KAWASAKI 1400GTR 2008 | ||
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低ノイズUSBチャージャー | 電磁波シールド生地で包装 | 古いUSBチャージャー再登場 |
実施日: 2023/12/31 今月初めフロントタイヤ空気圧がインパネに表示されない問題で、外付けタイヤ空気圧センサーを取り付けたが、その少し前から"NO TRANSPONDER"エラーが頻繁にインパネに表示される状況となった。エラーが表示されると他の情報が表示されなくなるので不便であるばかりか不安になる。このエラーはFOBキーとシート下にあるKIPASS ECUが通信できない場合に表示される。このときFOBキー内のボタン電池が消耗した際にインパネに出る"TRANSPONDER LOW BATTERY"エラーは表示されていなかったが、念のためFOBキー内蔵のボタン電池をチェックしたところ十分な電圧があった。 問題の原因を調べて行く中で、FOBキーをパンツ(ズボン)の前側のベルトループにぶら下げると"NO TRANSPONDER"エラーが出るが、背中側のベルトループにぶら下げて、FOBキーとKIPASS ECUの距離を近づけるとエラーは出ない。つまりFOBキーとKIPASS ECUの距離が遠くなると問題が発生することがわかった。タイヤ空気圧センサーもKIPASS ECUと通信するが、空気圧が表示されないフロントタイヤ空気圧センサーはKIPASS ECUから比較的遠い位置にある。FOBキーとタイヤ空気圧センサーは同じ315MHzの周波数を使っている。これらのことから、KIPASS ECUから遠い位置にあるデバイスから発せられる315MHzの電波が、他の電磁波により障害されてKIPASS ECUに届いていない可能性が考えられた。 そこでイグニッションOFF時にFOBキーを車両から2m程度離してイグニッションをONにしてみたところ、全く問題はなかった。これはイグニッションOFF時のFOBキーからの電波はKIPASS ECUに届いているということである。逆にいうとイグニッションON後に通電される車載の後付けデバイスが通信障害を起こす電磁波を出している可能性が高い。そこでひとつずつ後付けデバイスの通電を止めて試走してみることにした。フロント空気圧が表示されなくなったときに疑って問題のなかったLEDヘッドライト、LEDドライビングランプ、ポータブル・ディスプレイ・オーディオ以外のドライブレコーダー、レーダー探知機、吸気温度計、LED対応ウインカーリレー、グリップヒーター用リレーへの通電を止めてみても状況は変わらなかった。 そこでまさかとは思ったが、今年11月にトップケース内に取り付けた自作USBチャージャーへの通電を止めてみたところ、"NO TRANSPONDER"エラーが出ないばかりか、フロント空気圧も久々にインパネに表示された。こいつが犯人である。この自作USBチャージャーは電気的放射ノイズの少ないモジュールを使ったもので、取り付け時のテストでは問題がなかったはずである。同じモジュールを使った自作USBチャージャーをもうひとつガソリンタンク上の小物入れ内に取り付けているが、こちらのものは通電していても問題が出ない。ガソリンタンク上の小物入れは、下に金属製のガソリンタンクがあるので電磁波が減衰するのだろうか。 対策としてトップケース内に取り付けた自作USBチャージャーを電磁波シールド生地で包んでみたが、全く効果がなかった。この自作USBチャージャーをトップケース内で使うのはむつかしそうである。そこで試しに別のUSBチャージャーに取り替えてみることにした。筆者が1400GTRの前に乗っていたHONDA CBR1100スーパーブラックバードにムービーカメラを搭載したとき、その電源として使った古いスイッチング電源(2005年製)を捨てずに残しておいた。それをUSBチャージャーとして使ってみることにした。この製品は特に低ノイズを謳ったものではないが、スイッチングレギュレータ―の形式が違えば、電磁波が出ていても315MHzを使った通信に影響が出ない可能性はあるかもしれない。 問題のある自作USBチャージャーをこの古いUSBチャージャーに取り替え、トップケース内でスマホを充電しながら30分ほど試走してみたが、"NO TRANSPONDER"エラーは出ずフロント空気圧もインパネに表示され続けた。現状は外付けタイヤ空気圧センサーを取り付けたままだが、当面この状態で使ってみて問題が出ないようであれば、外付けタイヤ空気圧センサーは取り外してもよいだろう。電波は目に見えないだけに試行錯誤が必要だったが、結果的に純正デバイス(FOBキー・KIPASS ECU・フロントタイヤ空気圧センサー)が故障していないことがわかったのは収穫だった。結局自分で改造した部分が不具合を招いたマッチポンプではあるものの、問題が解決するとなぜか自車にさらに愛着が湧くのは不思議である。 |
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タイヤ空気圧センサー取り外し | タイヤ空気圧センサー電池電圧 | ボタン電池交換後の電圧 |
バイク用TPMS | 自由雲台取り付け | TPMSモニター取り付け状態 |
TPMSモニター取り付け状態 | TPMSモニター取り付け状態 | ライダー視点 |
実施日: 2023/12/11 これまでもフロントタイヤの空気圧がインパネに表示されないことは度々あったが、なぜか今月に入りほぼ表示されない状況となった。LEDヘッドライト・LEDドライビングランプを消しても、ポータブル・ディスプレイ・オーディオの電源を切っても状況は変わらなかった。横須賀港に米空母が入ってきたときにこのような状態になることは過去に何度かあったものの、ロナルド・レーガン(CVN76)はこの時期、横須賀港には寄港していなかった。もしかすると隣の区で発生した渋谷事変で降ろされた帳(とばり)が筆者の住む世田谷区になんらかの影響を与えているのかもしれない。 フロントタイヤ空気圧センサーのボタン電池は昨年11月に交換したので電力は十分残っているはずだが、念のためタイヤ空気圧センサーを取り外して電圧を測ってみることにした。フロントホイールを取り外し、クランプ(IRWIN クイックチェンジXP)を利用してタイヤ空気圧センサーを取り外した。タイヤ空気圧センサーを分解してボタン電池の電圧を測ってみたところ3.037Vを示した。電圧的には問題はないが、タイヤ空気圧センサーを取り外したついでにボタン電池を新しいもの(3.254V)に交換してフロントホイール内に戻してみた。しかし残念ながら状況は改善されなかった。 リヤタイヤの空気圧は安定して表示されるので、問題の原因はフロントタイヤ空気圧センサー自体の不具合のような感じもする。新しいタイヤ空気圧センサーを入手することが頭をよぎったが、今では電池交換ができないタイプしか調達できない。しかもそれが\17,714もする上にディーラーでタイヤの着脱やタイヤ空気圧センサーの交換・登録作業を行ってもらう必要もある。実は筆者は2020年3月頃、研究用としてバイク用TMPSをEbay.comで調達したことがあり、そのTPMSは研究が済んだ後、ながらく倉庫に眠っている。そこでフロントタイヤ空気圧センサーの補助デバイスとして、その外付けのTPMSを車両に取り付けてみることにした。 このバイク用TPMSは、以前4輪車に装着したことがある中国Shenzhen Careud Technology社製のもので、1個のモニターと2個の外付けタイヤ空気圧センサーで構成される。前後タイヤの空気圧を表示するモニターには振動センサーが内蔵されていて、電源ONの状態でしばらく振動を感知しなければ、自動的にモニターがバックライトだけではなく液晶表示も消灯し電力の消費を抑える。消灯中に振動を感知すると自動的にモニターは点灯する。手動で電源をOFFにすることもできる。エアバルブに取り付ける外付けタイヤ空気圧センサーにも振動センサーが内蔵されていて、しばらく振動を感知しなければスタンバイ状態(消費電流約1µA)になり電力の消費を抑える。 倉庫の奥から出してきたこのバイク用TPMSは、外付けタイヤ空気圧センサー内のボタン電池(CR1225)が消耗し切っていた。そこでPanasonic製ボタン電池BR1225を調達し交換した上でホイールのエアバルブに取り付けた。英文の取り扱い説明書には、このタイヤ空気圧センサーのボタン電池は一日あたり3~4時間の乗車で8か月程度使えると記載されている。ボタン電池が消耗してくると、モニターにLow Battery Alertが表示されるとあるので、ボタン電池の交換時期はわかりやすいかもしれない。ちなみに以前使っていた同社の4輪車用タイヤ空気圧センサーはこのバイク用のものよりひとまわり大きく、ボタン電池もCR1632が使われていて、同様の使用頻度で2年程度使えるとあった。 モニターは手動で電源をOFFにしていたので内蔵充電池はあまり消耗していなかったが、使用に先立ち、モニター左側面にある充電用ジャック(USB mini-B)にUSB充電ケーブルを差し込んでフル充電しておいた。モニターの取り付けは付属のブラケットを使わず、数日前に取り外したグリップヒーターのヒータースイッチを取り付けていた場所にカメラ用の自由雲台を取り付け、それにモニターを取り付けることにした。取り付け位置は少々低いが、自由雲台でモニターの向きを調整すれば液晶の表示面をライダーの目線に向けることができる。 モニターに表示される空気圧の単位はBAR(バール)かPSI(ポンド毎平方インチ)が選択できる。日本でのタイヤ空気圧の単位はKPA(キロパスカル)が標準だが、KPA=BAR*100の関係なのでBARを選ぶ。つまり1400GTRのタイヤ標準空気圧である290KPAは2.9BARと表示されることになる。