターバルは2年6ヶ月/8,132kmである。想像どおりエアフィルターの汚れは軽微だったが、納車から13年も経過するとエキパイに内蔵されているキャタライザー(触媒)も劣化しているので、エアフィルターが詰まっていると空燃比が設計値を外れて継続検査時の排ガス検査に問題が出る可能性もある。そこで念のためメンテナンス(洗浄・オイル塗布)を行っておくことにした。 |
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左センターカウル内部パッド | 新旧比較 | 交換後 | |||||||||||||||||||||||||||
右センターカウル内部パッド | 新旧比較 | 交換後 | |||||||||||||||||||||||||||
実施日: 2020/11/3
継続検査も近いので2018年10月に仕入れたまま放置していたセンターカウル内部パッドを交換した。 |
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ワインディングロード | リアブレーキリザーバータンク | リザーバータンク清掃 | |||||||||||||||||||||||||||
排出したブレーキフルード | ブレーキフルード交換中 | ブレーキフルード交換後 | |||||||||||||||||||||||||||
クラッチリザーバータンク | リザーバータンク清掃 | 排出したクラッチフルード | |||||||||||||||||||||||||||
クラッチフルード交換中 | クラッチフルード交換後 | キレイなフロントブレーキフルード | |||||||||||||||||||||||||||
実施日: 2020/10/4 1400GTR Owner’s Clubのツーリングで静岡県の寸又峡へ行った帰りのワインディングロードでリアブレーキがべーパーロック(英語:vapor lock)した。筆者がこのバイクでべーパーロックを経験したのは今回が2度目で、1度目は二輪講習会でのコーススラローム中だった。べーパーロックが起きるとブレーキペダルを踏んでも手応え(足応え?)がなくなり、ブレーキペダルを一杯まで踏んでもブレーキが効かない状態になる。原因はブレーキの使い過ぎによるブレーキキャリパーの過熱である。ブレーキキャリパーが過熱するとその熱が油圧経路内のフルードを沸騰させ蒸気による気泡が発生する。気泡が発生している状態では、ブレーキをかけてもマスターシリンダーからの油圧はその気泡を押しつぶすことに使われるのでブレーキキャリパーには伝わらずブレーキが効かない。 筆者は街中ではほとんどフロントブレーキを使わずエンジンブレーキとリアブレーキで減速するが、コーススラロームやワインディングロードで攻めた走りをするときには街中と違う乗り方が求められる。つまりはフロントブレーキを積極的に使って減速と姿勢変化を行う必要があるのだが、久々に攻めた走りをするとフロントブレーキを意識的に使うことを忘れてしまっていて、街中と同じようにリアブレーキによる減速に依存しリアブレーキキャリパーを過熱させてしまうことになる。たしか1度目のべーパーロックもかなり久々に二輪講習会に参加したときだったし、2度目の今回も今年2月の西伊豆以来のワインディングロードである。 ポリエチレングリコールが主成分であるフルードは吸湿性が高いので、油圧経路の中に閉じ込められてはいるものの空気中の水分が少しずつフルードに吸収される。フルードは吸湿することで沸点が下がるのでべーパーロックが起きやすくなる。今回べーパーロックを起こしたリアブレーキのフルードはちょうど2年前にブレーキの油圧経路を一新したときに換えたものなのでそろそろ交換時期である。継続検査も来月に迫っていることもあるのでこの際ブレーキとクラッチのフルードを交換しておくことにした。 リアブレーキのフルードを貯めているリザーバータンクのフタを外してみるとフルードは黄色く変色していていた。ブレーキ油圧経路内のすべてのフルードをリアブレーキキャリパーから抜いたところ、かなり茶色く変色していて交換すべき時期を過ぎていると思われた。次にフロントブレーキのリザーバータンクのフタを外してみるとフルードの変色はなく交換直後のようにキレイなままだった。筆者がほとんどフロントブレーキを使わないことを裏付ける状態といえる。根が貧乏性な筆者はこんなにキレイなフルードを交換するのはもったいないと思ったので、そのままそっとリザーバータンクのフタを取り付けておいた。 クラッチのリザーバータンクのフタを外してみるとフルードはやや黄色く変色していた。クラッチスレーブシリンダーからクラッチ油圧経路内のすべてのフルードを抜いたところ、リアブレーキ程ではないがかなり黄色く変色していて劣化しているようだった。しかしクラッチはべーパーロックを起こさないので交換はもう少し先でもよかったかもしれない。ラジアルポンプはフルード交換の最後にポンプ側のニップルからエア抜きを行う必要があり、これを行わないといつまで経ってもクラッチレバーに手応えが出てこない。実質1時間半程度で作業を終えたが、昨日のツーリングの疲れが残っていたので試運転は先延ばしにすることにした。 |
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左側不点灯 | 左側不点灯 | ランプユニット本体 | |||||||||||||||||||||||||||