タイヤ温度も表示され、単位は℃(摂氏)か℉(華氏)が選択できる。実際に表示される値は目安にはなるにしても、外付けのセンサーなので実際のタイヤ温度とは異なるだろう。タイヤ空気圧センサーをエアバルブに取り付けると比較的短時間でタイヤ空気圧がモニターに表示され、反対にエアバルブから取り外すと、すぐにアラームが鳴りモニター画面が赤くなる。この応答性は問題のないレベルといえる。 2時間ほどの試運転に出かけてみたところ、LEDヘッドライト・ドライビングランプを点灯しポータブル・ディスプレイ・オーディオを使っていても、このTPMSは一度も途切れることなく前後タイヤの空気圧を表示し続けた。表示されるタイヤ空気圧は、冷間時には純正のタイヤ空気圧センサーと同じ数値を示すが、しばらく走行してタイヤ温度が上昇すると純正より高い値を示す。これは純正のタイヤ空気圧センサーがタイヤ内部の温度上昇によるタイヤ空気圧の上昇に補正をかけているためである。つまりこのTPMSは真のタイヤ空気圧を示しているといえる。 モニターは反転液晶表示なので、明るい場所での視認性は全く問題なかった。暗い場所での視認性も3段階に調節できるバックライトを備えているのでおそらく問題はないだろう。モニターの充電池が一回の充電でどれほど持続するのか現時点では不明だが、TPMSとしては必要十分な性能を備えていると思われる。何よりインパネのフロント空気圧が表示されないことにイラッとすることがなくなったのが導入した最大の利点かもしれない。 |
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傷んだインサートナット | インサートナット取り外し | インサートナット外れました |
新しいインサートナット | 新しいインサートナット | 緩み止めナット |
実施日: 2023/12/11 2022年11月に取り付けたLEDドライビングランプは、取り付けステーをフロントフェンダー固定ボルトに共締めしている。このLEDドライビングランプはブラケット・ステーを含めてかなりの重量があり、走行振動により固定ボルトが緩んでLEDドライビングランプがフェンダーに接触し塗装にダメージを与えることが複数回あった。そこでその対策としてボルトの締め付け時にネジロック剤(ロックタイト243-中強度)を使ってみた。 ネジロック剤を塗布して締め付けたボルトは緩むことはなかったが、このボルトを着脱する際に問題が起きた。具体的にはボルトを取り外した後、再度締め付けようとすると締め付けの途中でネジが固着し、締め付けられなくなるのである。ダイスとタップで雄ネジ側・雌ネジ側ともネジ山をさらった後にネジを締め付ければ固着しないものの、緩み止めのためネジロック剤を塗布するとやはり締め付けの途中で固着してしまう。 フロントフェンダー固定ボルト(M6、雄ネジ)が篏合する雌ネジ側は、2017年4月にインサートナットを利用して強化してあるが、ネジロック剤により固着したボルトを無理に締め付けたことでネジ山がかなり傷んでいた。そこでインサートナットを新しいものに交換することにした。フェンダーブラケットをフロントフォークから取り外し、インサートナットをハンマーで叩いて取り外す。その後、新しいインサートナットを打ち込む。取り外した古いインサートナットのネジ山は、ボルトが真っすぐに入らないほどに傷んでいた。 新しいインサートナットを取り付けたフェンダーブラケットをフロントフォークに取り付ける。フロントフェンダー固定ボルトはこれまでより5mm長い首下40mmのものを使い、ネジロック剤を使わないでフェンダーとドライビングランプステーを固定する。この5mm長いボルトはインサートナットの内側から突き出るので、そこにM6ナットを締め付けることでネジロック剤の代わりの緩み止めとした。 頻繁に着脱するネジにネジロック剤を使うのはやめた方が良い事を学んだ筆者61歳の年の瀬である。 |
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ヒータースイッチ | グリップの抵抗値 | グリップ取り外し |
取り外したグリップ | 電源供給用リレー | 焼損したリレー接点 |
デイトナグリップヒーター | 左グリップのスイッチとLED | 耐熱温度80℃接着剤 |
耐熱温度120℃接着剤 | 起動時: 赤色点滅(32W) | レベル1: 白色点灯(12W) |
レベル2: 青色点灯(19W) | レベル3: 黄色点灯(28W) | レベル4: 橙色点灯(32W) |
実施日: 2023/12/7 今年も師走を迎えたある日、グリップヒーターのヒータースイッチを押してもインジケータランプが点かないことに気付いた。当然グリップヒーターは暖まらない。納車17年目を迎え、いつもどこかが故障している筆者の1400GTRではあるが、このグリップヒーターは2009年に取り付けたもので、既に14年も経っていることを考えればそろそろ寿命なのかもしれない。そういえばここ5年程は、グリップヒーターを100%出力にすることができない状態が続いていた。 そこでグリップヒーターのどこが故障しているのかを調べてみることにした。まずは電源の確認である。グリップヒーターの電源はバッテリーからリレーを介しイグニッションONに連動させて供給している。電源線の途中で電源電圧を測ってみたところ4V程度を示した。通常は12V程度であるはずなので何かがおかしい。そこで電源線からグリップヒーター回路を切り離して電源電圧を測ってみたところ12V程度を示した。この状況から、筆者は故障の原因が電源側でなくグリップヒーター回路側だと判断した。これが間違いだった。 故障がグリップヒーター回路側だとの判断に基づき、まずは左右グリップの抵抗値を調べたところ、左右とも2.3Ω程度を示した。つまりグリップは断線していない。左右のグリップが断線していないとなれば故障しているのはヒータースイッチしかない。そこでヒータースイッチを分解して内部基板を見てみたが、水分の浸入による腐食などは確認できなかった。ICが載っている基板が壊れているとすればお手上げである。すでにこのグリップヒーターは廃版なので、グリップヒーター一式を新しいものに交換するしかない。 ちょうどAmazonで「デイトナHOT GRIP ヘビーデューティー ビルトイン4Sn(10154)」が定価(\14,300)の6掛け以下(\8,429)で出ていたので迷わずポチった。最近の製品らしく、ヒータースイッチ(コントローラー)とインジケータは左グリップに内蔵されていて、これまでのような別体式のヒータースイッチは付属しない。分厚い冬用グルーブをはめた手での操作性は別体式ヒータースイッチの方が優れているだろうが、既にゴミ屋敷と化しているハンドルまわりのデバイスをひとつでも減らせるのは筆者的には助かる。 新しいグリップヒーターを取り付けるには、現状のグリップを取り外す必要がある。左右のグリップはハンドルバー(左/Φ22.2mm)とインナーグリップ(右/Φ23.4mm)に接着剤で貼り付いている。ヒーターが内蔵されたグリップは内側が樹脂なので、全体がゴムでできた普通のグリップを取り外すときのようにコンプレッサ―の圧縮空気を吹き込んだり、グリップとハンドルバーの隙間にパーツクリーナーを噴射したりして取り外す方法は採れない。取り外すにはグリップを破壊するしかない。 グリップの表面にカッターナイフで縦に深い切れ目を入れ、端からマイナスドライバーをハンドルバーとグリップの間に差し込み、プラハンで叩いてグリップ内側の樹脂を割ってグリップを取り外す。右側のインナーグリップは樹脂製なので、それを壊さないよう細心の注意を払って作業した。グリップを取り外したらハンドルバーとインナーグリップに付着している接着剤をカッターナイフで削ぎ落し、パーツクリーナーで洗浄・脱脂する。 新しいグリップを取り付けるための接着剤は、家にあった「ボンド ウルトラ多用途SUプレミアムソフト」を使えばよいかと思っていたが、念のため調べてみると耐熱温度が80℃だった。そこで近所のホームセンターで耐熱温度が120℃の「セメダイン スーパーXクリア 超多用途」を調達して使うことにした。接着剤をハンドルバー(左)とインナーグリップ(右)に薄く塗り、新しいグリップを差し込む。筆者は左右グリップから出ているケーブルがハンドルバーの真下を向くように取り付けた。そうすれば左グリップはLEDインジケータがライダーの目線に入りやすいし、右グリップはスロットルを最大に開いてもケーブルが周辺のパーツに干渉しない。 グリップのケーブルをまとめ、電源供給用リレーから来ている電源線を接続する。次にイグニッションをONにして左グリップのヒータースイッチを長押ししてグリップヒーターを起動する。ところがLEDインジケータが点灯せず、グリップヒーターは起動しなかった。部屋で12V電源を使ったテストでは問題なく起動していたので、もしかするとグリップのインストール中に断線させてしまったのだろうか。そこで電源供給用リレーに代えて12V電源(ACアダプター)を使って動作確認をしてみると、グリップヒーターは問題なく起動しグリップは暖まった。 ここに至り筆者はすべてを悟った。つまり古いグリップヒーターが機能しなくなったのは、ヒータースイッチの故障ではなく電源供給用リレーの故障だったのである。電源供給用リレーを新しいものに交換したところ、新しいグリップヒーターは問題なく起動した。当初テスターで電圧を測った時、12Vであるべきところが4Vだったというのは、電源供給用リレーの故障でグリップヒーターが必要とする電流(最大約2.3A)が供給できなくなっていたのだろう。グリップヒーター回路を切り離して電圧を測った時12Vを示したのは、テスターが必要とする電流が数mAであるからに違いない。 後学のため取り外した電源供給用リレーを分解して接点を見てみたところ、顕著な焼損が見られた。これが原因で大きな電流がこの接点を通過できなかったのだろう。このリレーは確か筆者が17歳の頃、愛車SUZUKI GS400EのヘッドライトをCIBIEのハロゲンに交換したときキットに付属していたものなので、少なくとも44年以上前の製品ということになる。要するに結論としては、古いグリップヒーターを交換する必要はなく、この電源供給用リレーのみを交換すればよかったのである。破壊して取り外した古いグリップには悪いことをしてしまった。 |
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既存USBチャージャー | コンバーターモジュール | 新規USBチャージャー |
実施日: 2023/11/19 今年9月にポータブル・ディスプレイ・オーディオ(以下PDA)を取り付けるまでは、スマホをハンドルに取り付けて充電しながらナビゲーションを行っていたので、トップケース内のUSBチャージャーを全く使わなかった。PDA取り付け後、初めてのロングツーリングとなった今月初めの九州ツーリングで久々にUSBチャージャーを使う機会があった。ところがスマホをUSBチャージャーにつないで走り出したところ、フロントタイヤ空気圧センサー表示が全く出なくなり、スマホをUSBチャージャーから外すまで一度も表示が出なかった。 この現象はUSBチャージャー(スイッチングレギュレータ)が出す電気的放射ノイズでフロントタイヤ空気圧センサーとKIPASS ECU間の電波通信が障害されていることに起因している。今後はPDAでナビゲーションを行うので、トップケース内のUSBチャージャーを使う機会も増えるだろう。そこでUSBチャージャーを電気的放射ノイズの小さなものに変更しておくことにした。昨年11月に製作したのと同じ、リニアテクノロジー社製LT8640の載ったコンバーターモジュールでUSBチャージャーを自作した。これを使ってみたところ、スマホを充電しながらでもフロントタイヤ空気圧センサー表示が全く出ない状態は回避できた。 |
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CT-M11マイクコード | ||
実施日: 2023/11/10 今月はじめの九州ツーリングでアマチュア無線機(FTM-10S)に問題があることがわかった。症状は送信時に電波は出るものの、変調が乗らないので音声が相手に伝わらない。そこで帰宅後マイクコード(CT-M11)のDIN 5 Pinコネクター側を分解して調べてみたところ、SW1(Pin4)のラインと390kΩの抵抗をつなぐはんだ付け部分が外れていた。この部分をはんだ付けしたところ、不具合は解消された。てっきりマイク(Pin1/Pin6)ラインの断線が不具合の原因だろうと思っていたが、実際にはPTTラインの断線だった。 |
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エンジンオイル | フィルター・ワッシャ―・処理箱 | エンジンオイル排出中 |
実施日: 2023/10/11 一年に一度のエンジンオイル交換を行った。交換インターバルは約12か月/2,703kmである。今回はエンジンオイルを、ここ数年使ってきたAZ MEB-014(10W-50)からAZ MEB-012(10W-40)に替えてみた。AZ社は樹脂容器をやめたようで、今回取り寄せたエンジンオイル(4ℓ)は金属缶に入っていた。筆者の住む地域では、燃えないゴミは2週間に一度しか出せないので、金属缶の処分に時間がかかるのが難点である。この金属缶は届いたとき既にかなり変形していたが、筆者的には中味が漏れてさえいなければ問題ない。 2,700km程度の走行距離なので排出したエンジンオイルはあまり汚れていなかった。ただし走っていなくともエンジンオイルは経年劣化するそうなので、一年に一度ぐらいは交換する必要があるのだろう。筆者はエンジンオイル交換時にオイルフィルターも交換することにしている。オイルフィルターを交換するとエンジンオイルは4ℓ強が必要になるので、足りない分はHONDA ULTRA G2を足しておいた。前回のエンジンオイル交換時にドレンワッシャは再利用したので今回は新品に交換しておいた。 エンジンオイル交換後に軽く近所を試乗してみたところ、やはりエンジンオイルの粘度が低いせいなのか、スロットル操作に対するツキが若干軽いような気がした。 |
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中華製PDA | マウント金具 | DC-DC変換電源ケーブル |
付属ケーブル | ユーザーマニュアル | 内部はスカスカ |
音声ケーブル取り出し | PDA背面 | 電源・音声ケーブル |
改造したボールクランプ | ボールクランプ取り付け | RAMマウントで固定 |
RAMマウントで固定 | ドライブレコーダ本体移設 | ドライブレコーダ本体移設 |
ホーム画面1 | ホーム画面2 | ライダー視点 |
自作15Φパイプクランプ | 自作PDA背面プレート | 自作PDA背面プレート取り付け |
PDA取り付け | PDA取り付け | ライダー視点 |
実施日: 2023/09/10 筆者は三菱エクリプスクロス(四輪)で2018年6月からディスプレイ・オーディオ(以下DA)を使い始めた。宗教上Apple社の製品を使えない筆者のスマホはAndroidなので、DAを使っているときにはスマホ上のAndroid Autoが動いている。Android AutoはAndroid Auto対応アプリ(カーナビ、ミュージックプレーヤー、電話、SMS、カレンダー、ニュース、天気予報など)をひとつのユーザーインターフェースにまとめ、運転時用に簡略化・最適化してユーザーに提供するプラットフォームである。何十万円もするディーラーオプションのガラパゴスカーナビに比べて安価なDAだが、車載インフォテインメントシステムとして過不足のない機能を備えている。何よりナビゲーションに用いるマップが常に最新に保てることがよい。 筆者のエクリプスクロスのDAはUSBケーブルでスマホとDAをつなぐ有線式だが、筆者はこれにAAWirelessというデバイスを取り付け、ワイヤレスAndroid Autoとして使っている。ワイヤレスAndroid AutoはUSBケーブルをスマホにつなぐ必要がないので、スマホを服のポケットやカバンに入れたままDAを使うことができる。 バイクではRAMマウント社製のスマホホルダー(RAM-HOL-UN10BU)でスマホをハンドルに取り付け、Google Mapsアプリを立ち上げてナビゲーションを行い、Amazon Musicアプリを立ち上げて音楽を聴いている。以前はスマホ単体でAndroid Autoが使えていたが、Googleの仕様変更で今は使えなくなったので必要なアプリを個別に立ち上げる必要がある。これは何気に面倒なので、筆者はいずれ価格と性能がこなれてきたらバイク用の防水ポータブル・ディスプレイ・オーディオ(以下PDA)を装備してみようと考えていた。PDAがワイヤレスAndroid Autoをサポートしていれば、スマホを服のポケットやトップケースの中に入れておけるので、ツーリング中に食事や休憩のためバイクを離れるときにスマホを盗まれる心配がない。 しかし考えてもみれば、筆者の歳ではこの先何10年も大型バイクに乗れるわけでもない。バイクを降りるときに未練を残すことが無いよう、この際PDAをひとつ買ってみることにした。筆者は最近、視力の衰えからバイクに乗りながらスマホの小さい地図を見るのが容易ではなくなってきている。そこでディスプレイのサイズが比較的大きい7インチの中華製PDAをAliExpressで探して発注することにした。選んだ製品のブランドは "isfriday" という未知のもので、ワイヤレスCar Playとワイヤレス Android Autoをサポ―トしているという。サイト上に記載されている仕様で面白いと思ったのは、FMトランスミッターを内蔵している点で、音声をFMで飛ばしてFTM-10Sで受信すれば音声有線ケーブルを配線しなくて済む。 8月23日に送料込み12,313円で発注したPDAは6日後の8月29日にデリバリーされた。内容物はPDA本体の他にユーザーマニュアル(英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語)、2種類のマウント金具(2輪用と4輪用)、DC-DC変換電源ケーブル、USB電源ケーブル(Type-A⇔Mini-B)、さらにサイト上に記載のなかったシガーソケット電源ケーブル(Mini-B)と3.5mmステレオケーブルが入っていた。それぞれを検品してみると、PDA本体から出ている電源ケーブルを付属のDC-DC変換電源ケーブルに接続する部分の防水コネクターのネジがなかった。ケーブルを接続してネジを締めないと防水にはならないが、筆者は電気的放射ノイズをまき散らす可能性の高い付属のDC-DC変換電源ケーブルを使うつもりはないので問題はない。 ワイヤレスAndroid Autoを使うには、スマホとPDA間の無線接続を確立するための初期設定を行う必要がある。ワイヤレスAndroid AutoはBluetoothとWi-Fiの両方を使うので、まずスマホ上でそれらをONにする。次にAndroid Autoの(デベロッパー向け)設定で【ワイヤレスAndroid Auto】にチェックが入っていることを確認する。これができたらPDAの電源を入れ、次にスマホのBluetooth設定画面を開くと、PDAがBluetoothによる接続を求めているのでこれを許可する。PDAとスマホがBluetoothで接続されると、PDAがWi-Fiの電波(周波数帯は伏せるが、運良く5.8GHz帯ではなかった)を出し、BluetoothによりPDAからスマホに送られたクレデンシャルを使ってPDAとスマホがWi-Fiダイレクトで接続される。 