LED基板 | LED基板 | ハンダ付け修正箇所 | |||||||||||||||||||||||||||
点灯テスト | 点灯テスト | 修理完了 | |||||||||||||||||||||||||||
実施日: 2020/9/23 1400GTR Owner's Clubのツーリングに参加した際、後ろを走る仲間からトップケース上のハイマウントストップランプの左半分が点灯していないことを指摘された。確かめてみると8個あるLEDのうち左側の4個が点灯していない。一昨年11月の継続検査前の点検では8個すべて点灯していたので、それ以降にこのような状態になったことは間違いないとしても、始業点検をサボっていたことがバレバレである。右側4個のLEDは点灯するので故障の原因が電源を供給するケーブルの断線ではないことは明らかである。状況から推測すると、LED自体が壊れて点灯しなくなったのではなくLED 4個を一組として点灯させる回路のどこかに導通していない部分がある可能性が高い。つまり修理を行うためにはLEDがハンダ付けされている基板(以下LED基板)をハイマウントストップランプユニット(以下ランプユニット)から取り出してその裏側を調べる必要がある。そこでランプユニットを分解してみることにした。 まずランプユニットをトップケースから取り外し、ランプユニット本体にタッピングビスで留めてある赤いレンズ部分を取り外す。LED基板はランプユニット本体内部に充填されているエポキシ樹脂で接着されていたが、細いマイナスドライバーでLED基板を少しずつコジることで取り外しに成功した。取り外したLED基板を調べたところ、点灯しない4個のLEDのうちの1個の片方の足が基板と導通していないことがわかり、その部分のハンダ付けをやり直すことで4個のLEDが点灯し問題は解決した。その後ランプユニット本体内部に充填されている古いエポキシ樹脂を細いマイナスドライバーでコジって取り去り、電源ケーブルを通して新しいエポキシ樹脂をランプユニット内部に充填し、LED基板を固定して赤いレンズをタッピングビスで取り付けランプユニットの修理は完了した。 仲間に指摘されていなければ、今年11月に左半分が点かないハイマウントストップランプで継続検査を受け、その場であたふたするハメになったかもしれない。仲間というのは実にありがたい。 |
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押しボタンスイッチ | ON時チャタリングあり | OFF時チャタリングなし | |||||||||||||||||||||||||||
チャタリング除去デバイス | ON時チャタリング除去 | OFF時チャタリング除去 | |||||||||||||||||||||||||||
クルコン本体位置 | レギュレータレクチファイヤからの電流 | バッテリーからの電流 | |||||||||||||||||||||||||||
実施日: 2020/7/18 2009年に取り付けたクルーズコントロール(以下クルコン)は2012年頃までは問題なく使えていたが、それ以降ときどき誤動作が起きるようになった。クルコンモードで定速走行中にSet/CoastまたはAccel/Resumeボタンを押し続ければ減速または加速が行われ、ボタンから指を離せばその時点の速度が維持される。ところがボタンから指を離した途端にクルコンモードが外れてスロットルが閉じ速度が下がってしまう現象が起きるようになった。挙動はキャンセルボタンを押したときと同じだが、違うのはクルコンモードに入っていることを示すインジケーターが点灯したままになっていることである。一旦この状態になるとクルコンはボタン操作を受け付けなくなり、復旧するには一旦クルコンの電源を切りその後に電源を入れ直す必要がある。楽にクルーズするために取り付けたクルコンがこのような具合だと、逆にストレスになるばかりか、まわりの交通にも危険を及ぼし事故を誘発する可能性がある。そこで大枚叩いてクルコン本体を新しいものに取り換えてみたが問題は解決しなかった。 問題の原因がクルコン本体でないとすれば疑わしいのは2012年に自作したクルーズコントロールパッドである。このクルーズコントロールパッドはライダーがクルコンを制御するためのデバイスである。2014年にこのデバイスを改修したことがあり、当時はこの問題も直ったと思っていたが実際は直っていなかった。クルーズコントロールパッドに採用した押しボタンスイッチ(モーメンタリ)の接点は機械式なので作動時にチャタリングが発生する。チャタリングが発生すると電子機器であるクルコン本体が誤動作を起こす可能性があることは想像に難くない。クルーズコントロールパッドを取り付けた当初は問題なく動作していたことを考慮すると、押しボタンスイッチの経年劣化によりチャタリングの程度が大きくなり、それが誤動作の原因になっているのかもしれない。そこでTC4011BPを使ってR-Sフリップフロップ回路を組みチャタリングを除去してみたものの問題は解決しなかった。 クルコン本体の故障でなくコントロールパッドも悪くないとすれば、問題の原因がクルコンに供給している電源に関係しているのかもしれない。このクルコンが必要とするDC12V電源には2系統あり、ひとつはクルコンのアクチュエータを動かすための電源、もうひとつはクルコンの動作ロジックを制御するための電源である。