Wi-Fiダイレクトの無線接続が確立されるとAndroid Autoが使用可能になり、PDAのホーム画面でAndroid Autoを選択すれば、エクリプスクロスで見慣れたAndroid Auto画面が表示される。次回以降はスマホのBluetoothとWi-FiがONになっていれば、PDAの電源を入れるだけで自動的にスマホとPDAが無線接続される。スマホ上のAndroid Autoの設定で【Android Autoを自動的に起動】を"常時"にしておくと、PDAの電源を入れてしばらくすると自動的にAndroid Auto画面が表示されるようになった。PDAの電源を入れてからAndroid Auto画面が表示されるまで15~30秒程度はかかるので、気の短いライダーには向かない。ちなみにBluetooth接続は電話のハンズフリー通話に使われ、Wi-Fiダイレクトはそれ以外の画面表示や音声データのやり取りなどに使われる。 余談だが、ワイヤレスAndroid AutoはAndroid 11以降だとPDAとのWi-Fi接続に5GHz帯が使われ2.4GHz帯は使われない。5GHz帯のうち5.2GHz帯(W52)と5.3GHz帯(W53)は我が国では電波法的に屋外での使用は認められていない。W52については、車両内、船舶内、航空機内での使用は許されるが、バイクでの使用は屋外とみなされる。屋外での使用が認められている5.6GHz帯(W56)は、DFSを実装することが必須であり、実装すればPDAが電波干渉を検出するとWi-Fiの電波を停波しなくてはならない。つまりAndroid11以降のスマホでバイクに搭載したPDAをワイヤレスAndroid Autoで使うことは日本国内では簡単にはいかないということになる。このあたりの事情がデイトナや三金商事のバイク用PDAが発売延期や発売中止になった理由ではないかと筆者は推測している。 2.4GHz帯は屋外での使用が認められているのでバイクでの使用も電波法的には問題ない。2.4GHz帯を使ってPDAと接続するには、PDA側の設定で2.4GHz帯の電波を出せることが前提となる。ワイヤレスAndroid AutoではAndroidのバージョンが8以上(8未満はAndroid Autoがサポートされない)10以下であることが必要である。ワイヤレスApple CarplayではiOSのバージョンに依らず2.4GHz帯での接続が可能である。 閑話休題、期待していたPDA内蔵FMトランスミッターは発射される電波がかなり弱いようで、音声を雑音なくFMラジオで受信するためにはPDAとFMラジオのアンテナを数10cm以内程度にまで近づける必要があった。しかもAmazon Musicの楽曲を含めFMで飛ばした音声はモノラルになってしまうことがわかった。これでは全く実用的でないのでFMトランスミッターを利用することはあきらめ、これまでどおり有線で音声を取り出すことにした。このPDAには筐体左側面に音声出力を取り出せる3.5mmステレオジャックがあるものの、ジャックにプラグを差し込むには防水カバーをめくる必要がある。防水カバーをめくってしまえばIPX6を謳う防水性能は失われる。そこで筐体背面にドリルで穴を開けて3.5mmジャックのついたケーブルをとおし、筐体内部で音声出力端子にはんだ付けして、筐体左側面の防水カバーをめくらずに有線で音声主力を取り出せる改造を行った。 筆者は有線で音声を取り出すので問題はないが、前述のデイトナ製バイク用PDAと違い、このPDAは複数のBluetooth機器に同時に接続できないようなので、ワイヤレスAndroid Auto(またはワイヤレスApple Carplay)でBluetoothが使われてしまうとBluetoothヘッドセットは使えないので注意が必要である。未検証だが、USBケーブルを使ってワイヤレスでないAndroid AutoやApple CarplayでこのPDAを使っても、おそらくBluetoothヘッドセットは使えないのではないかと思われる。 ちなみにこのPDA本体の背面には小さなスピーカーが内蔵されていて、FMトランスミッターがOFFのときにはこのスピーカーから音を出すことができる。このスピーカーは内部がスカスカの筐体が密閉型エンクロージャーとして機能するのか、無駄にいい音が出る。同梱されている二輪車用マウントはパイプクランプ形状で、ハンドルバーに取り付けることを想定している。このマウントは、筆者の感覚では機能美からはかなりかけ離れた合理性のないカタチをしていて、とても自車に取り付ける気は起きなかった。そこでこのマウントをそのまま使うことはやめて、PDA背面のボールを掴むパーツ(ボールクランプ)だけを利用することにした。二輪車用マウントからボールクランプを取り外して小加工を施し、手持ちのRAMマウント製ボールアダプター(RAM-B-260U)を取り付けた。これでPDA背面のボールをクランプし、車体側に取り付けたRAMマウント製のボールベース(RAM-B-408-75-1U)とショートアアーム(RAM-B-201U-A)に取り付ける。 ハンドル左側に取り付けているFTM-10Sのコントローラーは、ケーブル取り回しの関係でこれ以上左側に移動できないので、PDAはハンドル中央よりやや右側にオフセットして固定せざるを得ない。ところがそうするとPDAがハンドル右側のドライブレコーダー本体と干渉する。そこでドライブレコーダー本体をRAMマウント製のブレーキクラッチリザーバーボールベース(RAM-B-309-1U)を利用して移設しPDAと干渉しないようにした。 PDAに供給する電源は、ノイズ対策のため付属のDC-DC変換電源ケーブルを使わず、以前筆者が自作した低ノイズUSBチャージャーから供給することにした。このUSBチャージャーの出力はUSB Type-Aなので、PDAに付属していたUSB電源ケーブル(Type-A⇔Mini-B)のMini-B側を切り落とし、そこに手持ちの防水コネクター(メス)をつなぐ。PDA背面から出ている電源ケーブルも適当な長さでカットし、防水コネクター(オス)をつなぐ。これらの防水コネクターを接続しネジを締めて電源供給を行う。PDA背面から出した3.5mmステレオジャックには3.5mmステレオプラグのついた音声ケーブルを接続し、ビニールテープを巻いて防水処理を施しておいた。音声ケーブルの反対側はFTM-10Sの音声入力端子に接続する。これまでスマホ用に取り付けていたUSBと音声ケーブルは、PDAが故障したときの保険として撤去しないでおいた。 スマホ上のGoogle Mapsで経由地を含むルートを作成してこのPDAに引き継ぐには、先にスマホでナビゲーションを開始してからPDAの電源を入れる必要がある。スマホで経由地を含むルートを作成した後、スマホでナビゲーション開始ボタンを押さずにPDAの電源を入れてスマホと無線接続してしまうと、不思議なことに設定した経由地がすべて消えて最終目的地への直行ルートがPDA上に出てきてしまう。既にスマホとPDAが接続されている場合は、PDA上でGoogle Maps以外のナビゲーションアプリ(Y!カーナビなど)を立ち上げてGoogle Mapsを一旦終了し、次にスマホ側のGoogle Mapsで経由地を含むルートを作成してナビゲーションを開始し、その後PDA上でGoogle Mapsを立ち上げればよい。 9月になっても真夏日が続く、ある晴れた日曜日に都合3時間ほどの試乗に出かけてみた。試乗時はバイクに取り付けている吸気温度計で35℃~38℃の状況だった。試乗時をとおして熱でPDAがシャットダウンしてしまうことはなかったものの、再生中の音楽が数秒程度、繰り返し途切れることが複数回あった。ただしそのとき画面の乱れはなくナビゲーションも中断されなかった。不思議なのは、気温はほぼ変化していないのに、この問題は時間(数分~10分)が経てば起きなくなることである。羽田空港周辺でこの現象が多発したことを鑑みれば、もしかするとこの現象の原因は熱ではなく、周囲の電波環境によるものかもしれない。 予期はしてはいたものの、フロントタイヤ空気圧センサーの空気圧がインパネに表示されない頻度が、このPDAを取り付ける前よりかなり高くなった。感覚的には走行時間の3割程度はフロント空気圧が表示されない。以前の経験から、これはスマホとPDAがBluetoothで接続されていることに起因すると思われる。またPDAの電源ON時にスマホとの自動無線接続に失敗することがあった。自動的にAndroid Auto画面が出ない場合は、PDAのホーム画面でAndroid Autoを選択すると再接続を試みるようで、そうすれば無線接続はうまくいった。ディスプレイの最大輝度はこれまで使ってきたスマホのそれに比べると少し暗く、晴れた日中では画面の表示が見えにくい。タッチパネルの反応がかなり悪い。ただし雨粒で画面が勝手に切り替わることは少ないかもしれない。 上のようにこのPDAには気になる点がいくつかあるものの、筆者にとってそれらは致命的なものではない。むしろこれまでのスマホに比べて画面が広く地図が見やすいし、プレイ中の楽曲の曲名もわかるし、有線でつないだ音声出力もクリアで問題はない。そこでそこでしばらくこのPDAで遊んでみることにした。 一万円そこそこで1年も遊べれば、十分に元は取れるに違いない。 <2023/9/23追記> このPDAの背面にはボールが付いているが、そのボールが付いているプレート部分がPDA本体から取り外せる。そこで4本のM3ネジでPDA背面に取り付けられているそのプレートを取り外し、プレート部分のサイズを測ってそれとほぼ同じ形状のプレートを5mm厚のアルミ板で製作した。そのアルミ板に以前製作したハンドルブレース用パイプクランプ(15Φパイプ用)を取り付け、このプレートをPDA背面に取り付けてPDAをハンドルブレースに直接取り付けてみた。RAMマウントの2個のゴムボールを介した取り付け方法より振動を拾う点では不利になるものの、PDAの高さが上がって画面を見るときの視線移動量が不安のない程度に改善された。 インパネは全体の1/4程度が見えるので問題はないだろう。 <2023/9/25追記> <2023/10/04追記> <2023/11/16追記> この九州ツーリング中、高速道路をそれなりの速度で走行中に左手でこのPDAに触れてみたところ、かなりのバイブレーションを感じた。この九州ツーリング中にはPDAは故障しなかったが、いずれこの振動によりPDAに何らかの不具合が起きることが予想される。 |
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デイライトフラッシュ回路 | ヘッドライト交互ハイビーム回路 | NKK M-2013Wトグルスイッチ |
デイライト点灯インジケータ | 廃止したコントロールパネル | イベント用点滅 |
LED点滅コントローラー | ダイオードハーネス | イベント用点滅 Version 2 |
実施日: 2023/09/10 2012年10月、自作したLEDデイライトを左右のミラーステー下部に装備した。このLEDデイライトには市販のLED点滅コントローラーを組み込んであり、常時点灯を含む10種類の点灯バターンが選べる。これまでこのLEDデイライトを10年余り使ってきたが、結局使うのは2種類の点灯パターン(常時点灯とトリプルフラッシュ)だけだった。点灯パターンを切り替えるために、ハンドル右側にコントロールパネルを設置しているが、常時点灯からトリプルフラッシュに切り替えるにはボタンを5回押さねばならず、再度常時点灯に戻すには、さらにボタンを5回押さねばならない。必要な点灯パターンが2種類だけであるならば、この大きなコントロールパネルを廃止し、小さなトグルスイッチに置き換える方が合理的だろう。 LED点滅コントローラーによるトリプルフラッシュは点滅速度が遅く、ある種の車両のフロントグリル内に装備されているランプの点滅に似ていない。特に理由はないが、そこは似ていた方がいいに違いない。LED点滅コントローラーの点滅速度は調整できないので、AudioQからLED点滅部品セットを2種類(LF-026B・LF-027B)取り寄せ、それらを組み合わせて点滅速度の速いデイライトフラッシュ回路を自作することにした。1極双投のトグルスイッチ(NKK M-2013W)を使い、電流を直接LEDデイライトに送るか(常時点灯)、デイライトフラッシュ回路を通して送るか(点滅)、あるいはどちらにも送らないか(消灯)を切り替える。 廃止したコントロールパネルには、デイライトの点灯状態を示すLEDインジケータが付いていた。運転席からはデイライトの点灯状態が見えないので、誤ってトグルスイッチに触れてしまったとき、インジケータがないと公道上でデイライトを点滅させていることに気付かない恐れがある。そこで2009年9月から使い続けているパイロットランプボックスにデイライト用のインジケータを追加することにした。このパイロットランプボックスに既に取り付けてあるLEDブラケットは4個で、その発光色は4色(赤・緑・黄・青)である。このLEDブラケットのシリーズにこの4色以外の色はないので、同じLEDブラケットを使って5個目を追加するとすれば、どれかと同じ色しか選べない。しかしできれば同じ色のLEDは使いたくない。そこで捨てずにとってあった、2022年9月に故障で交換したLEDブラケットを分解して内部のLEDを取り出し、代わりに3mm径の白色LEDを中に入れて使うことにした。高輝度白色LEDを使ったので定格で光らせると明るすぎて他のLEDブラケットとつり合いが取れず、抵抗器で電流値を2mA程度にまで下げる必要があった。 公道でLEDデイライトを点滅させることは違法なので、公道外のイベントで点滅させるしかない。しかしイベントでしか点滅できないのであれば、もう少し派手さがあってもよいかもしれない。例えば、LEDデイライトが点滅しているときに自動的にヘッドライトを左右交互にハイビームにすれば、イベント来場者に強くアピールできる可能性がある。筆者の1400GTRにはBi-LEDプロジェクターヘッドライトが組み込んでいるので、ロービーム使用時にハイビームにするにはHi/Loアクチュエータを作動させてやるだけでよい。そこでオシレーターで1C接点を持つリレーを駆動して、左右のHi/Loアクチュエータに交互に電流を送るようなデバイスを自作し、このアイデアを実装してみた。 これからは高速道路上の渋滞をすり抜けるとき、誤ってトグルスイッチに触れ、派手な灯火で前方の四輪車を驚かせてしまうことのないよう十分注意せねばなるまい。 <2023/09/18追記> |
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全消灯 | ロービーム点灯・ハイビーム消灯 | ロービーム消灯・ハイビーム点灯 |
改修後のロービーム時 | 改修後のハイビーム時 | |
実施日: 2023/08/15 1400GTRの左右2眼形式のヘッドライトは、左右ともにロービームおよびハイビームが点灯するタイプである。左右ともハイビームになるので、新規検査/継続検査時のヘッドライト検査は2灯式となる。左右とも検査の対象となり、どちらか片方でも保安基準を満たしていないと検査は不合格になってしまう。確実にヘッドライト検査に合格するためには、直前にテスター屋で左右とも光軸調整を行ってもらうのが賢明だろう。筆者が2年に一度の継続検査時に利用する早川自動車では、左右とも光軸を調整してもらうと作業料は3,500円である。 左右2眼形式のヘッドライトを装備する最近のオートバイは、片側はロービーム専用で常時点灯、もう片側はハイビーム専用(ロービーム使用時は消灯)となっている事が多い。このようなヘッドライトを装備するオートバイは、ハイビームになるのは片側だけなので、ヘッドライト検査は1灯式となり、検査されるのはハイビーム側だけになる。ただし検査中は、常時点灯のロービーム側に紙片を貼って光を遮り、ハイビーム側の検査に影響が出ないようにする必要がある。早川自動車で1灯式のオートバイの光軸を調整すると作業料は2,500円である。 インターネットを検索すると、1400GTRを1灯式としてヘッドライト検査を受けて合格している人がいる。それがどのような方法で行われているか詳しくは知らないが、筆者も1400GTRを1灯式としてヘッドライト検査を受ける方法を考えてみることにした。保安基準の細目を定める告示には、二輪車ですれ違い用前照灯(ロービーム)の側方に走行用前照灯(ハイビーム)を備えるものにあっては、それらの中心が車両中心面に対して対称の位置にあればよく、エンジンが作動している場合に常にいずれかが点灯している構造であることとある。 これを筆者なりに解釈し、1400GTRのヘッドライト片側をロービーム専用(ハイビーム使用時は消灯)、もう片側をハイビーム専用(ロービーム使用時は消灯)としてみることにした。こうすればハイビームはひとつだけなのでヘッドライト検査は1灯式となり、しかもヘッドライト検査時にロービームは消えているので、ロービーム側を紙片で隠す必要がない。この点灯動作を実現するためには、ヘッドライトに電源を供給している電線にスイッチを割り込ませ、ロービーム専用側はハイビーム使用時に電源供給を断ち、ハイビーム専用側はロービーム使用時に電源供給を断てばよい。 ただし上のやり方では、ロービーム使用時にパッシングスイッチを操作するとロービーム専用側もハイビームになってしまう。これは筆者の1400GTRにはBi-LEDプロジェクターヘッドライトが組み込んであるので、パッシングスイッチを操作したときにロービーム専用側のHi/Loアクチュエータが作動するからである。これを防ぐには、ロービーム専用側のHi/Loアクチュエーターのコネクターを外しておく必要がある。これまで継続検査時にパッシング操作を求められたことは一度もなかったが、点灯パターンがこれまでとは違うので、検査員がパッシングスイッチを操作する指示を出す可能性を考慮しておいた方が良いかもしれない。 実装方法は、Bi-LEDプロジェクターヘッドライトに電源を供給している自作ハーネスを改造してスイッチ(NKK M-2022W)を取り付け、左側ヘッドライトをロービーム専用、右側ヘッドライトをハイビーム専用とする配線を施した。もちろんスイッチを切り替えれば、瞬時にノーマル状態に復帰できる。この点灯パターンでヘッドライト検査に合格できるかどうかは、来年11月の継続検査時までわからないものの、うまくいけば邦貨1,000円と時間にして数分の節約が達成できることになる。 ※平成32年(2020年)7月1日(一部については平成27年[2015年]6月1日)以降に製作された二輪車は、平成31年(2019年)10月1日以降、ヘッドライト検査はすれ違い用前照灯(ロービーム)によるものに変更されています。 <2023/09/17追記> さらに有益なアドバイスは、上の車検時点灯仕様ではハイビーム検査時の光量は15,000カンデラ必要だが、ロービームを常時点灯にすればハイビーム検査時の光量は12,000カンデラでよいとのことである。この保安基準は「四灯式以外のもので、すれ違い用前照灯が同時に点灯しない構造のものは、1灯につき15,000cd。」「四灯式以外のもので、すれ違い用前照灯が同時に点灯する構造のものは、1灯につき12,000cd。ただし、12,000cd に満たない場合にあっては、同時に点灯するすれ違い用前照灯との光度の和が15,000cd。」だと思われる。これはヘッドライト内部の汚れ等でハイビームの光量が落ちてきたとき検査時に有利にはたらく。 揉め事の芽はあらかじめ摘んでおくのがカシコイ生き方である。独立行政法人のお役人と揉めてもメリットはひとつもない。そこでB氏のアドバイスに従い、車検時点灯仕様はロービームを常時点灯とすることにした。スイッチでロービームの電源を入り切りするのをやめて、そのスイッチでロービーム側のHi/Loアクチュエーターを入り切りすれば、パッシングスイッチでLo側がハイビームになるのを防ぐためにHi/Loアクチュエーターのコネクターを手で抜く必要もなくなる。ハイビーム側は変更せずハイビーム使用時だけに点灯する。ヘッドライト検査時にロービーム側に紙片を貼る手間はかかるものの、この点灯方式は左右2眼形式のヘッドライトを装備する最近のオートバイと同じなので、お役人と揉めることはないだろう。 |