それらの電源はインストールマニュアルに従って前者は車体側のアクセサリー電源から、後者はブレーキランプスイッチの一次側から取っている。1400GTRの電気配線図を取り出し仔細に眺めてみると、それらの電源はレギュレータレクチファイアから供給されている(レギュレータレクチファイア出力の後ろ側にバッテリーがある)ことがわかった。レギュレータレクチファイアはジェネレータ(オルタネータ)で発生させたAC電力をDC12Vに変換するデバイスである。 レギュレータレクチファイアの出力電流は細かな電圧変動(ノイズ)があることが知られている。電圧変動はレギュレータレクチファイアやケーブル(電線)の経年劣化で増大することがあるという。 オシロスコープでエンジン回転数2,000rpmのときのレギュレータレクチファイアからの電流を調べてみると電圧変動は1.8V程度の幅であるのに対し、バッテリーからの電流の電圧変動は0.8V程度で、レギュレータレクチファイアからのそれと比べると電圧変動の幅が半分以下であることがわかった。バッテリーからの電圧はエンジンをかけていないときはフラットである。つまりエンジンをかけるとレギュレータレクチファイアの影響を受けてバッテリーからの電圧も変動するが、バッテリー自体がある程度電圧の安定化(平滑化)デバイスとして機能していると考えられる。 前述した問題はSet/Coastボタンから指を離したときに起きることが特に多い。このときのクルコンの挙動としては、Set/Coastボタンが押されている間は速度を落とすためスロットルを閉じ、ボタンから指が離された瞬間にその時点の速度を維持するためにスロットルを開く。このスロットルを開くときのアクチュエータの作動に比較的大きな電力が消費された結果、レギュレータレクチファイアからの供給電圧が追いつかず電圧が低下してクルコンが制御不能な状態に陥っている可能性も考えられる。 仮に問題の原因が供給電源のノイズにあるとしても、あるいは電圧低下にあるとしても、レギュレータレクチファイアより電圧が安定しているバッテリーからクルコンに電源を供給する方がよいに違いない。そこでクルコンの電源をふたつともバッテリーから取ることにした。クルコン本体の設置場所の真下にあるヘッドライトリレーに来ている電源は、15Aフューズを経由したバッテリーからの常時電源なのでそれを利用することにした。ヘッドライト(HID)には別途バッテリーから電源を直接引いているので、このヘッドライトリレーに来ている電源はLo/Hiを切り替えるためのアクチュエータにしか使われておらず15Aの容量のほぼすべてを使うことができる。ただし常時電源なのでアクセサリ電源でリレー(30A)を駆動してアクセサリ連動電源にした。 改修を終えて試運転に出かけてみた。永福下りICから首都高4号線に乗り西に向かう。途中クルマが空いたところでクルコンモードに入れSet/CoastとAccel/Resumeボタンを押して減速と加速を行うと、これまで発生していた問題が嘘のように解決していてライダーの意思に忠実なクルコンの動作を得ることができた。高い授業料を払ったが、アクチュエータや電子デバイスにはレギュレータレクチファイアからではなく、バッテリーからの電源を供給した方が良いことがわかったことはとても勉強になった。 |
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VSYSTO A2F ドラレコ | VSYSTO A2F ドラレコ | ドラレコ本体 | |||||||||||||||||||||||||||
フロント・リアカメラ | DC-DCコンバーター | GPSアンテナ | |||||||||||||||||||||||||||
USB電源ケーブル | 本体取付ブラケット | ワイヤレスリモコン | |||||||||||||||||||||||||||
ユーザーマニュアル | 自作ドラレコホルダー | 自作ドラレコホルダー | |||||||||||||||||||||||||||
ドラレコ本体体重測定 | RAM-B-408-75-1U | 付属ステー取り外し | |||||||||||||||||||||||||||
自作ゴムパッキン | Φ22パイプクランプ | 自作ステー取付 | |||||||||||||||||||||||||||
消費電流(12V側) | 暗電流(12V側) | GPSアンテナ | |||||||||||||||||||||||||||
ハンドルバーマウントベース | ドラレコ本体取り付け | フロントカメラ | |||||||||||||||||||||||||||
リアカメラ | ライダー視点 | ドラレコによる映像 | |||||||||||||||||||||||||||
スマホホルダー移設 | マルチハンドルクランプ | スマホ移設後のライダー視点 | |||||||||||||||||||||||||||