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燃えたHIDリレーハーネス | 燃えたHIDリレーハーネス | 燃えたHIDリレーハーネス |
LEDプロジェクターユニット外箱 | LEDプロジェクターユニット上面 | LEDプロジェクターユニット前面 |
LEDプロジェクターユニット下面 | LEDプロジェクターユニット分解 | LEDプロジェクターユニットリフレクター |
LEDプロジェクターユニットLED基板 | LEDプロジェクターユニットロービームシャッター | LEDプロジェクターユニット点灯テスト |
LEDプロジェクターユニットヒートシンク温度 | LED点灯直後の消費電流 | 明度(31,800カンデラ) |
ヘッドライト殻割り前 | 殻割りの友クリッププライヤー | ヘッドライト殻割り後 |
シュラウド移植(同じネジ穴位置) | H4台座加工(左が加工後) | 左右カットライン調整 |
片側ずつ明度測定中 | 左側29,140カンデラ | 右側27,520カンデラ |
22φゴム足とダストカバー | ゴム足をダストカバー穴に挿入 | ゴム足ネジ穴径拡大(5Φ→6.5Φ) |
ゴム足を縦にカット | ダストカバー穴開放状態 | ダストカバー穴密閉状態 |
H4コネクターからLEDに給電 | LED・Hi/Loアクチュエーター電源コネクター | 2極防水コネクター |
ロービーム+イエロー点灯 | ロービーム+ホワイト点灯 | ハイビーム+ホワイト点灯 |
実施日: 2023/05/28 コロナ禍も落ち着き国内の観光地が賑わいを取り戻すなか、5月21日に開催された1400GTRオーナーズクラブの伊勢神宮参拝ツーリングに参加した。八百万の神々の最上位に君臨する天照大神に詣でるのであるから、道中神仏の加護があってもいいようなものだが、あろうことかこのツーリングの往路でヘッドライトが点灯しなくなるトラブルに見舞われた。家を出てすぐに焦げ臭いニオイはしていたが、そのまま伊勢神宮まで走り、外宮の駐車場でヘッドライトの点灯確認を行ったところ、左右とも点灯していないことがわかった。このヘッドライトにはバイキセノンプロジェクターユニットを組み込んでいるが、HIDバラストやHIDバーナーが故障した場合、通常故障した側のみが点灯しなくなる。左右とも点灯しなくなったのは、おそらくHIDを点灯させる大元の電源供給に何らかの問題が発生したのだろう。 このような場合、まずはヒューズ切れをチェックするのがセオリー(Theory=学説・理論・理屈)である。このバイキセノンプロジェクターユニットの電源はバッテリーから直接引いていて、ヒューズはモノコックフレーム内部のバッテリーケース内にある。ヒューズにアクセスするにはアルミ合金製のバッテリーコンパートメントカバーをはずさなければならないが、バッテリーコンパートメントカバーはモノコックフレームのストレスメンバーの一部であり、高いトルクで締め付ける4本のM8ボルトで取り付けてあるので、出先で車載工具を使ってこのボルトを緩めることは簡単ではない。そこでヒューズの確認はあきらめて外宮と内宮の参拝を済ませ、暗くなる前に450km先の東京の自宅を目指すことにした。 伊勢神宮内宮駐車場を東京に向けて出発したのは午後1時半頃で、伊勢自動車道、東名阪自動車道、伊勢湾岸自動車道、新東名高速道路、東名高速道路を可能な限りワープ航法で進み、午後6時半頃自宅に到着した。途中新東名高速道路浜松SAで給油と軽食のため30分程度休憩した以外はずっと走り続けた。新東名高速道路では青い制服と白いヘルメットを着用したトヨタクラウンに乗ったお兄さん方と追い抜きざまにアイコンタクトしたところ、日が沈む前に帰りたいというオーラを察してくれたのか、何も言わず放流してくれた。東名高速道路の首都圏近郊上り線日曜日夕方のクレイジーな渋滞をすり抜け、実質4時間半で450kmを移動した。やはり1400GTRはよくできた高速ツアラーであるものの、天照大神の加護があればこその無事だったのかもしれない。 後日自宅ガレージでバイキセノンプロジェクターユニットが点かなくなった原因を調べてみたところ、ヒューズ切れではなくHIDリレーハーネスのリレー部分(の電源入力部)が焼損していることがわかった。ヘタをすれば火が出てバイクに燃え移っていた可能性もあったに違いないが、辛くも燃えずに済んだのは、やはり天照大神の加護を受けていたと言わざるを得ない。このHIDリレーハーネスは35Wバラストに付属していたもので、2012年3月から11年以上も使い続けているものである。途中バラストのみを55W(2018年10月)および50W(2020年11月)に交換したが、このHIDリレーハーネスはそのまま使い続けていた。つまり35Wバラスト用のHIDリレーハーネスを4年半あまりも50W以上のバラストで使い続けていたことになる。 HIDは点灯開始直後には安定点灯時の1.6~1.8倍の電流が流れるという。リレー焼損時に筆者が使っていた50W HIDバラストは、点灯後しばらくして安定すると1台当たり4Aの電流が流れていた。仮に1.7倍の電流が点灯開始直後に流れていたとすると、片側で6.8A、つまり両側では13.6Aという電流がこのリレーに流入していたことになる。筆者がバッテリーから引いた電源線には14AWG(2.0sq)を使っていたのでこの電流には耐えられたはずだが、その先のリレーが耐えられず焼損したということなのだろう。筆者の感覚では、中華製の車載電気デバイスは、使われているパーツや電線が定格ギリギリのものが多いような気がする。どちらにしても、35Wバラストに付属していたHIDリレーハーネスを55Wや50Wバラストで使ったのは筆者の失態である。 このバイキセノンプロジェクターユニットはH1 HIDバーナーを使うタイプだが、近年品質のまともなH1 HIDバーナーを入手することが難しくなっていると感じていた。昨年6月にブランドの異なるH1 HIDバーナーを4セット入手したが、バーナーのガラス管が短かかったり台座に対して斜めに取り付けられていたりでバーナーの発光点が正しい位置からずれていて光度が出なかったり、あるいは左右で色温度がかなり異なるものもあり、ポン付けで実用に耐え得るものはひとつもなかった。H1 HIDバーナーの品質低下は、LEDを光源とした自動車用ライトの性能が向上し、かつ安価になってきたことで、H1 HIDバーナーの需要が減ったことと無関係ではあるまい。 そこでこの機にH1 HIDのサスティナビリティに見切りをつけることにした。実は筆者は昨年暮れ、AliExpress上でハイ・ロー切り替え可能なBi-LEDプロジェクターユニットが売られているのを見つけ、左側通行用を調達しておいた。価格は当時2個で9,500円(日本円)であったものを、各種割引を駆使することで送料込み8,062円とかなり安価に調達できた。デリバリーされたBi-LEDプロジェクターユニットをテストしてみたところ、1個当たりの消費電流は点灯開始直後で約2.4A、そのままLEDを点灯し続けても消費電流の低下は5%程度だった。ヒートシンク部分で測った温度は最大59℃で問題なく、ハイビームでの光度は31,800カンデラも出ていて、これだけあればヘッドライト内部から前面レンズをとおした光でも、光度が保安基準の15,000カンデラを下回ることはないだろう。 筆者はこのBi-LEDプロジェクターユニットを来年(2024年)11月の車検前にヘッドライトに組み込む予定にしていたが、その作業を前倒しで行うことにした。このBi-LEDプロジェクターユニットの消費電流は実測最大2.4A程度なので、LEDを点灯させるための電源をノーマルの60/55W H4バルブ(消費電流約5A)に電源を供給するH4コネクターから取っても容量的に問題はない。1400GTRの電気配線図を確認したところ、H4コネクターのHi側とLo側をひとまとめにしてLEDを点灯させる電源として使っても副作用がないことがわかった。Hi/Loを切り替えるアクチュエーターには、Hi側ヘッドライトリレーを動作させる電源を分岐して使えばよい。つまりHIDで使っていたようなリレーハーネスを使わなくても済む。 このBi-LEDプロジェクターユニットはLEDドライバー(LEDを点灯させるための定電流回路)がユニットに内蔵されているので、ユニット後部から出ているLEDの電源線に12Vを印加すればLEDが点灯する。Bi-LEDプロジェクターユニットのなかにはLEDドライバーが外付けのものもあり、そちらはLEDドライバーをヘッドライトの外に設置する必要がある。バイクのようにヘッドライト後方のスペースが狭い場合は、LEDドライバーがユニットに内蔵されているものの方が取り付けやすい。一方、LEDドライバーが外付けのものは、それが出す電気的放射ノイズにより何らかの障害が発生する場合に対策がしやすいメリットがある。HIDをやめることにしたのでコンビネーションメーター裏に設置していたHIDバラストを撤去し、その場所に昨年取り付けたLEDドライビングランプの外付けLEDドライバを移設した。