実施日: 2020/2/11 2010年5月にKYB製の二輪車用ドライブレコーダー(以下ドラレコ)を装備した。流石は日本製だけあり10年以上一度も故障することなく走行映像を録画し続けてくれた。しかしこのドラレコの解像度はVGA(640×480)でダイナミックレンジも狭く、導入当時は一般的なスペックだったが、今となっては時代遅れの感は否めない。しかも残念なことに今年初めこのドラレコを装備して以降初めて交通事故に遭い、身体のケガはなかったもののバイクが破損した。事故の状況としては、自車が首都高速4号線(2車線)の右車線を走行中、四輪車が後方から自車の右側を通過して自車の右側面と四輪車の左側面とが接触した。このドラレコは前方のみの録画なので、四輪車が自車に接触して前方に走り抜ける様子は録画されていたが、この四輪車がどのような速度でどのように自車の後方から迫ってきたのかについてはわからなかった。 このとき自車は首都高速4号線上り永福料金所から本線左車線に合流し、黄色い区画線が白い区画線に変わるところで左から右に車線変更を行った後に四輪車と接触した。筆者が車線変更を行う数秒前に左車線で右後方を振り返って目視確認したときに四輪車はいなかったので、この四輪車は相当な速度で右車線をすっ飛ばしてきたか、あるいは筆者の背後で左から右に黄色い区画線を跨いで車線変更を行った可能性がある。今回の事故での被害はバイクの破損だけで済んだものの、自車があと50cm右寄りを走行していたら間違いなくこの四輪車に追突され、筆者は高架道路から10数m下の地面に転落死していたかもしれない。もしそうなっていたら四輪車の運転手は警察の事情聴取に対して自分に都合の良い供述をするに違いない。 そこでこの事故を契機に後方も撮影できる二輪車用ドラレコを装備することにし、VSYSTO A2F(現在は既にバージョンアップされ仕様が異なる)という中華製品をAmazonでポチった。このドラレコの本体には3インチモニターが装備されていて前後カメラの映像をリアルタイムで見ることができる。モニターに映し出されるリアカメラの映像が正像のものと鏡像のものとで製品が別になっており、発注時にどちらかを指定する必要があった。筆者は走行中の後方監視モニターとして利用することを想定し鏡像タイプ(バックミラーと同じ見え方)を入手した。カメラのスペックはフロントが1080P/27.5fps、リアは1080P/30fps、画素、画角、F値はどちらも200万、130°、F2.0となっている。リアカメラには暗視機能センサーが搭載されていると謳われていて、暗いところではフロントカメラより明るく映る。動画を保存するマイクロSDメモリーカードの容量は16MBから256MBまでのものがサポートされる。 防塵防水性能はドラレコ本体がIP65、カメラがIP67となっているが、Amazonのレビューには本体モニターやカメラレンズの内側が結露したという情報がある。機器内部への浸水を防ぐには少し工夫する必要があるかもしれない。ドラレコ本体の開口部であるマイクロSDメモリーカードの挿入口にはゴム製のフタがあり内部への浸水を防ぐ作りにはなっているが、フタのハマり具合が緩めでIP65の防水性能定義である「あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない」というには心許ない感じがする。運用時にはフタをガムテープで覆うなどして防水を考慮した方がよいだろう。カメラレンズはカメラ筐体に止水テープを用いてねじ込んであり、水分がここから内部に浸入しそうにないように思えた。もしかするとカメラ後部のケーブル取り出し部分の防水対策が足りていないのかもしれないが、外からは何ともしがたいのでそのままにしておくことにした。 撮影された映像はドラレコ本体に挿入したマイクロSDメモリーカード内に一定の時間(設定可能値:1分・2分・3分・5分・なし)ごとに動画ファイルとして保存される。動画ファイルの名前は"REC_"の後にそのファイルの撮影が開始された日時が続くもの(以下”REC_動画ファイル”)で、下のような命名規則を採る: REC_YYMMDD-HHMMSS[F|R].MOV マイクロSDメモリーカード内の動画ファイルが増えて空き容量がなくなると、REC_動画ファイルのうち日付時間の最も古いファイルが自動的に消去され新しい動画ファイルが保存される。 ドラレコ本体の設定でGセンサーを利用する(Gセンサー感度は変更可能)ようにしておけば、一定以上の衝撃をドラレコ本体(リアカメラという情報もある)が受けると、そのとき撮影中の映像は”REC_”の代わりに”GSR_”から始まる名前の動画ファイル(以下”GSR_動画ファイル”)として保存される。このGSR_動画ファイルはマイクロSDメモリーカードの容量が一杯になっても自動的に消去されないが、保存されるGSR_動画ファイルの数は8個までに制限されている。8個のGSR_動画ファイルが既に存在する場合、9個目のGSR_動画ファイルは既存GSR_動画ファイルのうち日付時間の最も古いファイルが自動的に消去され新しい動画ファイルが保存される。このことはユーザーマニュアルに記載されていないが、この不思議な仕様はマイクロSDメモリーカードに保存された動画ファイルが時系列的に連続していないという現象の原因となるので注意が必要である。筆者はGセンサーの感度を0に設定してGSR_動画ファイルが作られない運用とすることにした。 付属のワイヤレスリモコン(防塵防水性能IP65)のボタン(2つのうちどちらでもよい)を押すと、そのとき撮影中の映像は”REC_”の代わりに”KEY_”から始まる名前の動画ファイル(以下”KEY_動画ファイル”)として保存される。同時に”REC_” から始まる名前の静止画ファイル(.jpg)が保存される。