大きなHIDバラストがなくなったので、右側ヘッドライトの左右光軸調整ノブに手が届きやすくなった。これで早川自動車の光軸調整をしてくれる整備士のお兄さんに手間をとらせなくても済むだろう。 Bi-LEDプロジェクターユニットをヘッドライトに組み込むには、ヘッドライトの殻割りが必要となる。これまで2回行った殻割りでは段ボール箱を利用して作業を行ったが、調べてみると殻割りのプロは段ボール箱を使わないらしい。そこで今回はプロを見倣い、ヒートガンの熱風を直接ヘッドライトに当ててブチルゴムを軟化した上で、クリッププライヤーを利用してヘッドライト前面レンズと後方のボディーの接着部分を引きはがす方法で作業を行った。これはかなり効率的で、これまで1時間ほどかかっていた殻割り作業が30分程度で完了した。その後1時間ほどをかけ篏合部分に付着しているブチルゴムをヒートガンと割り箸で取り去る作業を行った。これら一連の作業は手に軍手をはめて行ったが、軍手の繊維がヘッドライトに付着しているブチルゴムに貼り付いたので、使い捨てのゴム手袋を軍手の上にはめるなどした方がよかったかもしれない。 殻割り完了後、ヘッドライトボディーからバイキセノンプロジェクターユニットを取り外す。入手したBi-LEDプロジェクターユニットにはメッキ加工された何の変哲もない地味な化粧カバー(以下シュラウド)が付属している。一方、取り外したバイキセノンプロジェクターユニットのシュラウドには派手なCOBイカリングが組み込まれている。そこでCOBイカリングが組み込まれたシュラウドをBi-LEDプロジェクターユニットに移植してみることにした。シュラウドはタッピングビス4本でプロジェクターユニットに取り付けられているが、バイキセノンプロジェクターユニットとBi-LEDプロジェクターユニットのビス穴の位置が完全に同じ、かつプロジェクター前面レンズの突出量も全く同じで何の問題もなく移植が可能だった。しかもプロジェクターユニットをリフレクターに取り付けた時に、シュラウドとリフレクターの位置関係も全く同じだった。もしかするとプロジェクターユニットには何らかの統一規格があるのかもしれない。 ヘッドライトボディー内側を軽く掃除した後、すべての光軸調整ネジを中間位置に戻してからBi-LEDプロジェクターユニットを取り付ける。取り付け方法はバイキセノンプロジェクターユニットと同じく、付属のH4用台座をリフレクター後側に置き、リフレクター前側からシリコンワッシャーを取り付けたBi-LEDプロジェクターユニットを差し込み大きなナットで固定する。このナットには指の掛かる部分があるので締め付けは手で行えた。Bi-LEDプロジェクターユニットを仮止めして前からプロジェクターユニットのレンズをのぞき込んでみたところ、光をカットしてロービームのカットラインを生成するシャッターパーツが水平でなく、運転席から見て左上がりになっていた。そこでH4用台座内側のプロジェクターユニット回り止め突起を削り取り、カットラインを水平に調整できるよう加工した。2個のBi-LEDプロジェクターユニットをヘッドライトボディーに取り付け、安定化電源でLEDを点灯して光を壁に投影し左右ロービームのカットライン傾きと高さを合わせる調整を行った。 殻閉じを行う前に、ヘッドライト前面レンズの内側にネジ留めされているメッキパーツを取り外し、台所用洗剤で洗浄した。ヘッドライト前面レンズも台所用洗剤で洗浄し、乾燥後さらに内側をプレクサスで洗浄した。今回プレクサスの説明書きを初めてマジメに読んでわかったのだが、洗浄する対象物に汚れが付着している場合、プレクサスを吹いて1分程度放置し、その後拭き取れば汚れが取れるという。実際そうしてみたところ、昨年6月にヘッドライト前面レンズ内側を洗浄したにもかかわらず、プレクサスを吹いて放置すると茶色っぽい汚れが浮いてきた。汚れを拭き取り、もう一度プレクサスを前面レンズ内側に吹いて拭き取ると、レンズの透明度がかなり増したように思われた。今回前面レンズの洗浄にアルコールやプレソルベントは使わなかった。 次に殻閉じを行う。初めてバイキセノンプロジェクターユニットをヘッドライトに組み込んだ6年前に調達し、これまで2回の殻閉じを行ってもなお余っていたブチルゴムを、ヘッドライトボディーの前面レンズと篏合する溝に指で伸ばしながら入れていく。一周入れ終わった時点で6年物のブチルゴムの残りは数cmとなった。もしもう一度殻割り・殻閉じを行う場合には、新たにブチルゴムを調達する必要がある。ヘッドライトボディー溝に入れたブチルゴムはその粘着力により溝の壁に貼り付き溝の底から浮いているので、割り箸を使って溝の底に押し込む。次にヒートガンで溝に入れたブチルゴムに熱を加えて軟化させる。ヘッドライトボディーの樹脂を溶かさないよう気をつけながらブチルゴムを十分軟化させた後、ヘッドライト前面レンズをヘッドライトボディーに嵌める。ブチルゴムを溝の底に押し込んだせいか、嵌め合いは最初の一回で9割方完了した。少々浮いている部分はヒートガンでブチルゴムを温めて奥まで嵌め込み、殻閉じは30分程度で完了した。 殻閉じを終えたBi-LEDプロジェクターヘッドライトの光度を測定してみた。結果としては左側が29,140カンデラ、右側が27,520カンデラで、ヘッドライト前面レンズに光をとおすと光度は10%~15%程度低下する結果となった。それでも保安基準の15,000カンデラにはかなり余裕がある。Bi-LEDプロジェクターユニットはバイキセノンプロジェクターユニットと違い外から光源を交換できないので、LEDの耐久性には大いに期待したいものである。 ヘッドライト後方の開口部分には、ゴム製のダストカバー(49016-1209)が装着される。ノーマルではこのダストカバーの中心の穴に、リフレクターに取り付けたH4バルブの台座後方の金口部分(直径22mm)がハマることにより、ヘッドライト内部が密閉される仕組みになっている。筆者は6年前にバイキセノンプロジェクターユニットをヘッドライトに組み込んだ際、ヘッドライト内部からの配線を外に出すためにこの穴を利用したが、穴を塞ぐうまい方法を思いつかず、そのまま放置していた。筆者のヘッドライトはバイキセノンプロジェクターユニットを組み込んでから5年余りで内部がかなり汚れたが、それは開放された穴をとおして汚れた空気や湿気がヘッドライト内部に侵入したことが原因だったのだろう。今回はこの穴を塞ぐアイデアを思いついたので実行に移すことにした。 そのアイデアとは、H4バルブの金口と同じ直径22mmのゴム足を利用して穴を塞ぐことである。ヘッドライト内部からの配線は、ゴム足の中心に開いた小さいネジ穴から外に出す。こうすれば完全な密閉とはいかないまでも、開放状態だったこれまでと比べれば雲泥の差となるだろう。ヘッドライト内部からの配線の先にはゴム足のネジ穴を通らない大きさのコネクターが付いているが、これはゴム足の一箇所を縦にカットし、そのカット部分を開くことで配線をネジ穴に通すことができる。筆者が調達した直径22mmのゴム足(和気産業 EGC-007、ヨドバシ.comだと送料無料です)には中心に直径5㎜のネジ穴が開いていた。直径5mmのネジ穴では8本の電線(LEDx2、Hi/Loアクチュエーターx2、LEDイカリングx4)をとおすには狭すぎたので、丸ヤスリで穴径を6.5mmまで広げたところ、ストレスなく配線を出しつつダストカバーの穴を塞ぐことができた。 完成したBi-LEDプロジェクターヘッドライトを車体に取り付ける。まず一旦ヘッドライト後方のダストカバーを2個とも外し、ヘッドライト内部にエアーコンプレッサーの圧縮空気を吹き込む。目的はヘッドライト内部のホコリを外に出すことと、ウォーターセパレーターをとおった乾いた空気を内部に充填することである。この作業が終わったら素早くダストカバーとゴム足を取り付けて汚れた空気や湿気が中に入らないようにする。ヘッドライトを取り付けたアッパカウルを車体に取り付け、ゴム足のネジ穴から出ているLEDおよびHi/Loアクチュエーター用の電源線をコネクターで接続する。LED電源は車体側のH4メスコネクターに取り付けた自作ハーネス(3極H4オスコネクター⇔2極防水コネクター)で接続し、Hi/Loアクチュエーター用の電源は、Hi側ヘッドライトリレー駆動電源から引いた電線の先にBi-LEDプロジェクターユニットに付属していた2極メスコネクターを取り付けて接続した。 カウル類を全部取り付けてからヘッドライトが点灯しないことがわかるとかなりヘコむので、この時点で一度エンジンを始動しヘッドライトが点灯しHi/Loが切り替わるかをテストしておいた。テストは問題なく、外した外装パーツを元どおり取り付けた。次にバイクをガレージから出してセンタースタンドを掛けエンジンを始動して、Bi-LEDプロジェクターヘッドライトの色温度を確かめてみた。謳い文句どおりの6000Kっぽい白い色で、左右のバックミラー下部に取り付けたLEDデイライトの色とマッチしている。LEDドライビングランプを黄色から白色に切り替えてみたところ、こちらとも統一感のある見栄えとなった。懸念事項としては、フロントタイヤ空気圧センサーの微弱電波通信に与える影響とBi-LEDプロジェクターユニット自体の耐久性である。この懸念に対しては、あらゆる願いを聞き届けるという天照大神の加護を得たいものである。 <2023年5月31日追記> <2023年6月04日追記> |
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白熱電球の消費電流 | LEDバルブの消費電流(0min) | LEDバルブの消費電流(2min) |
LEDバルブ | 白熱電球装着状態 | LEDバルブ装着状態 |
ノーマルターンシグナルリレー | ダイオード入り自作ハーネス | LED対応ターンシグナルリレーとハーネス |
キタコLEDウィンカー対応フラッシャーリレー | キタコLEDウィンカー対応フラッシャーリレー | プッシュリベット交換 |