保存されるKEY_動画ファイルの数はGSR_動画ファイルと同様に8個までに制限されている。8個のKEY_動画ファイルが既に存在する場合、9個目のKEY_動画ファイルは既存KEY_動画ファイルのうち日付時間の最も古いファイルが自動的に消去され新しい動画ファイルが保存される。このこともユーザーマニュアルに記載されておらず、上述の動画ファイルが時系列的に連続していないという現象の原因となるので注意が必要である。筆者はワイヤレスリモコンを装備せずKEY_動画ファイルが作られない運用とすることにした。 このワイヤレスリモコンは電池が必要だが設置時に配線を引き回す必要がないのが手軽でよい。しかしこのワイヤレスリモコンとドラレコ本体がどのような電波を使って通信しているか、またそれが日本の電波法に準拠しているか等についての情報はユーザーマニュアルやAmazonの商品説明ページには見当たらなかった。笑えるのは、このワイヤレスリモコンは使わなくとも電池が消耗することである。常時電波を出しているのか、購入時には普通に使えていたワイヤレスリモコンを車体に装備せず保管しておいたところ、3か月後には電池電圧がかなり低下して下に示す要電池交換状態となっていた。このワイヤレスリモコンのボタンを長押しすると、そのときのドラレコの状態がワイヤレスリモコン上のLEDで確認できる:
別売りの専用GPSアンテナも入手した。GPSアンテナを接続しておけばドラレコ本体の時間が自動設定される。製品の出自ゆえドラレコ本体のデフォルトのタイムゾーン設定がUTC+8となっているので、日本国内で運用するなら設定画面でUTC+9に変更しておかないと中華人民共和国標準時が自動設定される。GPSアンテナを接続しておくと動画ファイルに位置情報が付加されるので、専用の動画プレイヤーを使えば、動画を再生しながらそれが録画された場所をGoogle Maps上に表示することができる。この動画プレイヤーは自動的に前後カメラのペアとなる動画を同時に再生してくれるが、しばしば前だけ、あるいは後だけしか再生されないことがある。またこの動画プレイヤーはダウンロードで提供されるが、困ったことにユーザーマニュアルで示されるURLにはソフトウェアが存在しておらず、自分でググって見つける必要があった。この動画プレイヤーは他メーカーのドラレコにも使われているようで、筆者は他メーカーのサイトからダウンロードして使っている。 動画ファイルはQuickTimeムービー(.mov、H.264/MPEG-4 AVC)形式なので、上の専用動画プレイヤーだけでなく一般的な動画プレイヤーでも再生することができる。どちらにしてもパソコンで動画を再生するにはドラレコ本体からマイクロSDメモリーカードを取り外してパソコンのメモリースロットに挿入する必要がある。動画ファイルは専用のスマホアプリで再生することもできる。ドラレコ本体がWi-Fiアクセスポイントになるので、スマホをWi-Fiで接続してドラレコ本体のマイクロSDメモリーカード内にある動画ファイルに直接アクセスして再生する。つまりドラレコ本体からマイクロSDメモリーカードを取り外す必要がない。このスマホアプリを使用中はスマホのモバイルデータ通信を停止しておかないとアプリが正しく動作しないので注意が必要である。スマホアプリで動画ファイルを再生する場合に位置情報は表示されない。カメラが現時点で捉えている映像もスマホアプリで見ることができるが、表示には1秒弱のタイムラグがある。 製品には四輪車のフロントガラスに貼り付けてドラレコ本体を吊り下げるためのブラケットが付属している。ブラケットとドラレコ本体はM4ネジ一本で固定するが、実測260gもある重いドラレコ本体をネジ一本で揺れる車内に吊り下げるというのは日本製品にはない大胆さである。どちらにしてもこのブラケットは二輪車には使えないので、ドラレコ本体を保持するホルダーを2mm厚のアクリル板をヒーターで曲げて自作することにした。ホルダーはモニター視認性向上のため上面を少し手前に伸ばしてバイザー形状とし、左右両端にもアクリル板から切り出した日よけパーツをアクリル用接着剤で取り付け、ホルダー内部のドラレコ本体が触れる部分には緩衝のため2㎜厚のゴム板を貼り付けておいた。ホルダーの背面には手持ちのRAM Mounts社製ボール付きダイヤジョイント(RAM-B-238U)を取り付けておく。ドラレコ本体はホルダーの前から入れ底面で重量を受ける。ドラレコが前に飛び出してこないように上部のM4ねじ穴を利用して固定する。ベースはこれまで使っていたブレーキ/クラッチリザーバーベース(RAM-B-309-1U)を再利用するとドラレコ本体の位置が高くなりすぎるので、新たにハンドルバーマウントベース(RAM-B-408-75-1U)を入手してハンドルバーホルダーに取り付け、アームはこれまで使っていたダブルソケットショートアーム(RAM-B-201U-A)を再利用した。 ドラレコのカメラは画角が広いので、映像内に車体の一部分ができるだけ映り込まないようにするためには、カメラは車体の前後端に近い位置に取り付けたい。そこでドラレコ本体のモニターを見ながらカメラを動かして適切な場所を探し、フロントカメラはヘッドライト下に、リアカメラは無線アンテナステーの下に取り付けることにした。付属しているステーを使ってカメラを固定すると上下方向の調整がやりにくいので、代わりに22mm径のパイプクランプを利用することにした。カメラ先端部を取り外してカメラ筐体との間に挟み込んである付属のステーを取り外し、ステーとほぼ同じ厚みのゴム板から製作したパッキンをステーの代わりにはめてカメラ先端部を元に戻す。カメラの直径はパイプクランプの内径よりやや小さい約21mmなので、パイククランプの内側に1mm厚のゴム板を敷いておくことにした。アルミLアングルを加工してステーを製作し、M6ボルトでパイククランプとステーを締結する。パイククランプを利用すればボルトを緩めるだけでカメラの上下と回転方向の調整が行える。フロントカメラは車体がノーズダイブした際にフロントフェンダーに接触しない車体中心から右にオフセットした位置に取り付けた。前後カメラともごくわずかに車体が映像に映り込むが実質的な問題はない。 製品にはドラレコに電源を供給するためのDC-DCコンバーターが付属している。製品の外箱に記載されているDC-DCコンバーターの仕様は入力が12-24V、出力が5V/2Aとあるが、DC-DCコンバーターに貼付されているラベルには入力が9-24V、出力が5V/15W(=3A)と記載されている。あの国には整合性という考え方がないのであろうか。GPSアンテナを接続した状態でこのDC-DCコンバーターを使い録画中の消費電流を入力側(+12V)で調べてみると500mA程度(= 6W程度)だった。そのときの出力電圧が5.0Vだと仮定すると、DC-DCコンバーターでの損失を無視した場合、このドラレコの録画中の消費電流は計算上5V側で1.2A程度となる。このDC-DCコンバーターは入力側に3本の電線があり、ユーザーマニュアルにはそれぞれバッ直電源、アクセサリー電源、グランドに接続するとある。このドラレコに駐車監視機能はないはずなので、バッ直電源が必要な理由は内蔵時計用電源ためかもしれない。そこで念のため暗電流を調べてみると12V側で3mA(計算上5V側で7mA)程度もあった。そこでバッテリー上がりを防ぐためバッ直電源線もアクセサリー電源につないでおくことにした。時間がリセットされてもオプションのGPSアンテナを付けているので電源を入れてしばらくすれば時間は自動的に設定されるので問題はない。 製品に同梱されているUSB電源ケーブルをスマホを充電するためのUSBチャージャーにつなぐとドラレコに電源を供給することができる。このドラレコの消費電流は5V側で1.2A程度なので、USBチャージャーは5V/2A程度の出力が可能なものを使う必要がある。筆者は部屋の中でこのUSB電源ケーブルと手持ちのUSBチャージャーを使いドラレコがきちんと機能することを確認した。ところがこのUSB電源ケーブルを既にバイクに搭載してあるUSBカーチャージャーにつないでドラレコに電源を供給してみたところうまく動作しなかった。具体的にはエンジン回転数を変化させると片方のカメラが機能しなくなったりドラレコがリセットされたりした。確かめてはいないが、エンジン回転数の変動に伴うUSBチャージャーへの入力電圧の変動で出力電圧が変動し、それがドラレコの動作許容範囲を越えてしまうことが原因ではないかと思われる。この車載USBカーチャージャー固有の問題である可能性も否定できないが、バイク上でこのUSB電源ケーブルを使ってドラレコに電源を供給するのであれば、シガーライターソケットに刺すタイプのUSBカーチャージャーではなく、5V出力がある程度安定化される市販のDC-DCコンバーターを使う方がよいかもしれない。 筆者は以前AmazonでマイクロSDメモリーカードの偽物をつかまされたことがあったので、また偽物であった場合のリスクを最小化するため今回は比較的安価な64GBの高耐久マイクロSDメモリーカードをこのドラレコ用に入手することにした。64GBの容量だと前後合わせて5時間半程度の動画ファイルが保存できる。撮影される1080p動画の品質はドラレコとして必要十分で、まわりのクルマのナンバープレートも十分近ければ読み取れる。3インチモニターの後方監視カメラとしての機能は、画面が小さくやや見辛いものの、バックミラーの死角を補う目的としてはそれなりに使えた。 製品に付属しているユーザーマニュアルの日本語は、言いたいことはわかるにしても文法はかなり怪しく、また所々辻褄の合わない説明が見受けられた。ただこのメーカーはTwitterに日本語アカウントを開設しており、マーケットの言語で情報発信している点では好感が持てる。実はこの製品を最初に入手した際、Gセンサーが機能しておらず、またしばらく使っているとフロントカメラが機能しなくなった。そこで製品をAmazonに返品し再度同じものを入手したところ、それらの不具合はなかった。イマイチ製品の完成度に欠けるきらいはあるものの、動画の品質は悪くないので、きちんと録画されているか時々確認しながら運用してみることにした。 <2020年2月24日追記> <2020年3月27日追記> 空気圧センサーの電波は微弱なので、何らかの放射ノイズがあると通信が障害される可能性がある。つまりドラレコを構成するデバイスのひとつ、または複数が放射ノイズを出している可能性がある。この場合真っ先に疑うべきはDC-DCコンバーターである。スイッチング方式のDC-DCコンバーターは様々なノイズ源となることがよく知られている。かなり完成度が低いと感じるこの中華ドラレコに付属しているDC-DCコンバーターがノイズの発生源となり得ることは想像に難くない。 