ダイオード交換 | ダイオード交換 | ダイオード入り自作ハーネス |
実施日: 2023/02/17 納車16年目のこの期に及んでターンシグナルのLED化を行うことにした。きっかけは、信号待ちなどでターンシグナルを点けていると、グリップヒーターコントローラーのLEDが点滅し、供給電力不足を示すことがわかったからである。車体からノーマルのターンシグナルバルブ(12V/21W白熱電球)を外して消費電流を測定してみたところ、1.73A(12V時)の結果が得られた。つまりターンシグナルを点けている時には前後2個の白熱電球に約3.5A(ただし点滅なので一定時間あたりはその半分)の電流が流れていることになる。これをLEDバルブに交換して消費電流を減らせば、グリップヒーターの供給電力不足が解消されるかもしれない。 1400GTRのターンシグナルバルブの金口形式は前後ともBAU15sである。その金口形式でアンバーに発光するLEDバルブを入手する必要がある。発光部分のサイズは、あまり大きいものだと灯体内に収まらない可能性があるので、白熱電球と同等以下が望ましい。昨今流行りのポン付け可能なLEDバルブは、抵抗器を内蔵するなどして消費電流を白熱電球に近づけているので今回の目的にはそぐわない。それらのことに留意しながらLEDバルブをAliExpress上で探してみたところ、安くてよさそうなものが見つかった。価格は1個329円だったのでそれを4個注文することにして送料(348円)込みで1,664円を支払った。 発注後、待つこと10日ほどでLEDバルブが届いた。点灯テストを兼ねて消費電流を測定してみたところ、点灯開始時に約368mA(12V時)で、そのまま点灯を続けると約2分後(長い信号待ちを想定)に330mAまで減少することがわかった。LEDは自身の発熱による温度上昇に伴い消費電流が減少するが、このLEDバルブは約2分の連続点灯で約10%減少する結果となった。実際、明るさは若干暗くなったように感じられたものの問題になるほどではない。以前クルマ用に入手したターンシグナル用LEDバルブは、約2分の連続点灯で消費電流が半減し明るさもかなり暗くなったことを考えれば許容範囲である。 このLEDバルブを車体の右後ろのターンシグナルソケットに取り付けてハザードを点け、左後ろの白熱電球と明るさを比べてみたところ、LEDバルブの消費電流は白熱電球の約1/5にもかかわらず、明るさは遜色なく点滅にキレがある。ハザードを消して右ターンシグナルを点けてみると、予想どおりハイフラ現象が発生した。右前のターンシグナルは白熱電球のままだが、消費電流が2A(白熱電球[1.73A]+LEDバルブ[0.36A])程度だとターンシグナルリレーが球切れと判断するのだろう。全てのターンシグナルをLEDバルブに交換した上で正しく点滅させる(毎分60~120回)ためには、ターンシグナルリレーをLEDバルブに対応したものに交換する必要がある。 1400GTRのターンシグナルリレーはシート右下のテールカバー内部に装着されている。ターンシグナルリレー側のコネクターは3ピン110型オスで、ピンアサインは(B)バッテリー電圧、(L)点滅出力、(E)アースである。これと同じ形式のLEDバルブ対応ターンシグナルリレーを入手すれば、車両側の3ピン110型メスコネクターをそのまま差し込むことができる。そこでAliExpressでそのような製品を探し、送料込み781円を支払って入手した。このLEDバルブ対応ターンシグナルリレーを取り付け、すべてのバルブをLEDに交換してターンシグナルおよびハザードを点けてみたところ、ハイフラ現象は発生しなかった。ところがよく観察してみると、1回目の点灯後の消灯時間がそれ以降と比べて少し短いことがわかった。安価なLEDバルブ対応ターンシグナルリレーにはそれなりの理由があるということだろう。この不具合は1回目の点滅だけなので、とりあえずこのまま運用することにした。 さらにテストを続けていると、ターンシグナルまたはハザードを点けたままイグニッションスイッチをOFFにすると、装着しているセキュリティーシステムが誤作動し警報が2回(または3回)鳴る現象が出た。1400GTRはイグニッションスイッチのON/OFF時にハザードが点滅するが、1400GTRの電気配線図を調べてみると、この点滅はKIPASS ECUによる制御で行われており、ターンシグナルリレーは使われていないことがわかった。さらに配線図を追ってみると、ターンシグナルスイッチまたはハザードスイッチがONの状態でイグニッションスイッチをOFFにすると、KIPASS ECUがハザードを点滅させるための電流がターンシグナルリレーの(L)点滅出力に流れ込むことがわかった。 上の状況からセキュリティーシステム誤作動の発生機序を推測すると、(1)LEDバルブ対応ターンシグナルリレーの(L)点滅出力に流れ込んだ電流がリレー内部に蓄えられ(2)電流の流れ込みが止まると蓄えられた電流がターンシグナル回路に放出され(3)ターンシグナル回路につながっているセキュリティーシステムがこの電流を受け誤作動を起こす、という可能性が考えられた。この推測を元に、LEDバルブ対応ターンシグナルリレーの(L)点滅出力にダイオードを取り付けて、電流の流れ込みを防止してみることにした。3ピン110型コネクターのオス・メスを利用してダイオードを取り付けたハーネスを製作し、リレーと車体側コネクターの間に挟みこんでみた。結果、セキュリティーシステムの誤作動は発生しなくなった。 電気回路にダイオードを入れると順方向電圧(Vf)分だけ電圧が低下する。今回使用したダイオードは1N5400なので、データシートによればターンシグナル時(368mA*2)に約0.75V、ハザード時(368mA*4)に約0.8Vの電圧降下があることになる。実用上は電圧がこの程度降下したところでLEDバルブは十分に明るく光るので問題はない。ただしこのダイオードの最大順方向電流は3Aなので、ダイオードを取り付けたままLEDバルブを白熱電球に取り替えると、ターンシグナルを点けた途端3Aを超える電流が流れてダイオードが壊れ、運が悪いと燃えるので注意する必要がある。またLEDバルブ対応ターンシグナルリレーは、LEDバルブが点灯しなくなってもハイフラで教えてくれることがないので始業点検が一層大切になる。 <2023年6月13日追記> ジャンク品の理由は"電源がつきません"(ママ)というものだが、ふつうターンシグナルリレーが故障したのであれば、点滅出力がない(消灯)か、または出力はあるものの点滅しない(連続点灯)のどちらかだろう。"電源がつきません"という表現は、そもそもターンシグナルリレーの使い方がよくわかっていないように感じられた。もしかすると3ピンコネクターのピンアサインが異なる車両に取り付けて動作しなかったのでジャンク品として出品したのかもしれない。そこで、444円の根拠はよくわからなかったものの、ダメ元でそのジャンク品を入手することにした。 メルカリにしては珍しく匿名配送でなく郵送で届いたリレーを部屋の中でテストしてみたところ、きちんと点滅出力(点滅出力を得るためにはランプなどの負荷が必要)がある。そこで車両に取り付けてみたが、まったく問題なく動作することが確認できた。点滅開始シーケンスはごく普通に最初から一定間隔の点滅を行う。これなら継続検査で問題となることはないだろう。ただし上記セキュリティーシステムの誤動作はこのリレーでも発生した。これは中華製LED対応ターンシグナルリレーと同様に、ダイオードを取り付けた自作ハーネスを使うことで解決した。 ターンシグナルリレーの交換はシート右下のテールカバーを外す必要がある。テールカバーは2本のM5ネジと3個のプラスチックリベット(92039-1256)で固定されている。このプラチックリベットが曲者で、何度かテールカバーを着脱しているとネジ部分がバカになり取り外しが容易でなくなる。今回もこのプラスチックリベットの取り外しに苦戦したので、この際別種のプラスチックリベットに替えてみることにした。ちょうどプラスチックリベットのストック(カワサキ純正品、92039-1289)があったので、これを使ってみたところ問題なくテールカバーを固定することができた。このプラスチックリベットは中芯を奥に押し込めば簡単に外すことができるので、今後は取り外しに苦労することはなくなるだろう。 <2023年6月16日追記> この現象を詳しく調べてみると、イグニッションOFF後、ターンシグナルが勝手に点滅を開始し、それに同期してイグニッションがON/OFFしていることがわかった。ON時にはスモールライトが点き燃料ポンプの起動音が聞こえる。セキュリティーシステムがサイレンを鳴らしていたのは、セキュリティーシステムのリモコン登録時に、イグニッションをON-OFF-ON-OFF-ONするとサイレンが鳴る仕様だからで、セキュリティーシステム的には正しい動きだった。この誤動作はLEDバルブ対応ターンシグナルリレーの点滅出力にダイオードを入れて電流の逆流を防止すれば防げることは既にわかっている。 この現象を観察するために、ダイオードを取り付けた自作ハーネスをLEDバルブ対応ターンシグナルリレーから外したが、外したついでに、ダイオードを大きな電流値を許容するものに交換しておいた。取り付けた30SQ045ショットキーバリアダイオードは30Aまでの平均整流電流を許容するので、LEDを4つとも電球に取り換えて点滅させても壊れることはない。データシートによればこのダイオードの25℃でのVfはターンシグナル時(368mA*2)に約0.28V、ハザード時(368mA*4)に約0.31Vとなっているので、交換前の一般整流用ダイオードより電圧降下が少ない。 |
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