そこでこのDC-DCコンバーターを取り外して試走してみたところ、前輪の空気圧は問題なく表示されたので、このデバイスが通信障害を起こす放射ノイズを出しているらしいことがわかった。このDC-DCコンバーターは出力側のケーブルが短いので、それをドラレコ本体の近くに設置せざるを得ない。筆者の場合、ドラレコ本体をハンドルに取り付けたのでDC-DCコンバーターは前輪タイヤに比較的近い位置に設置することになった。この事も通信障害を発生させる原因のひとつになった可能性がある。 DC-DCコンバーターを車両前方からできるだけ離れた場所に設置するため、出力側の延長ケーブル(DC-DCコンバーターとドラレコ本体の間)を入手できるかどうかをメーカーのサポートに日本語で問い合わせてみた。メーカーからの返事はタイムリーに届くものの、6-pin電源延長ケーブル入手方法の問い合わせに4-pinカメラ延長ケーブルの入手方法が2度返ってきた。たまらず英語で問い合わせたところ、6-pin電源延長ケーブルは用意されていないという答えが日本語で返ってきた。 延長ケーブルが用意されていないので、DC-DCコンバーターを車両前方から離れた場所に設置するには、出力側ケーブルを自前で改造して延長する必要がある。しかしDC-DCコンバーターを移設しても、それがノイズを出している以上、問題が解決する保証はない。そこで以前USBカーチャージャーを使って電源を供給する方法が上手くいかなかった原因を調べてみることにした。調査の結果、USBカーチャージャーからの5V電源供給が安定しないのは、USBカーチャージャーへの12V電源供給回路に入れているオンディレーリレーの容量オーバー(リレーの接点容量を超える電流を通電していた筆者のミス)が原因であることがわかった。そこでこのオンディレーリレーを取り外したところ、USBカーチャージャーひとつでスマホとドラレコの両方に安定して電源を供給することができ問題は解決した。 |
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事故直後の破損状況 | 破損したパーツ | 折れた右スライダーステー | |||||||||||||||||||||||||||
破損した右ヒートガード | 新旧スライダーステー | スライダー樹脂パーツ | |||||||||||||||||||||||||||
曲がったボルト(M10x85) | 新しいボルト(M10x85) | ボルト使用部位(M10x85) | |||||||||||||||||||||||||||
右ヒートガード自家塗装前 | 右ヒートガード自家塗装後 | パッド・ウェルナット | |||||||||||||||||||||||||||
右ロアカウリング | スライダーステー穴位置決め | 復旧した右スライダー | |||||||||||||||||||||||||||
事故発生日: 2020/1/5 総走行距離: 86,389km 新年早々の1月5日午前、首都高速道路上でクルマと接触しバイクを壊してしまった。状況としては4号線上り永福料金所から首都高速道路に入って左から本線に合流し、その後黄色い区画線が終わったところで左車線から右車線に車線変更を行った。その直後に右車線内の自車の右側をクルマが通過し、自車の右側面とクルマの左側面が接触した。このとき自車はこの道路の制限速度である60km/h+α(ゆわkm/h程度?)で走行していたので、このクルマは接触時にそれよりも速い速度で走行していたことになる。自車が左車線上で車線変更動作を起こす数秒前に右後方を目視確認したときにこのクルマは見えなかったので、接触前にかなりの速度で右車線をすっ飛ばしてきたか、あるいは筆者の背後で黄色い区画線を跨いで左車線から右車線に車線変更を行った可能性がある。 接触後、運よく転倒は免れ身体にケガもなく、また走行も続けられたのでクルマの運転手(以下運転手)に合図して自車の後ろに入ってもらい数100m先にあった非常駐車帯にバイクを停めた。まずは運転手にパッセンジャーも含めてケガがないことを確認し自分にもケガがない事を伝えた。なぜ右車線を走るバイクの右に突っ込んできたのかを聞くと「イケると思った」という。交通事故死亡者数が減少の一途を辿る昨今、イマドキのドライバーは教習所で教えられたとおり危険な状況ではまず速度を落としてリスクを回避するものだが、筆者よりたった2歳年長のこの運転手はいまだに昭和モータリゼーション発展期の交通戦争下に生きているかのようである。 運転手と一緒にクルマ左側面の状況を確認したところ、フロントドアからリアドアにかけて、おそらくバイクの右バックミラーが擦れて樹脂が溶けたようなものが薄く付着していた。これは爪で軽く擦れば取れることがわかった。クルマの左側面にキズや外板のヘコミはないようで、この時点で運転手は聞いてもいないのにクルマは自分で直すと言い出した。次にバイクの右側面の状況を確認したところ、Kawasaki純正スライダー(Top Block社のOEM製品、以下スライダー)とロアカウリング、それにヒートガードが破損していた。スライダー樹脂パッドの大部分は失われ金属ステー(鉄)は折損していた。また右フロントミドルカウリングにスライダー樹脂パッドが擦れた跡がついていた。これらのパーツをすべて新品に交換するとなれば、少なくとも15万円程度はかかることを運転手に伝えると、その修理代金を負担するという。 警察に連絡して物損事故の届けを出すかどうかを運転手に聞いたところ、この運転手は急いでいるとして届けを出すことを渋った。筆者的には届けを出しておかないと相手のクルマの修理に自分の保険が使えないので安心できないと伝えると、再度クルマとバイクの修理費用は全額自費で負担するという。筆者としてはケガもないし修理費用を出してもらえるのであればそれでよいが、連絡先を交換したとしても口約束ではバックレられる恐れがある。この運転手は一刻も早くこの場を離れたい雰囲気を醸し出していたが、おそらくその理由は単に急いでいるのではなく、事故状況が自分に不利であると考えているようだった。物損事故に免許点数上のペナルティーなどないのだが、この運転手は普通免許しか持っておらずあまり交通事故には詳しくなかった可能性がある。 筆者は少し考えてこの運転手の提案を受け入れることにした。理由としては、口約束というものを実際に体験してみるのも面白そうだったからである。バイクの修理費15万円というのはパーツをすべて新品に交換した場合のもので、使えるパーツは再利用するなどやり方によって費用は抑えることができるかもしれない。そこで筆者は費用をできるだけ抑えながら自分でバイクを修理し、それにかかった費用を運転手に請求してみることにした。仮に運転手がバックレたとしても、費用ができるだけ抑えてあれば自分の懐の痛みも少ない。逆に支払ってもらえれば貴重な体験をさせてもらえてラッキーぐらいに考えておけばよい。 運転手と別れて次の初台ICで首都高速道路を降り一般道で自宅に戻った。早速破損したパーツを取り外して状況を確認してみた。まずスライダーを調べてみると破損時の状況がわかってきた。おそらく一番外側に張り出したスライダーの樹脂パッド部分がクルマの左前輪アルミホイールの中心より後側に接触し、スライダーが上に跳ね上げられて樹脂パッドが破壊され金属ステーが折れたのだろう。折れたスライダーの前側が上を向いて止まっており、それを固定しているボルトに対して右回り(締め付け方向)したせいで取り外しに難儀したことが破損状況を裏付けている。折れたスライダーの後側は上に跳ね上げられた際にヒートガードの下部に当たってそれを壊し、同時にスライダーを固定するナットが左回り(緩め方向)したせいで緩み、スライダーが垂れ下がったというわけである。 右フロントミドルカウリングについては、付着したスライダー樹脂パッドが擦れた跡は拭き取れば落ちた。キズも付いておらず交換の必要がないことがわかった。右ロアカウリングと右ヒートガードについては割れていて再利用はできそうになく、交換するしかない。そこでこれらの新品パーツを発注することにした。これらのパーツに取り付けるスポンジパッドやウェルナットも同時に発注する必要がある。下は今回取り寄せたカワサキ純正パーツである:
取り寄せた右ヒートガードの色は2008年モデル用のニュートロンシルバーなので、車体の色であるホワイトに塗装する必要がある。2012年に塗装屋で1400GTRをホワイト・ブラックに全塗装したとき、ホワイト部分には色合いが最もスタンダードなソリッドの塗料を使ってもらった。従って右ヒートガードの塗装には市販のスプレー塗料のホワイトを使えば近い色合いになるだろう。そこで2液型ウレタンスプレー(ロックペイント 062-6012)を使って右ヒートガードを自家塗装することにした。筆者は2003年頃フルカウルバイク(ホンダCBR1100XX)1台を自家塗装した経験があり、小さなパーツの塗装程度ならそれなりの品質に仕上げることができる。スコッチブライトで新品の右ヒートガードに足付けし、脱脂後プラサフを省略してウレタンスプレーを吹いたところ、少しタレたもののツヤありの状態に仕上げることができた。色合いはよく見ると元の色に比べて若干アイボリーが強いがボーっと生きている人にはわからない程度のものである。 スライダーは新しいものを国内で購入すると9万円程かかるが、破損状態を調査した結果、交換する必要があるパーツは樹脂パッドと折れた金属ステー、それにカウリング内部でスライダーステーの上部を固定するボルト(M10x85、ピッチ1.25mm、右エンジンブラケット共締め)であることがわかった。スライダーを構成する他の部品には破損や変形がなく再利用できる。スライダー樹脂パッドについては、準備のいい筆者はこんなこともあろうかとスペアを買って倉庫にストックしてある。つまり折れた金属ステーとボルトだけを新たに調達すればスライダーが復旧できる。そこで1400GTRオーナーズクラブのメンバーで鉄工所を経営している栃木県のzellxzell氏に金属ステーの復旧について相談してみたところ、氏は快く相談に乗ってくれ、数日で新しく金属ステーを製作して送ってくれた。その金属ステーと予備の樹脂パッド、それに通販で取り寄せたボルトが揃いスライダーを無事復旧することができた。 調達したパーツや部材の代金、それにいくばくかの作業工賃を足した結果〆て61,333円となり、事故時に運転手に告げた見積りの半額以下で破損部分を復旧することができた。これを書いている時点でこの金額を請求するレターが運転手の自宅住所に届いているはずである。果たして口約束はどのような結末になるのか、しばらくは成り行きを楽しんでみようと思う。 <2020年1月15日追記> |
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